小説『立ち上がるハッカー』
作者:arinko()

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俺の名前は星野 秀。高校2年生。

親父はパソコンの技術者。俺は小さいころから親父のパソコンをいじったり親父の買った本を読んだり、
親父にパソコンの綾を教えてもらったりしており、
自分でパソコンを買って解体したこともある。

高校1年生の時にパソコン部に入部したけど、ほとんど参加していない。

俺は今の生活に退屈していた。将来なんて俺には分かりきったつまらないものにしか、
思えなかった。


そんな時、インターネットの裏サイトでBBC (Breaking By Computer)というハッキンググループを見つけた。

族長は女ったらしだし、
BBCはとんでもない悪党のようだったが、そんなことは俺には関係がない。
俺はそのグループの一員だったことがある。


今の俺を変えられればなんでもよかった。俺という存在が犠牲になっているだけ、世の中に少し犠牲になってもらうだけ。
そう思っていた。


しかし、BBCの有様はあまりにも酷かった。BBCのせいで自殺者が続出していたのだ。

俺は耐えられなくて脱退した。




俺には彼女がいる。名前は七瀬 ひとみ。警察官僚の父親がおり、その血を引いてかひとみは
正義感が強い。でも顔はお母さん似でその父親とはちっとも似ていない。
まぁ、血はつながっていることは分かるが。

ひとみは俺がどんなことをやっていたのか知っている。
俺が自分からBBCを脱退してくれるのを待っていたのだろうか。





ある日、ひとみが、話があるということで俺を屋上に呼び出した。

「大事な話があって来てもらったの。」

「なに?」

「お父さんが秀に協力してもらいたいって言ってるの。」

「今ひとみのお父さんがBBCの犯罪を嗅ぎ付けたってことだな。」

「えぇ、BBCそのものの手口を研究している人がいて、おそらくBBCの犯罪だろうということが判明した事件があったの。
私のお父さん、秀の罪を告発しないことを約束に、捜査協力を秀に願いたいそうよ。秀に、ウイルスの駆除と防除、BBCの追跡をやってもらいたいの。」

ここで俺が捜査協力をしたら、BBCに命を狙われる可能性もある。しかし、警察が仲間なら、
あいつらに一発、いやそれどころでなく五発くらいは食わせられるかもしれない。

それに、大事な大事な彼女とその父親の頼みだ。これは彼氏として飲むべきだ。
いや、飲みたい。


「ひとみのお願いごとだったらなんだって聞いてやる。」

「うん?もっとはっきり言いなさいよ。」

俺は好きな女だけには滅法弱い・・・。

「俺も戦う。」

「さすが秀!!秀なら絶対勝てるよ!!」



こうして俺はBBC相手に戦うことになった。ひとみのために。そして、
自分自身の罪滅ぼしのために。




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