小説『立ち上がるハッカー』
作者:arinko()

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そんな悔しすぎる日の2日後、

俺はひとみに呼び出され、一緒にカフェに行った。


「ごめん、これから大事な戦いがあるっていうのに、平気?」

俺がカフェに入ると、すでにコーヒー2人分を注文したひとみが席で待っていた。

「あぁ、どうしたんだ?」

「あのねぇ、これ・・・。」

ひとみが一枚の紙切れをテーブルの上に乗せた。
一行の文字がそこに並んでいた。


[手を引かねば、星野 秀に天罰を下す]

と書いてある。


「一体、誰が・・・。これ、どこで見つけたんだ?」

「私の下駄箱の中に入ってたの。美術部の活動がある日に見つけた・・・。」

「俺とひとみがBBC事件の捜査にあたっていると知っている人間だ。」

(BBCの人間か?いや、BBCのやつが、俺が何者なのかを知っているはずがない。)


「秀、ここは手を引いた方がいいんじゃ・・・。」

「そんなわけにはいかない。ひとみの親父に頼んでしばらく俺の警護をしてもらうよ。
さっさとBBCの情報を盗んで、システムを壊してしまえば、こっちの勝利だ。」

「今度は勝てそう?」

「あぁ。絶対に勝ってみせる!」





5日後、

俺の一か八かの戦いの日―――――



ひとみはこの日も俺の横にいた。



ひとみの父は俺の神経を逆なでしないようにと気を遣ってくれていた。


まずは、セキュリティーをロックする。BBCのセキュリティーについては十分心得ているつもり。

巧妙であり、罠にひっかからないようにしないと、ただちに捕まえられてこちらのコンピューターに危害が加えられる。

昔は「失敗を恐れずに」なんて自分に言い聞かせたもんだが、今はそんなこと言ってられるほど
甘い状況に置かれたもんじゃない・・・。

絶対に失敗するわけにいかない。



俺は神経を集中させて、罠の網にひっかからないようにセキュリティーを順番にロックしていった。


しばらくすると、BBCセキュリティーシステムの警報システムが動き出した。

BBCの誰かが俺の侵入に気づき、パソコンを動かし始めた。


「くっそ、罠が勝手に動き始めやがった。」

「頑張って、秀!!」

ひとみが俺にそう声をかけてくれた。

(罠が動き始めたとはいっても、俺の位置をまだ把握できていない。ここはロックを中途半端にして、
中への侵入に切り替えてしまおう。)

俺は、切りのいいところでロックプログラムを終了させ、侵入のプログラムを立ち上げ、

1週間前と同じ方法でBBCのシステム内への侵入を図った。




「よっしゃあ!」

俺はBBCのシステムの中への侵入に成功した。

「やったね!そしたら次のステップだね。」

俺は軽くうなずいて、BBCの情報を次から次へと盗みながら、システムを破壊していった。

俺は相当BBCに恨みがあったのだろう、愉快で仕方がなかった。






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