小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第六話


 いかん。いつもの癖で早く起きてしまった。この時間は大体四人(コロナ、リオ、ヴェル、孤狐)のために朝食作っていたからな。

 子供ができて朝に弱いのも何とか克服した。

 ふと視線をベッドの方に移すと、ティアの姿が消えていた。

葵(無茶をしていなければいいのだが)

 そう言って服装を六課の制服に着替え、外を適当にぶらついていると、案の定ティアが自主練をしていた。


SIDEティア


ティア「はぁ・・・はぁ・・」

 昨日葵さんが来た。葵さんの実力は兄さんから嫌というほど聞かされていたが実際訓練校に入ってにわかに疑問に思っていた。人がそれほど膨大な魔力を保有できるわけがない。  

だが、

ティア「・・・でも昨日のあれを見せられると信じざる得ないわね」

 昨日の事件でガジェット?型を完全に消滅させた。破壊ではなく消したのだ。さらになのはさんやフェイトさん達が苦戦していた大量のガジェット群と【不の者】と呼ばれる者達をいとも簡単に撃破。

 黄泉路への案内人、中にはエース・オブ・エースにならってストライカー・オブ・ストライカーとい呼ぶ人まで現れている。

ティア「はぁっ!!」

 練習を再開するが弾はそれ少しずれた。

???「もう少し腕を伸ばしてみろ。照準も少し左にずれている」

ティア「え?」

 声の方がした場所を見ると葵さんがいた。

ティア「あ、葵さん!? いつから!?」

葵「ちょっと前からな。後これ」

 葵さんはこちらに向けスポーツドリンクとタオルをこちらに渡して来た。

ティア「あ、ありがとうございます」

葵「ティアナ。自主練をすることは確かにいいことだが、あまり無茶をするな。お前らの場合今は基礎を作っていく段階だ」

ティア「・・・はい」

葵「はぁ」

 すると、葵さんは私の反応を見て溜息をついた。

葵「あの事件で言われたことか?」

ティア「っ!」

 葵さんはやっぱりすごい。でもここでやめるわけにはいかない。

ティア「・・・でもここでやめるわけにはいかないんです。あんな人もいる以上は」

葵「どうしてもか?」

ティア「はい」

 私は葵さんの目をしっかり見つめた。

葵「・・・・分かった。ならしばらくコーチとして私がいよう。無理、無茶はするな。いいか、何においても体は重要な資本だ。体を壊せば後戻りはできないんだ。私がやめと言えばどんな状況下でも練習を終えることいいな」

ティア「分かりました」

葵「なら今日はこれだけだ。この後午前午後となのはの訓練があるんだろ。それに備えておけ」

ティア「はい! あ、あの葵さん。一つ聞いていいですか?」

葵「なんだ?」

ティア「葵さんはなぜそこまで強いんですか?」

 そう。どうやればあそこまでの頂(いただき)にたどり着けるのかと思った。普通の訓練ではまず無理だ。

葵「・・・・死と隣り合わせの戦いを繰り返せば嫌でもそうなる」

ティア「え?」

葵「なんでもない。そうだな、諦めないこと。基礎を地道に積むこと。応用はそのての人に訓練を見てもらうこと。ありきたりだが確実な道だな」

ティア「そうですか。ありがとうございます」

 そういって葵さんは食堂の方へ向かった。でも、さっき悲しそうな顔で死と隣り合わせって、後戦い? 局での戦いかな?

 でもこれで葵さんと一緒の時間が増えた///!


SIDE out


 さて、今日は食堂のおばちゃんに頼んで少し調理場を借りることができた。

おばちゃん「いやぁ〜しかし一等空佐さんがねぇ〜」

葵「いや、だから葵でいいですって」

おばちゃん「そうかい? じゃあ葵さん。ここは好きに使っていいからね」

葵「ありがとうございます。後出来るのは多分午前と、午後の一部の時間帯だけになります」

おばちゃん「気にしなくていいって。お! そうだじゃあ葵さんのメニューを一ついいかい」

葵「そうですね・・・・確か定食メニューはAからCまでありましたよね。では単純にD定食にしましょうか」

おばちゃん「そうだね」

 そういってエプロンを身につけ調理開始!


―パターン守護騎士達


ヴィ「ん? D定食?」

シャ「そんなのありましたっけ?」

シ「うむ。では私はこれにしよう」

ヴィ「チャレンジャーだな。あたしはいつもの」

シャ「私もそうですね」

おばちゃん「はいお待ち!」

 そういって三人分のトレーに乗った料理を渡す。

ヴィ「和風か?」

シャ「そうみたいですね。でもかなりAと違いますよ?」

 A定食は和風。B定食は洋風。C定食は中華(おかゆなどがメイン)。で葵が作ったDは主に和風だが健康に気を使った料理だ。

シ「まぁいいだろ。では食べるとしよう」

 そういって一口。

シ「むっ!!」

ヴィ「どうしたんだ? お! 卵焼きもーら「ガシッ」いぃっ!?」

 ヴィータがシグナムの朝食から卵焼きを奪おうとしたがさすがは烈火の将。それを箸で防ぐ。

シ「これはやらん!」

ヴィ「いいじゃんか! 一つぐらい!」

シ「この味噌汁から推測して卵焼きもあいつのだ。やるわけにはいかん!!」

シャ「?」


―パターン 夜天の書姉妹sと九尾


ヴェ「なんだ、あそこは騒がしいな」

 ヴェルの視線の先にはヴィータとシグナムが箸と箸をぶつけ合っていた。

アイン「行儀が悪いな」

孤「ん? 新メニュー?」

リイン「D定食ですかぁ?」

アイン「ふむ。物は試しだ。私はこれを頼もう」

ヴェル「そうなのか? そうだな。私も食べてみたい」

孤「ボクもそうしよっと」

リイン「じゃあリインはお姉さま方のを!」

 そういって三人とも口に運んだ。

リイン「お、おいしいですぅ!!」

アイン「こ、こんなに向上したのかここの料理は!?」

孤「あぁ。この味だったらあそこがああなるのは納得だね」

ヴェ「うむ。これなら仕方あるまい」

 と、孤狐とヴェルは誰が作ったのかがすぐに分かったみたいだ。


―仲良し四人組


な「なんかすごいことになってるね」

フェ「うん。あれどうしたんだろ?」

アリ「ヴィータちゃんもシグナムもすごいことに・・・」

は「ま、すぐ終わるやろ。それよりおなか減ったなぁ」

 そしてメニューを見て。なのはA。フェイト・アリシアB。そして、はやては。

は「よっしゃ! その挑戦受け立つ!」

 ということでD。そして別会場で第一試合勃発!


―フォワード陣と娘達


ティア「な、なんかすごいことに・・・・」

ス「ティア! どうしようこの状況!?」

エリ「・・・・・逃げた方がいいんじゃ・・・」

キャ「え、えっと、これは・・・」

リオ「おなかすいた〜」

コ「うん。でも、この状況だと・・・」

 そういって食堂で行われている戦いを見る。

葵「はぁ。何やってんだあいつらは」

 調理場から出てくるとかなりカオスな風景になっていた。

ス「あ、葵さん!?(あ、葵さんのエプロン姿///)」

ティア「その格好は!?(にあってる///)」

 格好? 食事を作っていたからエプロン姿になっていた。

葵「D定食を作ったのは私だ。ところで食事はどうするんだ?」

リオ「お父さんと一緒がいい!」

コ「わ、わたしも!」

葵「少し待ってろ。作ってくる」

 そういって葵は調理場に入り、少し後に人数分の食事を出して来た。

葵「エリオとスバルはよく食べてたろ。量が多いのを持っていくといい」

エリ・ス「「は〜い」」

葵「あとはっと」

 私は戦いを終わらせるために戦闘が行われている場所に赴いた。

葵「ヴィータ、シグナム、落ちつけ」

ヴィ「でもよ! ってなんで葵がその格好でいるんだよ!?」

葵「なぜって料理をしていたからだ。後ヴィータ、シャマルこれで止めてくれるとありがたいんだが」

 そういって二人に二個ずつ入った卵焼きの小鉢を渡す。

シャ「これって葵君が?」

葵「あぁ。実際D定食も私が作ったのでな」

シ「そうなのか!? でも葵が作ったというのであれば納得も行くな」

ヴィ「しゃあねぇ。これで我慢してやる。葵! 次いつ作るんだ!?」

 そういって目を輝かせて聞いてくるヴィータ。

葵「え、えっと朝食はほぼ毎日D定食として作る。昼食と夕飯は微妙だな。仕事もあるし」

ヴィ「そ、そうか。(なら朝食はDだな)」

シ「ふむ。そうか(Dは決定したな)」

シャ(葵君また腕をあげてる・・・)

 さて、次の場所はっと

葵「ここもか・・・」

 次の場所はなのは達の場所。

葵「ほい。これで落ちつけ」

 そういってヴィータ達に渡した物と同様な物をあげる。

な「あ、葵君!? その格好は?!」

フェ「葵のエプロン///」

アリ「・・・にあってる///」

 おい、そこの二人なんか危なくないか!?

は「これ葵君が作ったんか!?」

葵「あぁ。というかほぼ毎日食ってただろ?」

は「腕上げすぎや!? どうやったらここまで行くん!?」

葵「・・・・あぁそっか。部隊にいたとき暇つぶしで作ってたからな」

 空いた時間はガーディアンの食堂を使ってお菓子とか料理作ったな。

葵「まぁそれをやるからデバイスをしまえ」

 四人ともここでデバイスを構えて戦おうとするな。フォワード陣もかなりびっくりしてるだろ。

 さて、あっちは大丈夫だな。

 ヴェル達の席を見るがかなりの幸せ空間を作っていた。それに孤狐がおそらく私が作ったのを話しているらしくどうやらアインもリインも納得してるみたいだ。

 まぁ、その後は他の六課のメンバーからも作ってくれと言われたので今後も作ることになった。一応私も仕事があるのだが・・・。

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