小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第一三話


 海鳴市から戻って数日後、地上本部から【ホテル・アグスタ】で行われるオークションの出品物の警護や要人護衛に向かうよう要請があった。

は「今回の任務は、ホテル・アグスタで行われるオークションの警備や。んで、広域指名手配されてる次元犯罪者ジェイル・スカリエッティが犯人の線で捜査を進めるで」

フェ「こっちの捜査は主に私が進めるんだけど、みんなも一応頭に入れておいてね?」

フォワード「「「「はい!」」」」

 今回はジェイルが主犯とされているがこれは時間の問題だろ。事実あと少しで刑は帳消しになる。

な「オークションはロストロギアがいくつか出展されるから、私達六課が任務につくことになったの」

フェ「そのオークションの会場警備と人員管理。それが今日のお仕事ね」

リイン「出展されるロストロギアの反応を、レリックと誤認したガジェットが出現する可能性があるので、私達が警備に呼ばれたです!」

フェ「現場には昨日から、シグナム副隊長、ヴィータ副隊長、アイン准等空尉、孤狐三等空佐にヴェル三等空佐他、数名の隊員が張ってくれてるから」

葵「あと、ガーディアンの方にも要請があったらしい。四人ほどを出したためそちらにデータを送っておく」

 そう言って出されたのはチンク、ノーヴェ、ウェンディ、セッテの四人の情報だった。チンクが一等陸士、セッテは二等空士、ノーヴェ、ウェンディは二等陸士だ。

葵「今回のこれを終えたあと一週間以内には六課への追加出向としてはやてに申請する予定だ」

 このことは事前にはやてに伝えてある。そのため後は準備をするだけだろう。

な「私達と葵君は中の警備に回るから、フォワードはシャマルさんと一緒にシグナムさん達に合流して、外の警備ね」

 出来ればガジェットだけにしておいてほしいんだが。これだけの期間を置いたんだレベル3が出てきてもおかしくはない。事実ティーダからの連絡だと最近出現頻度がさらに上がっている。

葵(御三家に頼んであるから時間の問題か。出来れば全員で一気に終わらせたいんだが無理は言えんな)

 出来るだけ早くしもらわねば。レベル4が現れたら苦戦は決定だ。

 そう思っていると、キャロが手をあげて、

キャ「あの、シャマル先生。さっきから気になってたんですけど、後ろの四つの箱はなんですか?」

シャ「これ? これは、隊長達と葵君の仕事着よ♪」

シャマルはウィンクしながら言う。

葵「は? なぜ私のまである。必要ないだろ?」

 するとはやてが、

は「葵君、レディをエスコートするのもまた男の役目やで!」

フェ「それにちゃんと理由はあるよ。怒らないでね」

な「わたしたちだけだと怪しまれるからね。わたし達が中に入るまでエスコートしてほしいの」

葵「本当にそれだけだろうな?」

は「ほ、ホンマにそれだけや! な、なぁなのはちゃん、フェイトちゃん!」

な「そ、そうだよ!」

フェ「か、勘ぐりすぎだよ葵?」

 ならちゃんと私の眼を見て答えてほしいもんだがな。

葵「まぁそれはいい。こちらとしても部隊の者たちと打ち合わせもしておきたいしな」

 出されたのはオール黒のスーツ(Fate/zeroでセイバーが着ていたやつ)。

葵「着慣れていると言えど、こういう場面で着るのは初めてだな」

ヴァ「おぉ。旦那すごいっすね、完璧に着こなしているじゃないすか!」

葵「まぁ色々あったからな。あっちだと」

 すると、ヘリから着替え終えたなのは達が降りてきた。

ヴァ「ヒュ〜♪」

な「ど、どうかな、葵君///」

フェ「に、にあってるかな///?」

は「葵君、どうかな///?」

 なのは達のドレス姿はいつもと違い、大人らしさを十分だ引き出していた。

葵「あぁ。十分すぎるぐらいに。にあってるよ」

な「ほ、ほんと///!」

フェ「や、やった///」

は「うれしいわ〜///」

 すると、ホテルから銀髪で眼帯をした少女が来た。

チ「久しいな葵」

葵「あぁ、チンクもな。部隊の方は?」

チ「あぁ、それぞれ孤狐とヴェルの指揮下に入った。その報告をしに来た。〈あと、今回はガジェットだけじゃなさそうだ〉」

 その言葉を聞いて少し驚いた。ということは【不の者】が完全に動き出したか。

葵「〈一応厳戒態勢で。ISの使用も許可する〉」

チ「〈了解だ〉」

―ゴゴゴゴゴッ

チ「ひっ」

 後ろの黒いオーラのせいだろう。チンクが私の服をつかんでおびえていた。

チ「あ、ああああ葵・・そ、そそそその者達が・・・」

葵「・・・・あぁ六課のメンバーだ。とりあえず自己紹介しとけ。じゃないといろいろヤバイ。私もお前も」

 チンクは姿勢をただし、

チ「独立機動部隊ガーディアン所属チンクだ。階級は一等陸士。よろしく頼む」

は「おぉ。葵君がいっとった。こちらこそよろしく。六課課長の八神はやてや」

 そのことを聞いて納得したのか黒い暗黒オーラを三人は抑え、各々が名前を交換し終えると、

葵「とりあえず中に行くか」


SIDEティア


ス「〈でも今日は八神部隊長の守護騎士団全員集合か・・・〉」

 私はスバルと念話で打ち合わしていたが、スバルのその一言から話がずれて行った。

ティア「〈そうね。でもあんた詳しいわよね。八神部隊長とか副隊長達のこと・・・〉」

スバル「〈うぅん。父さんやギン姉から聞いたんだけど、八神部隊長の使ってるデバイスが魔導書型で、夜天の書っていうこと。副隊長達とシャマル先生、ザフィーラが八神部隊長の所有する特別戦力だってこと。で、それにアイン准等空尉にリイン曹長を合わせて7人で無敵の戦力ってこと。まあ、八神部隊長達の詳しい出自とか、能力の詳細は特秘事項だから、私も詳しくは知らないけど〉」

 スバルから八神部隊長のことを来た私はつぶやくように、

ティア「〈レアスキル持ちはみんなそうよね・・・〉」

 それに気づいたスバルが、

ス「〈ティア? なんか気になるの?〉」

ティア「〈別に〉」

ス「〈そう・・・。またあとでね〉」

ティア「〈ん・・・〉」

 六課の戦力は無敵を通り越して明らかに異常だ。八神部隊長がどんな裏技を使ったのかは知らないけど隊長格が全員オーバーS。副隊長でもニアSランク。他の局員だって前線から管制官まで未来のエリート。あの年でもうBランクを取っているエリオ、龍召喚使であるキャロはフェイトさんの秘蔵っ子。危なっかしいところはあるが才能と優しさ家族のバックアップがあるスバル。

 まぁスバルの優しい家族という点では私も一緒か。

 そして何よりも極め付きは管理局最強と言われている葵さん。あの年ですでに独立した部隊を持ち管理局第3勢力とも言われているほどに育て上げた。

ティア「・・・・結局あの部隊で凡人は私だけか」

 するとシャーリーさんからガジェットが出現したという情報が入った。私はシャマル先生がいる場所まで行き、遅れてスバルも到着した。

ティア「シャマル先生! 私も前線の状況を見たいんです! モニターをもらえませんか!」

シャ「了解。クロスミラージュに直結するわ。クラールヴィントお願いね」

クラ(Ja)

 私はそのままモニターを見つめた。


SIDE???


 森のかなり奥の方に黒い影が二つあった。赤い瞳に、人間とは思えないほどの白い肌。

???「始まったみたいだね」

???「ちっ、六課のあの騎士達か。?がくると思ったのによ」

???「仕方ないよ。まぁこれでもお父様は喜ぶと思うけど?」

???「まぁいい。今回は情報収集だ。おそらく親父の邪魔になるのは六課と?率いる部隊だ」

???「でもやっぱりあの無限の欲望が作ったおもちゃだね。でも所詮おもちゃはおもちゃ。どうする?」
 影のうち一つが状況を見ると、もう片方が、

???「仕方ねぇ。もう少し情報がほしいからこいつらに任す」

 そう言うと後ろからミッドともベルカとも違う魔法陣が浮かび、そして、そこからハエのような生物が出てきた。

???「行って来い」

 すると、そのハエはガジェットにとりつき、ガジェットは今まで以上に素早い動きをし始めた。

???「ついでだ。ホテル前におき土産でも置いとくか。クククッ」

 薄気味悪い笑いと共にその二つの影は消えて行った。


SIDE out


葵「・・・〈なのは悪いが私は外の様子を見に行く。嫌な予感がする〉」

 そういってシャマルの場所に向かうと、

シャ「あ、葵君!? どうしてここに?」

葵「いやな予感がしてな。前線には誰が?」

シャ「アインにシグナムとヴィータちゃん、それからザフィーラが」

葵「そうか。〈シグナム、ヴィータ、ザフィーラ。聞こえるか?〉」

シ「〈葵? どうしたんだ〉」

葵「〈嫌な予感がした。そっちで何か変化はないか〉」

ヴィ「〈それが、ガジェットたちの動きが良くなったんだよ。まるで操作を人間がしてるみたいで〉」

 人間が・・・まさか。

葵「エクス、ルミル。広域探索開始。パターン【不の者】」

(了解・・・・・・発見! え、でもこれって・・・)

葵「どうした?」

(パターン【不の者】レベル4。それも二体)

葵「!? 攻撃する様子は?」

(ありません。おそらく情報収集かと・・・!? 反応ロスト)

 もういる必要性はないということか・・・。

葵「ヴェル聞こえるか?」

ヴェ『はい』

葵「ノーヴェとウェンディを連れて前線へ。(レベル4が撤退したということは増援はもうないだろう。ということは残党勢力の排除)」

ヴェ『了解。孤狐の部隊はどうします?』

葵「孤狐にはフォワードのバックについてもらう。私もそちらに向かう」

 
SIDEティア


キャ「!? 遠隔転送きます!」

 キャロの声がした後四つの魔法陣が浮かび上がりそこからガジェットが数体、いや、数十体出てきた。

 弾を込め戦闘準備を整え終える。今まで通り証明すればいい。

ティア「なんでもいいわ。迎撃行くわよ!」

ス・エリ・キャ「「「おう!」」」

 迎撃するために数発弾をガジェットに撃つが、今までより動きが良い。有人操作に変わっている!?

 すると、奥にいたガジェットがミサイルを数発撃ってきたが、

―ダンッダンッダンッ

 冷静にそれを狙い打ちおとす。が、

キャ「ティアさん!!」

 後方支援に徹していたキャロが声をかけると、私を狙っていたガジェットがこちらに向け攻撃をしてくる。だが、それも迎撃するが、AMFが邪魔で仕留められない。

ティア「くっ!」

シャ『防衛ライン。もう少し持ちこたえててね! ヴィータ副隊長がすぐに戻ってくるから! それに葵君もそちらに向かったからすぐに合流すると思うわ!』

ティア「!? 護ってばかりじゃ息詰まります! ちゃんと全機撃ち落とします!」

 シャマルさんが、注意をするが、

ティア「スバル、クロスシフト! 行くわよ!!」

ス「おおう!!」

 スバルはウイングロードを展開しガジェットの注目を私からそらさせる。

ティア(証明するんだ)

 すると、オレンジ色の魔法陣が展開され、カードリッジを四発装填する。

ティア(あの時言われた言葉、兄さんを侮辱した言葉。でも、・・・)

葵「(この魔力・・・まさか!?)〈ティア! 四発ロードは無茶だ! お前にもクロスミラージュにも負担が大きすぎる!〉」

 周りに無数の魔力の塊ができ、

ティア「撃てます!(証明するんだ。ランスターの弾丸は役立たずじゃないって!)」

クロス(Yes)

 そして、

ティア「クロスファイア・・・シュート!!!」

 無数の弾丸がガジェットを貫通していくと。だが、一発だけコントロールミスを起こし上空にいたスバルに向かっていった。

 それに気付いた私は、

ティア「スバル!? 避けて!」

ス「え・・えぇ・・」

 だが、

葵「ハァアアッ!!」

 そこに来たのは黒騎士の格好をした葵さんだった。


SIDEout


 シャマルと共に状況を確認していると、ティアナがカードリッジをロードしているのが見えたため止めるように言ったがそれでも止まる様子は見えなかった。

葵「あのバカが! あれほど無茶はするなといっただろうが!!」

 急いでティアナ達の元へ行こうとしたら、スバルに弾丸が飛んでいるのが見えた。

葵「ハァアアッ!!」

 ティアナが放った弾丸を下にいたガジェットの元へ蹴り飛ばした。

 するとヴィータが前に出て、

ヴィ「ティアナ! このバカ!! 無茶やった上に味方撃ってどうすんだ!?」

 ティアナの方へ向かった叫んだ。だが、スバルが、

ス「ヴィータ副隊長・・・その、これもコンビネーションの一部で・・・」

ヴィ「ふざけろタコ! 今のは直撃コースだよ!! この・・・・葵?」

 私はヴィータを手で制し、

葵「全員黙れ。もういい。スターズは下がれ。孤狐聞こえるか?」

孤『ん? どうかした?』

葵「スターズとお前らを交代させる。孤狐はチンクとセッテを率いて前線へ来い。ヴィータお前は私と一緒に行動しろ。上官命令だ」

ヴィ「!?(葵が、上官命令!?)」

 ヴィータはめったに命令権を行使しない葵が使ったことに驚いたが、それほど今は緊迫しているのだということも分かった。

 その後は残党戦力をせん滅し、ガーディアンと地上部隊による現場検証が行われた。


SIDEなのは


 現場検証も葵君の部隊と地上とでやっているためほぼ終了していた。

 そしてわたしは今久しぶりに会ったユーノ君と話している。

ユ「本当に久しぶりだね。なのは。元気にしてた?」

な「うん。でも、さっきいろいろあってね・・・」

 ティアナのこと、そして葵君がさっきからピリピリして近づきにくいということ。

ユ「・・・やっぱりね」

な「え?」

ユ「なのは。葵のこと・・・好きなんでしょ?」

な「え・・・ふぇえええ///!?」

 え? え!? ば、ばれてた!?

ユ「あははっ。さっきから視線が葵の方へ向かっているよ」

な「!?」

ユ「なのは。一応これは僕なりのけじめただから伝えておくね。僕は君が好きだった」

な「え・・・(だった?)」

ユ「さっきから見てて思ったんだ。葵は強いし、カッコいい。なにより君たちを守っている。僕じゃかないっこないよ」

な「・・・うん。ご、ごめんね・・・ユーノ君」

ユ「謝らなくていいよ。それよりなのはの恋が実るよう応援するね。友達として」

な「ユーノ君。・・・ありがとう!」

 そういって私はユーノ君と別れ仕事に戻った。


SIDEout


 ユーノから連絡があったため言われた場所に来た。

ユ「あ。あお・・い・・・」

 ん? どうした?

葵「顔が青いがどうした?」

ユ「そ、そう思うなら殺気を抑えてくれないかな?」

 そんなに出ていたいか? 

葵「これでいいか?」

ユ「う、うん。それよりどうしたの? さっきからピリピリしているけど」

葵「・・・これは極秘事項でな。いくらユーノでもこれは教えられない」

ユ「そっか」

葵「すまない」

ユ「謝らないでよ。それより、葵。なのはやフェイトの気持ち分かっているよね。なのはから聞いて僕もある程度は知っている」

 ・・・あの時のことか。

葵「あぁ。みんなの気持ちは知っている。その様子だとお前はお前の気持ちを伝えたのか?」

ユ「うん。振られちゃったけどね」

 ユーノは笑いながらそう言う。そして言葉を続けた。

ユ「分かってたんだ。・・・・なのはは君のことをみていた。僕は君を友と言いながらどこかで妬んでたんだと思う。どうしてこんな奴が! ってね。でも、なのはが倒れたとき君は体を文字通り盾にして守った。それだけじゃない。もう一度歩くように、飛ぶように勇気づけた。フェイトの時も試験に落ちた時励ましたり、はやては試験勉強につきあったり。皆を支えていることに僕も気づいたんだ。僕の生き方のアドバイスをくれたのも葵だったしね」

 そうか。そう思っていたのか。

ユ「葵はどうしてみんなの気持ちに応えないの?」

葵「・・・恐いんだよ。私は多くの命を奪った。この手でな。血に染まっているんだよ。その手で彼女たちに触れることが何より怖いんだ。あの時も身近にいていいものかと葛藤したもんだ。幸せを手放したくない。だが私がいたら彼女たちは不幸になるのではとね」

ユ「・・・葵。ひとこと言わせてくれ。君はよくみんなに幸せになる権利も未来を見る権利もあるといっているよね」

葵「ああ」

ユ「なら君にもあるんだよ! むしろ君こそその二つを手にしていいんだよ! 誰よりも何よりも!!」

 ユーノが怒鳴るようにそう言葉を紡ぐ。あまりにも意外なことに驚いてしまった。

ユ「葵。僕は君の友だ。・・・だからこそ幸せになってほしい、未来をつかんでほしい。そう思うんだ」

葵「ありがとな。考えてみるよ。自分のことも、彼女達のことも」

 そういって私はその場を去る。

ユ(・・・今になって思うよ。本当にこの二つの権利がどれだけありがたいものか、儚いものか、そしてどれだけ大切なモノなのか)

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