小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第一六話
 

葵「よし、練習終了」

全員「あ、ありがとう・・・ございました!」

 いつもより量と質の濃い目にしてみた。理由はレベル4がいるということだ。

葵「今日もお疲れ。えっと、スバルとティアナ。お前らは残ってもらえるか?」

ティア「え? はい」

葵「スバルはナカジマ三佐とギンガに連絡を取って今日は午後から休むようにいってくれ」

ス「? 分かりました」

 その後、昼食を取った後108部隊の隊舎に向かった。

ゲ「久しぶりだな葵!」

葵「お久しぶりです。ゲンヤさん」

ギ「あ、葵さん!」

葵「ギンガか。綺麗になったもんだな」

ギ「き、綺麗だんなんて///」

ゲ「立ち話もなんだ。中に「いえ、それよりお二方を連れていきたい場所があるので」そうなのか? どこだ?」

葵「まぁ、乗ってください」

 そういって車を走らせること数十分。

ティア「す、すごい・・・」

ス「おっきぃいいい!」

葵「ようこそ。ガーディアンへ」

 そう。ここはガーディアン隊舎。構造は隊舎と寮、訓練施設など様々な施設が並びたち、広さもかなりのモノだ。

白局員「葵さん! お疲れ様です!」

葵「ティーダはいるか?」

白局員「はい。今日は非番だそうで」

葵「なら呼んでくれ」

 そして、中に入ると、

ティア「兄さん!」

ティ「ティア!?」

 ティアナは真っ先に兄であるティーダに抱きついた。

ティ「あ、葵!」

葵「よっ。今日はお前とゼスト達に用があってな」

ゲ「ゼスト!?」

ギ「あ、葵さん。ゼストさんは」

葵「まぁ、ついてくればわかる」

 そういって私は奥に入っていき、訓練施設の前で、

葵「いたな。ほれ、見てみろ」

ス・ギ・ゲ「「「お母さん(クイント)!?」」」

 そう、訓練を行っているのはゼスト隊のメンバー。相手はトーレ、オットー、ディエチ、ディードの4人だ。

葵「ゼスト、メガーヌ、クイント。訓練を一時中断してくれ。特にクイント。お前に合わせたい客がいる」

クイ『あら? 誰かしら』

 そういって訓練室から出てくると、

ス・ギ「「お母さん!」」

クイ「え!? スバル!? ギンガ!?」

ゲ「クイント!」

―ガスッ

葵「・・・・え?」

ティ「・・・おい」

 感動の再会にゲンヤさんが混じろうとしたらかかと落としを喰らったぞ?

葵「・・・ティーダ、ティアナ。感動の再会ってまさに、スバルとギンガのような感じだと思うんだ」

ティア「・・・はい。そうですね」

葵「・・・じゃあ、あれはなんだ?」

ランスター兄妹「「・・・・・惨めな父」」

 それから数分後、泣きやんだ二人と、みじめな父に説明。

ゲ「なるほどな。でも、そこまでできるってことはお前はかなりの上級階級か?」

葵「あぁ〜、ゲンヤさんこっちに」

 そういってゲンヤさんを隅っこにこさせ身分証を提示する。

ゲ「!? お、おい、こ、これはシャレにならんぞ!?」

葵「事実です。ただ、今まで通りでお願いしますね」

ゲ「でもよ!?」

葵「ティーダ達も知ってますよ。でも態度は? 私が目指す部隊はアットホームなんで」

ゲ「分かった」

 すると、奥から、

???「ん? そこにいるのは葵じゃないか!」

ゲ「!? あれって!?」

ギ「じぇ、ジェイル・スカリエッティ!?」

葵「お疲れ。で、どうだ?」

ジェ「今のとこ状態はいい。あと少しで量産化できる。対ガジェット戦用ガジェットがね!」

葵「そうか。ん? どうしたお前ら?」

ス「あ、葵さん!? ジェイル・スカリエッティですよ!?」

ティア「こ、広域次元犯罪者ですよ!?」

葵「あぁ、それは違う」

ティア「な、何がですか!?」

葵「こいつは広域幼女誘拐犯罪者だ」

ジェ「まだ引っ張るかそれを!?」

葵「事実だろ?」

ジェ「あれはやむえずだな!」

葵「と、まぁこんな奴がそれに見えるか? それにちゃんと理由もある。それはそのうち説明する。今は話せない。あと、ウーノその拳を下せ」

ウ「・・・仕方ありません」

 その後はジェイルのバカさが見えたのと、スバル、ギンガ、ティアがそれぞれの家族と何やら話していた。


SIDEナカジマ家


クイ「あら、そうなの。ということは二人とも?」

ス「うん・・・ってお姉ちゃんも!?」

ギ「・・・うん。実は、あの事故から///」

クイ「そうか。でも、彼にはライバルが多いんじゃない?」

ギ「そうなの!?」

ス「うん。ティアも多分。でもそれ以外にもなのは隊長やフェイト隊長、はやて部隊長。アリシアさん、それに、ヴィータ副隊長にシグナム副隊長、シャマルさん、アイン准等空尉、孤狐さんにヴェルさん」

ギ「み、皆きれいどころばっかり・・・・」

クイ「大丈夫よ! 私の自慢の娘なのよ!」

ギ「で、でも・・・・」

 やはりギンガも自分が人ではないことに怯えているようだ。

ス「大丈夫だよギン姉。葵さんもう私たちが戦闘機人だって出会ったときに分かってたみたいだよ?」

ギ「そ、そうなの!?」

ゲ「そいつは初めて知ったぞ!?」

クイ「そうね。私に確認取ってきたぐらいだし」

ゲ「な、何って聞いたんだ?」

クイ「確か「お前の娘と出会ったが、いい目をしているな」って。あと「あんな無垢な瞳を見たのは久しぶりだよ」とも言ってたわね」

ス・ギ「「ふにゃぁ〜///」」

 二人は顔を真っ赤にしたうえさらに、頭から煙が出ていた。

クイ「後で、あなたちのことをどうも思わないのって聞いたら「生きているんだ。ならそれだけで幸せになる権利も未来を見る権利もあるだろ。戦闘機人って言っても感情も、意志も持っているんだ。人と何が違うんだ?」って逆に聞かれたぐらいよ。彼にとっては生きていればそれでいいみたいな感じなのよね」

 その後は葵の落とし方などをしっかりと教える母とそれを学ぶ娘二人、そして心配する父だった。


SIDE out

SIDEランスター兄妹


ティ「そうか、葵をね・・・」

 ティアナが葵のことを好きだと打ち明けたはいいが、上司として人としても尊敬でき、自分の道を示してくれた恩もおある。だが、

ティ(妹を・・・妹のティアナを取られるのは!)

 と、自分にとって大切なティアナを取られるのはと思っているシスコン。

ティア「それに葵さんは色々とアドバイスも、迷惑もかけちゃった。でも、それでも葵さんは支えてくれるって・・・」

 そして先日のこと、その前のことから支えてくれていたと事を兄に話す妹。

ティ「そうか。お前にも迷惑をかけたな」

ティア「ううん。勝手に自分が思ってただけだし」

 すると兄も決心を固めたのか、

ティ「よし、なら兄ちゃんも協力しよう! あいつが義弟になるというのは嬉しいしな」

ティア「ホント!?」

ティ「あぁ。でも、葵の周りって結構強敵ぞろいじゃないのか?」

 そして、ティアナもおんなじ人を言うと、

ティ「・・・・なにそのハーレム・・・応援の前に仕留めるか」

ティア「だ、ダメだよ!?」

 殺意すらわくだろうな。

ティ「まぁ、こっちの部隊内でも結構な人気だしな。まぁ妹の初恋だ。実らせてみせよう!」

 そう言ってティーダは妹に葵の情報を提供し作戦を練った。


SIDE out


ジェ「しかしよかったのかい? 彼女たちに教えて」

葵「別にいいだろ。たまには母のぬくもりを与えてやっても。それに彼女自身が何かしたので はないんだ」

 そう言ってウーノの入れた紅茶を飲む。

葵「そう言えば妹達はどうなんだ?」

ウ「はい。騎士ゼスト達のおかげで。あと、ドゥーエやクアットロも元気ですよ」

葵「そうか。あと少ししたら出した子達を借りる。さすがに状況がまずい」

ジェ「そんなになのか?」

葵「あの一件の時レベル4を二体確認した。早急に手を打ちたいんだが・・・海のバカどもが」

 そういって一枚の書類を出した。その書類には、

ウ「『対【不の者】作戦本部設立案』? これのどこが不満なんですか?」

葵「人間を見たらわかる」

ジェ「・・・あぁ、なるほど。これは確かにバカだな」

 ジェイルの言うとおりその書類上の作戦上の人間には白はむろん、陸のだれも加わっていない。つまり海だけで構築されているわけだ。

葵「バカがやることだ。こっちも対応した部隊を陸と共同で作ったがな」

 その書類上には海も陸も白も関係なく入れた。使える人間は使う。しかも聖王教会でも関係ない。

葵「いま重要なのはどれだけ連携できるかだ。バカはバカなりにあらがって被害でも出しておけばいい。手も貸さないがな」

ジェ「二重構造になるぞ?」

葵「構わん。次の予算委員会の時に市民に問うだけだ。どちらかを選ぶかを。もしこちらを選ばなかったらそのまま引っ込み独自でやるよ」

 すでにどちらに転んでもいいように作戦は作ってある。

 その後はトーレ達の訓練につきあった。

 まぁ、結果は・・・

ト「・・・あ、あれ・・だ・け動いて・・・」

セイ「い、いきが・・・」

オ「き・・・れな・・いなんて・・・」

ディ「あ・・・にさまは・・・・」

ディード「・・・す・・ごい」

葵「魔法や既存の能力に頼るな。それに体力の向上をすればいかなる環境下におかれても多少は緩和される。体を鍛えろ。魔力、能力よりも前に」

 訓練内容は五対一。まぁ、訓練という名の模擬戦だがな。

葵「うむ。まぁジェイルに作ってもらったあのリストバンドも役に立っているようで、まず何より」

五人「え?」

葵「時間が延びている。今まで五対一でも一分持つか持たないかだったが今では三分にまで伸びた。いい成長具合だ」

ト「ほ、本当なのか!?」

葵「まぁ、実際傷もつけられているしな」

 そういって腕を見せると、確かに切り傷があった。非殺傷設定のため、傷といっても跡ぐらいなのだが。

葵「これに慢心せず、精進すること。いいな?」

五人「はい!」

 その後、時間も時間なのでゲンヤさんとギンガを隊舎に送り、私たちも六課の隊舎についた。日もいい具合に落ちていた。

ス「あの! 葵さん!」

葵「どうした、スバル?」

ス「あ、あの・・・その・・きょ、今日は・・ありがとうございました!」

 そういって頭を下げる。

葵「気にするな。私がしたくてしたことだ」

ティア「それでもですよ。葵さん」

 さらに、ティアナまで加わった。

ス「お母さんから聞きました。お母さんを助けてくれたのも、ティアのお兄さんを助けてくれたのも葵さんだって」

 しゃべったのかあいつら・・・まぁ、別にしゃべるなともいって無かったし。

ティア「・・・これはそのお礼です」

ス「あ!!?」

―ちゅっ

―シュゥゥゥ

ティア「痛っ。これ・・・なに?」

葵「!?」

 いまだに脳処理が追い付かない。え? なに? どうした私!?

ス「・・・ティアばっかりずるい! あたしも!」

―ちゅっ

―シュゥゥゥ

ス「痛い! え? ティアこれって何?」

ティア「分かるわけないでしょ!? 葵さんこれ・・・あれ?」

葵「あぁ・・・私がついに部下にまで手を出したのか・・・あぁ、どうしたらいいんだ・・何でこうも私は・・・」

ス「え? あ、葵さん!?」

(あぁ、大丈夫ですよ。いつもこうなるんです。マスター)

(軽い鬱状態だな。自分がモテるはずも無い。とおもって、その幸せをって・・・まぁ、お前らも伝えることがあるんだろ)

ス「あ! ありがと、エクス、ルミル! 葵さん!」

葵「・・・なんだ?」

 私はなんとか気を取り戻し、スバルたちの方を見る。

ス「あたし、スバル・ナカジマは葵さんのことが大好きです! 絶対に振り向かせてみせますから!」

ティア「私、ティアナ・ランスターも神無月葵さんのことが好きです! 誰よりもこの世の中で!」

 彼女たち笑顔は今までの中で一番輝いているような気がした。

ス「葵さん、これ何ですか?」

 そういってスバルが左手を見せる。

葵「あぁ、それは―――」

 そして契約の説明。一度全員のを確認しないといけないかもな・・・はぁ。


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