小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第二二話



 翌日約束通り聖王教会に行くことになったのだが・・・

ヴィヴィオ「やだ〜〜!! いっちゃやだ〜〜〜!!」

 と、私たちが行くことに泣きながら駄々をこねている。

葵「あぁ、泣くなヴィヴィオ。いいか、行って欲しくないのはコロナやリオも一緒なんだ。でも二人はちゃんと我慢してるだろ?」

ヴィヴィオ「うっ・・・・」

 あぁ、また泣きそうになっているな。

葵「大丈夫だ。すぐに帰ってくるから。ちゃんと守ってるって約束したらおまじないもしてやるから」

ヴィヴィオ「・・・うん。わかった」

葵「いい子だ。じゃあ約束のおまじないだ」

―ちゅ

ヴィヴィオ「えへへ〜///」

 恥ずかしいが、おでこにキスをする。

リオ「! お父さん私も!」

コ「私もしてほしいです!」

葵「わ、分かったから」

 そう言って二人にも一緒のことをする。

リオ「えへへ///」

コ「やった///」

 その場にいた全員(はやて、なのは、フェイト、スバル、ティア)は、

全員(う、うらやましい・・・・)

葵「三人ともいい子で待っているんだぞ」

娘達「「「は〜い///♪」」」

葵「スバル、ティアナ、キャロ、ルーテシア、エリオ、アギト!」

フォワード「「「「はい!」」」」

ルー「ん?」

アギト「おう!」

葵「この子たちの面倒を頼めるか?」

フォワード「「「「え?」」」」

ルー「うん。いいよ」

アギト「任せとけって! 兄貴の頼みだ!」

 その後、車を走らせて聖王教会に到着する。

 シャッハに先日のことを謝罪され、気にしていないと伝え終えると、シャッハの案内の元カリムの執務室まで案内される。扉を開けるとカリムとクロノがいた。

は「失礼します、八神はやて二等陸佐であります」

な「高町なのは一等空尉であります」

フェ「フェイト・テスタロッサ執務官であります」

葵「神無月葵一等空佐であります。それからお久しぶりです。騎士カリム」

 すると、カリムは席から立ちいきなり抱きついてきた。

葵「おっと」

カ「はい。お久しぶりです葵さん///」

 そのままちょっと頬を朱に染めながらも抱きつく力はちょっと強くなっていく。

な・フェ・は「「「あぁあああああ!!!」」」

 そしてそれぞれが言いたいことを言い始める。

は「カリム!? どういうこっちゃ!?」

な「そうですよ! 何って不きn・・・じゃなくてうらやましいことを!」

フェ「なのはの言うとお・・・ってなのは!?」

 なのはよ、建て前と心の声が逆になったぞ? 後フェイトもそれにつられそうだったし。

カ「あら、久しぶりだったもので。あと、私にはこれもあるんですよ」

 そいって左手を見せる。すると、

は「葵君、これはどういうこっちゃ?」

な「待ってはやてちゃん。葵君は初心なんだよ。つまりこれは」

フェ「騎士カリムから・・・」

 まぁそこからはいい争いだ。

葵「・・・久しぶりだなクロノ」

ク「ほっておいていいのか?」

葵「自ら死に行くのか? 墓に花ぐらいは持っていてやる」

 そういってあそこの言い争い(女の戦場)を見る。

ク「・・・時間が解決してくれるだろう」

葵「そうだな」

 そういってシャッハの入れた紅茶を飲む。

 それから数分後、たがいに認め、私を共有財産とすることで落ち着いた。というかいつから私は物扱いになったんだ!?

ク「久しぶりだな、フェイト執務官」

フェ「クロノ提督もお久しぶりです」

 フェイトも事務的な返事をする。それを見たカリムは微笑みながらフェイトとクロノに言う。

カ「ふふ、二人共そう堅くならないで? 私達は個人的にも友人だからいつも通りで平気ですよ」

ク「と、騎士カリムも仰せだ。普段と同じで」

は「そうやで」

はやてとクロノがカリムに同意する。それを聞いたなのはとフェイトは言う。

な「じゃあ、クロノ君久しぶり♪」

フェ「お兄ちゃん、元気だった?」

 何でも近所付き合いで自然とそう呼ぶようになったらしい。まぁクロノもまんざら嫌そうじゃないけどな。何でもエイミィの入れ知恵らしい。

ク「それはよせ。もうお互いい歳だろ///」

 そして互いに昔話に話を咲かせつつ、本題に入っていった。

は「さて、この前の動きについてのまとめと、改めて機動六課の裏表について。それから今後の話や」

ク「さて、六課設立の表向きの理由はロストロギア、レリックの対策と独立性の高い少数部隊の実験例。知ってる通り、六課の後見人は僕と騎士カリム、そして僕とフェイトの母親で上官のリンディ・ハラオウン総務統括官にはやてつながりでギル・グレアム提督だ。それに加えて非公式ではあるが、かの三提督も設立を認め、協力を約束してくれている」

カ「そしてその理由は、私の能力と関係があります」

カリムは席を立ち、紐に結ばれ束になっていた紙を取り出す。そして、その紐を解くと、紙は光出し、カリムを囲むように浮く。

カ「私の能力、プロフェーティン・シュリフテン。これは最短で半年、最長で数年先の未来、それを詩文形式で書き出した預言書の作成をすることが出来ます。二つの月の魔力がうまく揃わないと、発動することが出来ませんから、ページの作成は年に一度しか出来ません」

葵「これは・・・古代ベルカ文字なのか?」

カ「はい。ですから、解釈ミスを含めれば、的中率や実用性は割とよく当たる占い程度です。あまり便利ではありませんが・・・」

ク「聖王教会はもちろん、次元航行部隊のトップもこの預言にはよく目を通す。信じるかは別として、有職者の予想情報の一つとしてな」

そこに、はやてが補足する。

は「因みに、地上部隊はこの預言がお嫌いや。トップのお人が、この手のレアスキルとかがお嫌いやからな」

フェ「レジアス・ゲイズ中将だね」

ク「まあ、そんな騎士カリムの預言能力により、数年前から少しずつ、ある事件に発展しそうな詩文が書き出されている」

クロノはカリムのほうを見て、カリムは頷き話し出す。

カ「これが、預言の内容です」


――古い結晶と狂いし者たちの王が集いし時、過去の大英雄がこの時代に生まれる


――されど、狂いし王と不の者により大地の法の塔を焼き落とされる


――死せる王の力の下、聖地より彼の翼を蘇らせる


――大英雄は狂いし王と不の者に戦いを望む


――遙か彼方の海から英雄達は大英雄の元へ集い狂いし王との最後の決戦を挑む


――大英雄命をかけてこの世界守りぬき灯を消し去る


カ「これのうちわかるモノはありますか?」

葵「・・・・まず整理をしよう」

 そういってこの部屋全体に結界を張る。

ク「結界・・・それほど重要なことなのか?」

葵「まぁな。いいか。このことを知っているのは私を含め5人だ。そのうち三人は三提督」

全員「!?」

葵「これを口外したものはどうなるかは・・・分かるな?」

 全員の確認を取る。

葵「まず六課の設立だが、これには後4名極秘裏についている」

 そういってモニターを見ると。

は「な!? レジアス中将!?」

ク「それだけじゃない。葵に孤狐に、ヴェル!?」

カ「白から三名も・・・でもあそこに将校はいないはずでは?」

な「これはどういうこと!?」

フェ「葵・・・あなたは・・・」

葵「私の正式な階級は管理局副元帥だ。管理局におけるナンバー2。そして、孤狐とヴェルは最近一階級昇進に伴い少将だ」

全員「・・・・・・・」

 その場にいた全員はまるで歯とが豆鉄砲を喰らったような表情をしていた。あぁ。この場合次に来ることが予想できる。その動作として耳をふさぎ、その直後、

全員「副元帥いいいいいいいいい!?」

 と、大声がくる。そしてある程度収まったところで、

葵「あぁ。だからいつもレジアスの隣にいただろ。カリム、レジアスが最近お前の予言に耳を傾けるようになったのは知っているな」

カ「え、ええ。それに教会にも協力的になっています」

葵「まぁ心変わりしたと言えば分かるか。六課の当初の設立の目的は【不の者】に対する少数精鋭部隊の実験だ」

 そういってミッドの他の対応などを見せる。

葵「並びにガーディアンには現在対【不の者】並びにガジェット討伐実験部隊として戦闘用ガジェットの導入も検討されている」

フェ「どういうこと!?」

葵「現在ジェイルの協力のもとに行われている対策だ」

 その言葉に全員が黙った。だが、フェイトが。

フェ「どういうつもり葵!? ジェイルは、ジェイル・スカリエッティは犯罪者なんだよ!?」

葵「・・・黙れよフェイト」

フェ「!?」

葵「なにも知らないで、なにも調べようとせずただ上からこいつは悪だといわれ情報をうのみにしたお前がそれを言うか?」

フェ「でも!」

葵「まぁ、これを知ればお前の身にも危険が及ぶからな。そうだな。ジェイルは管理局が【作りあげた犯罪者】だな」

フェ「・・・・どういうこと」

 そういって私はジェイル・スカリエッティがどういう人物か語った。管理局に悪になるために作られた人造魔導師。そして、娘と出会い改心した。だが、管理局がそれを許さず逆に娘を利用したこと。そして偶然私の元へ逃げ込めたこと。そして今はただの親馬鹿な男と。

葵「これがジェイルだ」

フェ「そ、そんな・・・・」

葵「証拠ならあるぞ。ほれ」

 そういって書類を出した。

 それを三人は読み顔を青く染めて行く。

葵「後これは口外禁止だ。いいな」

は「なんでや!? 管理局がこんなに悪にそまっとるのに!?」

葵「その計画に参加した最高評議会はすでに零始の手で破壊。後加わったプロジェクトチームは物理、社会問わず抹殺。局員に関しては全員をクビにした。だが、残党はまだいるし、発見されていない屑も多い。そのため、お前らが下手に首を突っ込んでみろ。周りの関係者全員が殺されるぞ。女子供容赦なく」

 その容赦ない言葉になのは達はさらに顔を青く染めた。

葵「わかったな」

 しぶしぶだが三人とも了承した。

葵「さて、次だ。この予言のうちいくつか分かっているワードがある」

な「不の者は、そのまま【不の者】だよね」

葵「あぁ。で狂いし王というのは零始だろう。大英雄、英雄は零始と戦ったものたちのことだろう。実際すでに私が元いた世界から三人呼び寄せた」

ク「平行世界から協力者を呼んだのか?!」

葵「じゃないと世界が滅ぶぞ。海はバカばっかりだ。誰も陸、白などといった【不の者】との戦いにおける経験者を誰も呼んでいないんだ。だから予算委員会で、そこの部署の予算をゼロにして即効つぶしたがな。で、古い結晶はレリックのことだ思うんだが・・・翼と死せる王というのはわからない」

 すると、全員が一呼吸した後、

ク「一つ確認させてくれ。ジェイルは今どこにいる」

葵「ガーディアンの隊舎だ。現階級は准将でガーディアン技術局局長を務めている」

カ「准将!?」

葵「あいつの発想はすごくてな。片腕を亡くした局員に義手を作ってみたりと参考になる技術がある・・・・・だが!」

 すると、明らかに怒りの表情にその場人間が驚いた。

葵「自分の娘に夜這させる親がどこにいる!? 一緒に風呂に入らせる親がどこにいる!? 私の精神やら理性がいろいろと危ないことをさせる奴がなぜ稀代の天才だと呼ばれるんだ!?」

 すると、はやてたちが、

は「〈なぁ、ジェイルってそんなうらやましいことさせとんやな。自分の娘に〉」

な「〈うん。わたしもしたいな・・・夜這い〉」

フェ「〈・・・一緒にお風呂も入りたいな・・・〉」

葵「というわけだ。質問などあるか?」

カ「はい」

葵「どうぞ」

カ「なぜ身分を偽っていたんですか?」

葵「簡単だ。一つは行動しやすいということだ。上にいるといろいろなしがらみがまとわりついて動きにくい。二つ目は管理局の屑どもを油断させるためかな」

カ「く、屑って・・・」

葵「上層部だ。それもほとんどが金、コネなどを使って上り詰めた実力なしの本当にゴミクズのような奴ばっかだ。まぁほとんどクビにして社会的抹殺をしたがな」

 叩けば埃ばっかだったな。おかげで裁判がしやすかったことこの上ない。

ク「その後は確か陸やら白が大半を占めていたな。あれも作戦か?」

葵「そうだな。海に広域探索をさせないための法案可決もいっきに行ったしな」

ク「あれは君だったのか!? なぜやめさせるんだ!?」

葵「あのなクロノ。広域探索とは言葉を変えれば侵略行為だ。これで実際戦争に発展した世界がいくつもある。その後の保証や手当、復興支援は全く行っていない。ただの侵略行為だ」

ク「そ、そんな・・・・」

葵「そればっかりじゃない。それを理由に陸から優秀な魔導師を引き抜いて使えなくなったらポイ。おかげでミッド及びクラナガンの治安低迷、人手不足といった問題が現れるわだ。こっちの身にもなってくれ」

な「・・・でも正義の組織なんだよ管理局は!」

葵「寝言を抜かすなよなのは」

な「え・・・」

葵「我々管理局の目的はあくまでも治安維持組織だ。国民の税金や管理世界らの寄付金。でもそれも元を辿れば税金だ。それらを給料とした公務員だ。それに管理局に正義なんぞ無い。正義ならなぜデバイスを持つ? なぜ武器を持つ? なぜ子供に武器を持たせさぁ戦えなんて言える? ましてやさっき言ったように汚職やら人体実験などしている組織が正義と言えるか? そもそも正義という言葉は悪の反対後のために生まれたモノなんだ。実際にあるわけじゃない」

は「でも葵君のおかげで治安向上しとんやろ! レジアス中将もいっとったし!」

葵「微力ながらな。なのは。真実を知った上で聞く。お前はどうする」

な「・・・わたしは続けるよ。闘う子がいる以上は。わたしの二番目を作らないために」

葵「そっか。後騎士カリム。お願いがあります」

カ「なんでしょう」

葵「これは一個人としてのお願いです。もし予言にもあった決戦の際騎士団をすべて投入してでも協力してほしい。お願いします」

 そういって私は頭を下げた。

カ「あ、葵さん!?」

ク「な、何をしてるんだ!?」

 だが、頭はあげない。階級なんぞ知ったものか。

カ「・・・分かりました。その際は騎士全てを投入しましょう」

葵「ありがとうございます」

カ「だから頭をあげてください」

 その後、カリムに娘達のことを話すとさらにヴィヴィオの後見人にもなった。カリム達と別れ六課に戻っていった。


SIDEカリム・クロノ


ク「カリム。君も薄々感じていると思うが・・・」

カ「えぇ・・・この大英雄・・・多分葵さんかと・・・でも!」

???『そうだな。予言は所詮予言じゃ』

 その突然の通信に二人は驚いた。

ク「レジアス中将!?」

レジ『どうせ若いお前らだ。受け付けんとかそう思ったんだろ?』

若い二人「「うっ!?」」

レジ『これがあったから嫌いじゃったんじゃよ。あいつはわしにとっても恩人だからな』

ク「?」

カ「それはどういう・・・・」

レジ『年寄りの道を正しい道へと修正してくれた。とだけ言っておこう。あと、予言は所詮予言だ。変えることなどいくらでもできる。ならわしは私利私欲と言われてもかまわん! 全局員を導入してでもあいつを守る! それだけじゃ! お前らはどうすんだ』

ク「・・・そんなの決まっているじゃないですか!」

カ「ええ!」


SIDE out

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