第二一話
あの後聖王病院へ送り、今は六課に戻ってきている。
六課に帰宅すると真っ先に、
ク『葵!? 君はいったい何者なんだ!?』
というクロノの叫びから始まった。
葵「・・・そっちに情報行かなかったか?」
ク『情報?』
葵「・・・・まぁ、来てから連絡してくれ」
そう言って通信を切った。
食堂では、ウルナ、朱音、竜也が管理局の組織について語っていた。傍から見ればただの管理局の批判だった。
は「あ、あの、葵君。あの人らは?」
葵「あぁ、お前ら、自己紹介しておけ」
ウル「うにゃ? 自己紹介ならしたよ?」
葵「こっちのじゃない。あっちのだ!」
竜「そうだな。申し遅れた。AKU代表騎士団蒼穹の騎士団ナンバーⅫ。師走竜也だ」
葵「ちょっと待て。その48人にそうアイドルグループの名前の組織は何だ?」
朱「葵は知らないか。AKU。All(全) Knight(騎士) Union(連合)の略称。あの大戦後、葵の処分に不服を持つ騎士団、というか大戦参加騎士団が反旗を翻しI.W.U.を討伐したの。その後それに代わって国際組織として騎士団が受け持つようになったの。申し遅れました。同組織所属ナンバー?の卯月朱音です」
ウル「その名称が全騎士連合。で、代表が葵の作った蒼穹の騎士団。はじめまして、同組織ナンバー?皐月ウルナでーす!」
その紹介にみんながかなり唖然。当然私もだ。
な「・・・めちゃくちゃなの」
フェ「葵は知ってたの?」
葵「言ったろ、大戦後。つまり大戦というのは私が死ぬまでのことだ。私は知らん」
アリ「・・・なんかごめんね。ということは葵君はそのAKU? の一番の偉い人?」
葵「あり得ないだろ。死人を「そうだが」待て、竜也」
その言葉はどういう意味だ?
朱「どうもこうも葵は死んでからも名誉騎士団長兼AKU総帥だぞ」
ウル「実際は葵を除くfamilyが役割分担して地球の行政を行っているんだけどね」
その後は身辺で起こった出来事などを聞かせてもらったぐらいかな。
葵「というかウルナ。その歳で高校の制服は無いだろ」
ス「え? ウルナさんってそれぐらいの年じゃないの?」
葵「私と同い年だ」
全員「え―――!!」
まぁそれだけ若く見えるんだろ。童顔だし。その後は、
チ「独立機動部隊ガーディアン所属チンク、階級は一等陸士だ。よろしく頼む」
セッテ「同部隊所属セッテ。二等空士」
ノーヴェ「同部隊所属ノーヴェだ。階級は三等陸士だ」
ウェ「同部隊所属のウェンディっす! 階級は三等空士っす! よろしくっす!」
ルー「同部隊嘱託魔導師ルーテシア・アルピーノ。・・・よろしく」
アギ「アギトだ! よろしくな!」
と、新しく配属される人間の紹介をしていた。
アギトは花火の特典付きで自己紹介。
葵「しかしルーテシアまで送ってくるとは思わなかった」
ルー「お母さんが葵のそばなら安全だろうって」
葵「そうか。後ルーテシア、アギト、援護ありがとう。ガリューに伝えといてくれ」
そういってルーテシアの頭をなでる。アギトは私の肩に乗り満足そうにしていた。
葵「それとスターズ、ライトニング以外にもテイルズ、ウィングスの二つの部隊を増設。テイルズの隊長には孤狐、副隊長に朱音、隊員にチンク、セッテがついてくれ」
孤・朱・チ・セ「「「「了解!」」」」
葵「ウィングス分隊の隊長にはヴェル、副隊長にはウルナ、隊員にノーヴェ、ウェンディを配置」
ヴェ・ウ・ノ・ウェ「「「「了解(っす)!」」」」
葵「ルーテシア、アギトにはライトニングに入ってもらう」
ル「わかった」
アギ「おうよ!」
葵「二つの総隊長として私が指揮を執る。だが、あくまでも現場優先だ。そこを忘れないように。ロングアーチには竜也を派遣」
竜「あぁ」
葵「六課に対しこれより対ガジェット並びに【不の者】掃討部隊の参加を要求する」
は「はい! 了解しました!」
はやての了承を得て六課も正式に【不の者】掃討作戦に加わった。
翌日。
葵「聖王病院へ行ってくる」
な「あれ? 葵君も?」
葵「あぁ、車もこっちにあるしな。ついでにドライブ感覚で行ってこようかと思って」
シ「なら、ついでに私たちも乗せてもらえないか?」
葵「あぁ、構わない」
二人を乗せて、そのまま聖王病院へ向かう。
シ「すまないな。運転してもらって」
葵「気にするな。運転するのは嫌いじゃないし。というか後ろのなのはをどうにかしてくれ・・・」
後ろのなのはかなりふくれっ面で、ご機嫌斜めだ。
シ「勝負の世界は常に切ないモノだ」
葵「・・・・じゃんけんで勝敗を決めたとは思えない重々しいセリフだな」
勝負の内容はどっちが助手席に座るかということだったんだが、まぁ真剣バトルになりそうだった。食堂でレイジングハートとレヴァンティン展開するなよな・・・・ほんとに。ところをウェンディが、
ウェ「じゃんけんで決めたらいいっすよ! 葵兄は喧嘩は嫌いっすよ〜」
と言ったらぴたりとやめ真剣バトル並みのじゃんけんを見させてもらえた。背景に竜とトラが見えて地球出身組は『おぉ〜』とか『初めて実際に見た〜』などの感嘆の声だったし。
シ「しかし。検査が済んで何かしらの白黒がついてらどうなるのだろうな」
な「うん・・・当面は六課か教会が預かるしかないね」
葵「まぁ、いざとなったら私か引き取ろう。同年代の子供を二人いるんだ。それに二人も三人も変わらないしな。まぁあの子の意志を優先的に尊重はするがな」
そういって笑う。
な「相変わらず優しいね、葵君は・・・」
葵「偽善だ。自分が納得のいく結果だけを追い求めているだけにすぎん」
シ「それでもだと思うぞ。子供をそう簡単に引き取るなんていえんだろ。ましてや何があるか分からない子供だ」
葵「・・・子供は元来無垢な存在だ。罪など無い」
すると、聖王教会のシャッハから通信が入った。
シャッハ『騎士シグナム! こちら聖王教会のシャッハ・ヌエラです!』
シ「どうされました?」
シャッハ『すみません、こちらの不手際がありまして検査の合間にあの子が姿を消してしまいました!』
葵「少しスピードを上げる。後数分でそちらにつく」
シャッハ『葵さん! すみません』
そして数分後聖王病院につくと、走ってこちらに来るシャッハの姿があった。
シャッハ「申し訳ありません!」
な「状況はどうなっていますか?」
シャッハ「特別病棟とその周辺の避難と封鎖は済んでいます。今のところ飛行や転移、外部からの侵入は確認されていません」
葵「ということはまだ敷地内にいるわけか。
な「手分けして探しましょう。シグナム副隊長」
シ「はい」
シグナムとシャッハは特別病棟へ向かった。
ル
エ
葵「分かった。なのは」
な「うん」
庭の方へ向かいあたりを確認すると、茂みの中から少しおびえたオッドアイの子がいた。
少女「あ・・・」
な「こんなところにいたの。心配したんだよ?」
そういってなのはが近づこうとしたとき、
シャッハ「逆巻けヴィンデルシャフト!」
すると、いきなり目の前には武装したシスターシャッハの姿がいた。
な「え!?」
葵「・・・このバカシスターが!!?」
―ゴスンッ
迷わずシャッハの頭に拳骨を落とす。
シャッハ「っ〜〜〜〜〜!!!?」
葵「子供に対して武装して出てくるバカがどこにいる!?」
シャッハ「ですが!?」
葵「余計におびえさせるだけだろうが!」
シャッハ「・・・すみません」
私は一つ溜息をし、少女の前まで行き、帽子を取る。
葵「はじめましてかな。おじちゃんの名前は葵というんだ」
な「お、おじちゃんって・・・」
シ「葵・・・お前はまだ20代じゃ・・・」
気にするな。
少女「あ・・・・あぁ・・」
まだ怖がっているか。なら、
葵「これなどいかがかな?」
そういって近くの人形を使って紹介した。魔法を使って人形を動かしてちょっとした芸を披露する。
少女「わぁ・・・」
少女も泣きやみその芸を見ていた。
葵「君のお名前は?」
ヴィヴィオ「ヴィヴィオ・・・」
葵「そうか。ヴィヴィオと「パパ!」は?」
すると、いきなり女の子が抱きついてきた。
ヴィヴィオ「パパだ!」
葵「・・・・なぜ?」
エ「〈マスターの魔力がこの子のに近い・・・わけがないよね〉」
ル「〈おそらく精霊の血による反応では?〉」
葵「〈無きにしも非ずか〉」
可能性としてはあるのだがこの子は精霊というわけではない。じゃあ何に反応したんだ?
だが、まぁヴィヴィオの方を見るとかなり満足そうな笑顔だ。
ヴィヴィオ「えへへへ〜♪」
葵「・・・まぁ、いっか。ヴィヴィオ。もう一回自己紹介だ。私の名前は葵、神無月葵だ」
ヴィヴィオ「葵パパ?」
抱きついたままでそのままの姿勢で何かおねだりというべきなのかそう言った感じの目で何かをいってきた。
ヴィヴィオ「だっこ!」
葵「いいよ」
私はそのままヴィヴィオを抱きかかえ、なのは達の場所に行く。
葵「シスターシャッハ。申し訳ないがこの子を引き取らせてもらえないか?」
シャッハ「え!? た、多分構わないと思いますが」
すると、なのはが何かを思いついたのか、
な「ねぇヴィヴィオ、わたしの名前は高町なのは」
ヴィヴィオ「なのは?」
な「うん。ところでヴィヴィオ。ママほしくない?」
ヴィヴィオ「ん〜、欲しい!」
まて、まさかこの流れは・・・
な「ならわたしがママになってあげる」
ヴィヴィオ「なのはママ?」
な「な〜に、ヴィヴィオ?」
頬笑みながらなのはヴィヴィヴォを見る。
ヴィヴィオ「えへへ〜〜♪」
ヴィヴィオもまんざら嫌じゃなさそうだ。むしろかなり喜んでいるしな。
・・・・しかしこれで終わるわけがない。
シ「な!? なのは抜け駆けはずるいぞ!」
な「ぬ、抜け駆けじゃないもん! あ! じゃあシグナムもママになったらいいんだよ!」
葵「まて、何そのいい案! みたいな「そうだな!」シグナム!?」
すると、シグナムもヴィヴィオの前に行き、
シ「ヴィヴィオ、私の名前はシグナムだ。出来れば、その、私も母と呼んでくれると嬉しいんだが・・・」
するとヴィヴィオが、
ヴィヴィオ「シグナムママ!」
シ「ママか・・・なかなかいい響きだ。擬似的だが葵と夫婦になれたし///」
シグナムとなのはは二人して別世界へ・・・あそこだけなんかピンクなんですが・・・
ヴィヴィオ「パパ! ママが増えたよ!!」
葵「・・・あ、あぁよかったなヴィヴィオ」
あぁ、このまま帰ったら絶対嫌な予感しかしない。
その後ヴィヴィオに付き合って検査中は私となのは、シグナムがつきっきりでいた。まぁ男性がいたらまずいところは出て行ったが扉の近くで待ってやった。
そして、養子にする手続きなどを済ませ、ヴィヴィオを連れて六課に戻った。
アリ「あ! お帰り!」
フェ「どうだった?」
葵「あぁ、この子を引き取ることにした。ヴィヴィオ、あいさつしなさい」
ヴィヴィオ「うん! 神無月ヴィヴィオです!」
孤「ほぉほぉ。ということは三児のパパか葵は。ヴィヴィオ、ボクの名前は孤狐。お母さんでいいよ」
ヴィヴィオ「孤狐ママ! パパ! またママが増えたよ!」
は「ん? また? ・・・・なのはちゃ〜ん、シグナム、ちょ〜っとええか?」
フェ「なのは、シグナム! どういうこと!?」
ヴィ「シグナム! あたしらのリーダーが抜け駆けか!?」
シャ「そうですよ! そんなうらやましいことを!」
アイン「そうだ! 抜け駆け反対だ!」
ヴェル「ヴィヴィオ〜、私の名前はヴェルだ。ママでいいぞ」
ヴィヴィオ「ヴェルママ!」
アリ「ヴェル抜け駆けダメって言ってるそばから!!」
それを傍から見ていた、ウィング、テイルズの分隊の方々は、
朱「これ毎日やってるの?」
ウル「やるね〜」
竜「ハーレムを形成していたとは・・・」
チ「入りたいが・・・何ともあの空間には」
ウェ「いいな〜っす」
ノーヴェ「あれ? セッテは?」
セッテ「ヴィヴィオ。セッテです。私のこともできれば」
ヴィヴィオ「セッテママ!」
セッテ「葵様と夫婦///」
さりげなく抜け駆けに参加していた。
葵「あぁ〜やっぱりこうなった・・・」
エリ「あ、あはははっ」
キャ「お父さんモテモテですね」
ルー「・・・でも、皆幸せそう」
すると、食堂の入口からコロナとリオが入ってきた。
リオ「あ。お父さん!」
コ「お父さん、そちらの子供は?」
葵「新しい家族だ。自己紹介しなさい」
ヴィヴィオ「うん! 私の名前はヴィヴィオ!」
リオ「私はリオ!」
コ「コロナです。よろしく」
その後、その場にいた朱音、ウルナを除く全員が後見人となることで落ち着いた。
葵「・・・よかったなっヴィヴィオ。たくさんママができたぞ」
ヴィヴィオ「やったー!」
コ「ヴィヴィオのお母さんということは私たちのお母さん?」
リオ「なんか一気にできちゃったね。しかも多い・・・」
葵「気が向いたらお母さんって呼んでやってくれ」
娘達「「「は〜い!」」」
仕事がない時は基本一緒にいるが、仕事などでいない場合はアイナさんやザフィーラに頼むとしよう。
ザ「葵か。帰ったのか?」
葵「あぁ。すまんザフィーラ。一人娘が増えた。護衛を頼めるか?」
ザ「心得た」
葵「ありがとう。さて、これからパパはお仕事だ。おわるまでザフィーラに遊んでもらうといい」
娘達「「「は〜い!!!」」」
その後仕事に戻った。あと、翌日クロノとカリムから仕事について話があると呼ばれた。