小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第二四話


SIDEジェイル


ジェ「来たか」

 私は今6課の隊舎の屋上にいる。そして待っていたのは。

フェ「・・・・・」

エリ「・・・・どうも」

 プロジェクトFによってつくられた、いや、生み出された存在の二人。

ジェ「・・・まず君たちに言っておこう」

 そういって二人の前に行き、

ジェ「すまなかった」

 そう。この一言が言いたいがために生きてきた。

フェ・エリ「「え?」」

ジェ「私は自分自身の娘達の命のためとはいえ、あのような計画を作った。そして、君たちを生み出すきっかけを作った。作られた命の気持ちは痛いほど分かっているにもかかわらず」

 私もあの脳みそどもに作られた存在。それがどれほどいやで、どれほど自身を殺そうと思ったか。

フェ「・・・・スカリエッティ。私たちはあなたのことをすでに知っています。葵から聞かされています」

ジェ「!? なんだと」

エリ「お、怒らないでください。お父さんは自慢の友人のことを何も知らないでけなされるのが嫌で、その・・・」

 まぁ、あいつらしい。

フェ「それでも私はあなたが憎い。どうして私が、なぜ私がって何度も考えた。何度もこの計画を作った人間を憎んだ。そして今目の前にいる」

ジェ「・・・あぁ、私は君たちなら殺されてもかまわないと思っている。それだけのことをしてきたんだ。許してもらおうなんて甘い考えは持っていない」

 彼女の眼を見るとそこには明確な怒りの眼があった。それこそ腹の底から底冷えするような。

フェ「でもこうも思ってる。あなたがもしこの計画を作らなかったら私は生まれなかった。そしてなのはやはやて、シグナム達はもちろん、葵にも出会うことはなかった」

エリ「僕も一緒です。確かに辛かったこともあった。でもお父さんと出会えてその辛さよりもお父さんと出会えた幸せの方が今は大きいですからだからスカリエッティさん『ありがとう』」

ジェ「!?・・・・まさか、お礼を言われるとは・・・」

フェ「だからといって許したわけではありません。ですがここであなたを殺してしまえばあなたの娘さん達が悲しみます。それも忘れないでください」

ジェ「あぁ。分かった」

 そう言って私はもう一度頭を下げた。感謝と謝罪を込めて。


SIDE out


 あの会議の後なぜか歓迎パーティーを開くことになり食事が作れる人間は全員が投入された。

葵「後何人前だ?」

は「あ、後14人分!!」

な「ふぇぇえん、きりがないよ〜〜」

朱「ほい。天ぷらでき上がり」

フェ「な、なんでこんなに!?」

竜「久しぶりだ。こんなに多くの料理作ったの♪」

 まぁ、私と朱音、竜也はあっちの世界で料理を大量に作っていたから別に関係ないが他のメンバーが・・・

 それから数十分後。

な・フェ・は「「「で、できた(の)〜〜」」」

葵「うむ。これだけできれば充分だろ」

朱「そうね。でもこれだけ作るのは久しぶりね」

竜「騎士団にいたときは毎日作ってたからな。階級は気にするな! というか無くせ! といった本人がいるからな」

 その後ゲンヤさんとギンガ、ゼスト隊とティーダも呼んだ。何でもあっちでも6課に用があったらしくちょうどいいといっていた。だが、到着早々、

ゲ「えぇ!? 何このメンバー!?」

ギ「ぎ、ギンガ・ナカジマ陸曹です!」

クイ「あらあら、緊張しっぱなしね」

などと緊張しっぱなしだった。

メ「元気にしてた? ルーテシア」

ル「うん♪」

ティア「兄さん!」

ティ「久しぶりだな。ティア!」

一方では、

ゼ「久しぶりだなレジアス」

レジ「あぁ! 今日は無礼講だ! 飲め飲め!」

 さぁ始めようレッツパーティー!

葵「楽しんでいるかお前ら?」

 そういって向かったのはジェイルの娘達とジェイルの場所だ。

ジェ「あぁ、こんな賑やかな食事は初めてといってもいいんじゃないか」

ウ「はい。妹たちとも高顔を合わせませたし」

ドゥ「でもよかったの? 私はそのままで」

葵「念には念だ。まぁそのうちゼストをもどうそうかとも思ってるし」

 そういってゼストとレジアスの方を見ると、レジアスが男泣きをしていた。

ジェ「だが、こうやって賑やかな食事をするということはもう縁がないモノだと思っていたがね。いいもんだ」

葵「そう湿った話はよせ。酒がまずくなる。楽しい時には笑っておけ。ここはそういう場だ」

セ「そうです」

チ「あぁ、葵の言うとおりだ」

ト「賑やかな場にはそれ相応の対応がふさわしいと思う」

ノ「ふぉおふぁぞ!(そうだぞ!)」

ウェ「ふぉんふぁふぉはふぁふぃくないっふ!(そんな顔はらしないっす!)」

セイン「ふぉーふぁふぉーふぁ!(そーだそーだ!)」

 ・・・・とりあえず。

葵「食べるかしゃべるかにしてくれ」

 すると3人とも食事に集中した。まぁ、これはこれで微笑ましいが。

クァ「それにしても〜、葵さんの料理美味しいですね〜」

葵「ありがとな。しかしあと一人ぐらいほしいな」

オットー「僕達だけだと不安なの?」

ディード「それは、ちょっと悲しいです」

 そういって二人とも俯くが、その二人の頭をなでながら、

葵「戦闘員は十分すぎるぐらいある。ただ技術者かな。ジェイルやウーノ、クァットロ、だけだと過労死してしまうぞ」

ジェ「そ、それは困る!! 誰かいないのか!!」

 そこに竜也が来て、

竜「道(みち)実(ざね)でも呼ぶか?」

葵「・・・あいつか」

ディエチ「そんなにまずいの?」

竜「いや、まずくはないんだ。実際俺たちの世界のデバイスだったか? それを開発している人間だったからな」

葵「確かこちらでいう第8世代型を作った人間だからな」

 第8世代型。それはもう補助具とはいえない代物だ。魔法適応者しか使えないことには変わらないが領域を広げたのだ。Dランク、つまりあるにはあるんだが微量という人間でも簡単に魔法を発動させることが可能な代物だ。

 また、月面艦隊の魔法砲の開発者でもある。

葵「だが呼べるのか?」

竜「まぁいざとなれば御三家に頼むよ。じゃあ、俺もまだ飲み足りないから」

 そういって手をひらひらと振りながら酒飲み場に戻った。

葵「お前らも楽しむといい」

 そういって次の場所へ向かった。



 続く!

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