小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第二五話


葵「次はっと。元気にやってるか?」

ス「あ! 葵さん!」

ギ・ゲ「「!」」

 すると、ギンガとゲンヤさんが急に敬礼をした。

メ「気にすること無いのにね」

クイ「そうそう。葵君、階級など飾りだ! て言って下は三士、上は三提督クラスまで平等に扱うし」

葵「あ〜、二人とも今までどおりでいいから。知らない連中ならともかく知った仲だし」

ギ「そ、そうですか?」

葵「あぁ。というかゲンヤさん。あなたには伝えたと思うが?」

ゲ「いや、実際に言われると・・・な? というか出世したな。一等空佐が副元帥だ」

葵「あぁ〜、そのことなんですが入局から1年後にはすでに中将まで行ってるんですが」

ゲ「え!?」

葵「あの事故の時にはすでに今の階級にいましたよ」

ゲ「わ、わりぃ・・・そうとは知らずに」

葵「構わない。別にそこまで気にしてはいない。それに階級など所詮は飾りだ。それをのければ私たち人間。だろ?」

クイ「そうね。ちなみに私もあなたの1個上官よ?」

メ「ちなみに私も」

ゲ「マジか!?」

ギ「お、お母さんとメガーヌさんが・・・え? でも今は?」

クイ「ゼスト隊にいるわ」

メ「クイントと同じ。葵君の配慮でそういう風にしたらしいわよ」

葵「クイントにはゼスト隊二番分隊隊長、メガーヌには三番分隊隊長をやってもらっている。いやぁクイントとメガーヌの活躍には感謝しているが・・・・」

 すると、だんだん暗くなり、

ス「あ、葵さん?」

ギ「えっと、うちの母とメガーヌさんが何かしたんですか?」

葵「メガーヌとクイントの訓練時にはお金が飛んで行くんだよ・・・毎回どこかしらは壊してくれるしジェイルが「強化したから大丈夫だ!」とお墨付きの訓練施設もいとも簡単に壊してくれるし・・・」

クイ「あ、あはははっ」

メ「ひゅ〜〜〜」

 吹けない口笛を吹きやがって! 経費のことも考えてくれ・・・い、胃が・・あ。

葵「それで思い出した・・・クイント、メガーヌ。私がいない間に五回も壊してくれたそうだな?」

クイ「ひぃ!」

メ「ガクガクブルブル」

葵「給料から引いておくからな!」

クイ「ごめんなさ〜い!」

メ「それだけはご勘弁を!」

葵「はぁ、ゲンヤさん。お願いですから訓練時は施設を壊さないようにきつく言い聞かせておいてください」

ゲ「あぁそうするよ」

 ちなみにガーディアンの予算のうち四分の一は修理費です!

 その後、ナカジマ家、メガーヌと別れ、次に、

葵「よっ。久しぶりだなティーダ」

ティ「あぁ。久しぶりだ葵!」

ティア「に、兄さん! じょ、上官だよ葵さん!」

ティ「気にしてないっての。な、葵」

葵「あぁ。フレンドリーに頼むといっている。それに部隊は1個の家族だ。な、ティーダ二等空佐」

ティア「兄さんそんなに出世したの!?」

ティ「あぁ。葵の部隊だと知らず知らずのうちに力がついて行った。葵に言わせればむしろ当然だといわれた」

葵「それだけの力を秘めているんだ。当然だろ」

ティ「あぁ。お前には感謝してもしきれない。俺だけじゃない。妹を救ってくれた。ありがとう!」

ティア「私も兄さんを助けてくれてありがとうございます!」

葵「肉親を失いたくないだろ。私はそれを守っただけだ。気にするな。じゃあ、楽しんでくれ」

 そういって次の場所へ向かった。

エリ「お父さん!」

葵「ん? エリオか。それにキャロとルーテシアにアギトも」

キャ「お父さん!」

ルー「葵」

アギト「兄貴!」

葵「楽しんでるか?」

四人「「「「はい!」」」」

 私は視界の隅に移ったエリオしかいないだろう皿に盛られた料理の山を見た。いやぁ〜食べるね。私の腰ぐらいの高さはあるんじゃないか・・・?

エリ「お父さんの料理はおいしいですから!」

 あれ? 読まれた?

―クイクイ

葵「ん?」

 裾を引っ張られる感じがしたのでそっちを見ると、ルーテシアが私の裾をひっぱていた。

葵「どうした? ルーテシア?」

ルー「お母さんを助けてくれて、ありがとう」

葵「なに、気にするな」

 そういってルーテシアの頭をなでる。

 すると、

アギト「兄貴・・・その、今さらだけどよ。あたしも助けてくれてありがとな・・・」

葵「はははっ。お前も笑う機会が増えたな」

アギト「え?」

葵「アギトもルーテシアもキャロもエリオも最近よく笑っている。子供は笑顔が一番だ。いつまでもその明るい笑顔を忘れないでくれ。それがあるから私は元気でいられるからな(戦争に巻き込もうとしている人間の言うセリフじゃないかもしれんが)」

4人「「「はい(うん)!!」」」」

 あれ? ちょっと待てエリオ・・・私と話していて食べる時間は無かったはずなのに、なぜ皿に料理がないんだ?

エリ「お父さんの料理はおいしいですから!」

葵「・・・そ、そうか」

 よし! これは突っ込んだら負けだということだな!

 次は・・・あそこかな。

レジ「ん? 葵か」

ゼ「久しいな」

葵「あぁ。レジアスにゼストも」

 あいさつを交わした後、もう一度グラスを鳴らし、あたりを見る。

レジ「・・・お前が加わって局は一変したな」

葵「そうか? まだまだやる余地はある」

ゼ「そうか。お前ならできるだろう。こんな老骨でよければ使ってくれ」

レジ「ガハハハッ。確かに。わしでできることならなんでも手伝おう」

葵「そうか。なら今後とも協力を頼む」

 そういってグラスを机におき、敬礼すると、二人もそれに返礼した。

葵「楽しいひと時を」

ゼ「あぁ」

レジ「そうさせてもらうよ」

 さて、次は・・・

葵「久しぶりだな。クロノにカリム。リンディさん」

リン「えぇ。あ、そうだった」

 そういって3人は敬礼をしたので一応返礼はしておく。

葵「まぁ、形だけでも。後今まで通りでお願いします」

カ「で、ですが、副元帥とは知らなかったとはいえ・・・」

ク「そうだな。というかいつの間に?」

葵「知らない間に私のもとだけに辞令が来たのでね。四月一日に・・・エイプリールフールかと思った
よ」

リン「い、嫌がらせはしないわよ。あの3人は」

葵「そうですか? 久しぶりに顔を合わせた途端ミゼット議長がある1枚の紙を出したんです。重要案件だからすぐにサインしてって頼まれて」

ク「? 報告書類じゃないのか?」

葵「・・・養子手続きです」

カ「・・・つまりそれを知らずにサインしてたら」

葵「葵・K・クローベルになってたでしょうね。同様にフィルネスとキールにもなりかけたことありましたよ・・・・」

 ちなみに実話です。

リン「あら? でもそれってかなり得なんじゃ・・・」

葵「あのですね。親の七光っていうのはあまり好きじゃないんです。それにそういったコネがあるから出世したと思われても嫌ですし。なにより六課のメンバーにも変な影響がでかねないですし」

 まぁ、他に上げたらきりがない。それに、

ク「クククッ。君らしい」

リン「えぇ。あなた見たいな人が上司でよかったわ」

カ「えぇ、あなたなら未来もきっと明るいわ」

葵「そう言われるとありがたいよ」

 そう言って次の場所へ・・・

ミ「あら。葵」

葵「お久しぶりです。ミゼット議長」

ミ「そんな堅いこと言わなくていいのよ?」

葵「・・・・分かりました義母さん」

全員「な、なんだってぇえええ!?」

葵「体裁上な。あくまでも形だけだ!!」

全員「そ、そっか・・・」

レ「しかし、ミゼット抜け駆けとはずるいのではないか!」

ミ「あら。書類上がダメなら呼ばれる方でもいいかなと考えたまでよ」

ラ「なるほどな。では葵。わしのことも義父で構わんぞ!」

レ「な!? なら私もそでいい!」

 その後はラルゴ元帥をラルゴ義父さん、レオーネ相談役をレオーネ義父さんと呼ぶことになった。

 その後の余談ではあるが娘達もラルゴお爺ちゃん、レオーネお爺ちゃん、ミゼットお婆ちゃんと呼ぶようになって、傍から見れば本当にただの老人会だ。

 さて、次は・・・

葵「こうやって家族間でのあれは久しぶりか? はやてはあっちにいるが」

 そこにはヴォルケンズと孤狐、ヴェル、アイン、リインがいた。

シ「そうだな。まぁこう戦いのかでこうも宴を開くとは思わなかったが」

シャ「えぇ。でも、皆幸せそうです」

ヴィ「料理もギガうまだしな!」

葵「そうか。それはよかった」

アイン「こうやって今があるのも葵のおかげだ」

ヴェ「そうだな。葵様が私たちを助けてくれたからこそ今がある」

リイン「葵パパのおかげですぅ」

孤「まぁ、葵はただ自分がすることをしただけっていうんだろうけどね」

葵「そう言うことだ。私自身もお前らには感謝しているしな」

アイン「? 私たちは何かしたか?」

葵「もう一度家族のぬくもりというのをくれた。私は自身の手でそれを手放した。だが、お前達がもう一度くれた。これだけで十分感謝している」

シ「あぁ。私もお前には感謝している」

リイン「そうですね〜。ヴェルお姉さまとアインお姉さまがいて、葵パパがいたからリインは生まれたんですよ!」

葵「そう言われるとありがたいな。本当に。楽しむといい」

 最後は・・・

葵「楽しんでいるか?」

アリ「あ。葵!」

フェ「うん」

は「もちろんやで!!」

な「たのしんでまーす!」

葵「まぁ、こうやってお前らと酒を飲み交わすとは思っていなかったがな」

は「あ! そや葵君!」

葵「ん? なんだ、はやて」

は「あの時歌った曲が聞きたい!」

葵「覚えていたのか?」

は「覚えとるわ! あんないい曲なんやし!」

フェ「へぇ〜、どんな曲歌うの?」

葵「え? 作詞は全部独学だが?」

な「自分で作ったの!?」

孤「なになに? 葵が聖歌歌うの!」

ヴィ「聖歌?」

 その話にヴォルケンズと孤狐、夜天の書姉妹ズが来た。

シ「あの時病院で歌ったやつか?」

孤「そう。聖歌って言うんだけどね。髪や精霊に感謝を込め謳うんだ。で、葵のそれはとっても綺麗なの!」

シャ「確かにあの時の歌声は今でも思い出せれるほど印象深いモノでしたしね」

な「聞きたい!」

フェ「わ、私も!」

アリ「わたしも聞きたい!」

葵「・・・久しぶりだから外れてるかもな。それでもかまわんなら」

全員「いいよ!」

・・・なぜ息ぴったりなんだ。まぁいっか。

―すーっ 

 少し息を吸い、



天空に孤独に浮かぶ月よ


あなたは何を思う


  何を私に望み私にこのような試練を与える




――誰かに願うように静かに





私は弱い


 決して強くない


  にもかかわらずあなたは何を思う




――でも、その静寂を壊すことのない




人はわたしを弱いという


 私もそう思う




――でも切なさが、哀しさが





でも彼女は違った


 その者だけは違った


  その者は言った




――でもその儚さまた美しさを





私は強いといってくれた


 心がそれによって救われたと


  その言葉に私は救われた。永遠の救いとなった




――終わりは何においても呆気ない。でも心の中にしっかりと刻まれた歌




な「きれい・・・・」

フェ「心が洗われるみたい・・・」

アリ「うん・・・心地いい」

は「うん。やっぱ何回聞いても良いわ」

アイン「・・・・すごいな」

ヴェ「あぁ。本当に彼は・・・」

シ「この歌には哀みもある」

シャ「でも、喜びもある」

ヴィ「全てを認めるような歌・・・」

リイン「・・・きれいです」

ス「・・・うわぁ」

ティア「葵さんってこんな風に歌うんだ」

 葵の歌う姿勢は常に神に祈るように、でもどこか身近にいる誰かに話しかけるように優しく歌う。

ギ「・・・でも葵さんらしいかも」

カ「暖かいですね」

キャ「お父さんすごいです・・・」

エリ「・・・なんか涙が」

コ「ヴィヴィオ!?」

リオ「どうしたの?」

ヴィヴィオ「ううん。なんか懐かしい感じがして」


 その場は静寂に包まれた。だが、心地よい空間でもある。その人子一言はまるで母の呼吸のように。

 そして、子守唄のようにも聞こえる。

 

 そして、葵が一礼し、



――パチパチパチパチパチパチ!!!



葵「ど、どうも///」

 やっぱりこういうのには慣れないな。

 その後は皆飲みつぶれるまで飲み食いをした結果、翌日二日酔い状態で解散。まぁ、仕事はというと。

葵「当然私の場所に来るわけか・・・・」

 私自身お酒の飲める限界を知っているので適度に飲んでいたが、他のメンバーは以下の通り。

 三提督→無駄にはしゃぎすぎた結果ぎっくり腰のため休暇 

 六課メンバー(子供除く)・孤狐・ヴェルー→二日酔い

 ナンバーズ→機器類の勝手がわからず戦力にノーカン。そのためキャロとエリオに任し訓練中

 ウーノ・ドゥーエ・クアットロ→かろうじて二日酔い回避・・・私の手伝い

 ガーディアンメンバー→ゼストが薬を飲ませていたので無事。だが、六課の仕事には不参加。理由は・・・・

ゼ「管轄が違う」

 と、お役所的な回避。まぁこの書類の山を見ればいやがる。ゼストも顔が真っ青だったからな。

葵「ダメじゃん・・・・・」

ウ「・・・それにしても」

ドゥ「しかし、この量はさすがに・・・というかドクターにあれは・・・」

クア「あ、あれはないんじゃないですか〜?」

 ちなみに現在私の部屋にある書類の量は紙でできたアルプス山脈のごとくずらっとそびえたっている。あとジェイル→二日酔いを装って娘に夜這い作戦を実行させようとしたのでフライパンの刑(フライパンはロケラン百発あたっても耐久率100%と自負しているモノ)

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