小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第一二話


「・・・・・・」

「ぐぬぬぬぬぬ」

 恭也さん、あなたがシスコンだと今初めて分かりました。士朗さん。無言はやめてください。逆に怖いです。ときどき出すその殺気も控えてください。

 さて、現在私たちは高町家からのお誘いを受け、海鳴温泉に向かっています。

 なぜこうなったかというと、数日前、高町家から電話がありました。

「温泉旅行ですか?」

『あぁ。連休中は翠屋を店の人に頼んで家族全員と月村家、アリサちゃんと海鳴温泉に言っているのが恒例でね。君もどうかなっと思ってね』

「でも、いいんですか? 久しぶりの家族だんらんの時に私なんかが加わって?」

『君には命を救ってくれたことと家族のきずなを深めてくれた恩があるからね。それのお礼だと思ってくれ』

 と、なると断るのも無粋だな。

「分かりました。ではお邪魔させてもらいます」

『あぁ、家族の人と家政「メイドです!!」・・・メイドさんも誘うといいよ』

 あぁ、電話越しにも聞こえたんだ。リニスの声。

「分かりました。三人にも伝えておきます」

 そういって電話を切った。

「というわけなんだがエクスとルミルは防水加工しているから大丈夫だし、リニスはどうする?」

「はい。フェイトがいた。ということはアルフもいます。彼女たちをもしかしたら説得できるかもしれません」

「分かったなら連れて行こう」

「ありがとうございます!」



 そして現在。私の隣にはすずかとアリサ。ここまでは納得できる。だが一番納得できないのが、

「なのは、なぜ私の膝の上に?」

「ぶ〜! わたしだって葵君といっしょが良いの!」

 との理由で私の膝の上に座っています。前からエクスとルミルがうらやましそうにこっちを見ています。

 それから数分後。目的地に着き、早速温泉へ。

「ユーノ君、いっしょに入ろうね」

「〈え! な、なのは! 僕は!〉」

「〈なのは、ユーノを借りていいか?〉」

「〈え? どうして?〉」

「〈ジュエルシードの封印魔法を覚えようと思ってな。ユーノから知識だけでも学ぼうというわけ。ということで借りれるか?〉」

「〈そっか。うん! いいよ〉」

 そういってユーノを解放。そのまま女性陣は女湯の方に入っていった。私たちも男湯の方へ入っていくと、ユーノが涙を流しながら、

「〈た、助かったよ、葵〉」

「〈君も嫌だろう淫獣の称号がつくの〉」

「〈うん! 本当にありがとう!〉」 

 そういって泣いていた。

 その後、一応封印魔法の仕組みを学んだが、基礎があまりにも違いすぎ無理ということが判明。これは封印はなのはかフェイトに任すしかないな。


SIDEなのは


「うわ〜すご〜い!」

「ホントですね〜広いです〜」

 広いんです!本当に。目の前には大きなお風呂があるし、エクスちゃんの気持ちもわかるの!

「なのはちゃん、エクスちゃん。走ったら危ないよ!」

「はぁ、何やっているんだあのバカは。エクス! 風呂に入る前に体を洗え!」

「えぇ〜、でも目の前にあんな大きなお風呂があるんだよ?」

「マスターに嫌われるぞ?」

「うっ」

 そ、それは嫌なの。体をきれいしてからお風呂に入ろう。

 ルミルちゃんの一言が効いたのかエクスちゃんも渋々ながらシャワーの前に言った。

「それにしても、エクスちゃんもルミルちゃんも肌きれい」

「そうか?」

「最近はリニスさんと一緒に入ることが多いからその時にきれいに洗ってもらえるからかな?」

「そうですか? では今日も一緒に洗いっこしましょうか?」

「は〜い」

「では頼む」

 そういってリニスさんの後を追ってエクスちゃんとルミルちゃんはシャワーの前に行った。

「ジ――」

「ん? なに、エクスちゃん?」

「忍さん。おっきいですね。胸」

「えっと、急にどうしたの?」

「どうしたらそんなに大きくなるんですか!? マスターに喜んでいただくにはどうしたらいいですか!?」

「お、落ちつけエクス!?」

「でも、ルミルもマスターに喜んでいただきたいですよね!?」

「そ、そうだが、そうだがアップで話すな!」

 確かに。葵君ってやっぱり大きい方がいいのかな?

「ううっ、私たちって・・・」

「大丈夫よなのはちゃん!」

「え?」

「そうよ。わたしたちはまだ子供! まだ成長するわ!」

 そ、そうだよね! いつか忍さんみたいになって葵君をわたしの彼氏にするの!

SIDE Out



「はぁ〜、いい湯だ〜」

「あ、葵・・・・。君はなぜそんなに余裕なんだい?」

「気にするな。気にしたら色々とヤバイ。というか彼女達は本当に9歳か? 発想がいきすぎなような気もするが」

「う、うん。僕もそう思う」

「それよりも私は今ここに士朗さんと恭也さんがいないことが不幸中の幸いだと思う」

「やっぱり思った? 僕も」

「「はぁー」」

 まぁ、私にはそういう免疫は一応備わっているからな。前世であのはた迷惑な精霊皇によって鍛えられた。

 そう言えば最近聖歌を歌ってなかったな。まぁ、契約聖霊もいないし大丈夫か。

 その後、ユーノの体と自身の身体を洗い温泉から出ると、目の前になのはとアリサ、すずかがいた。あと知らない女性が一人。

「どうした? 何かあったか?」

「え? あ、葵君///!?」

 すると、なのはは顔を赤くなっていた。

 よく見るとアリサとすずかもだ。

「のぼせたか? それよりもこの現状はどうした。目の前の女性にでもぶつかったか?」

「う、ううん(男の子なのになんでこんなに湯上りで色気が出るのよ)」

「そうか? あの、連れたちが何かしましたか?」

「え? あ、ううん。違うよ。知っている子によく似てたからついね。ただ違ったようだよ」

 すると、女性はなのはに近づき、

「〈今のところは挨拶だけね〉」

 急になのはの顔色が変わった。

(念話か)

「〈忠告しとくね。子供は良い子にお家で遊んでなさいね〉」

 子供ね。

「〈なら、フェイトに伝えておけ。フェイトもお家に帰るように。な〉」

「〈!?〉」

「〈安心しろ。この念話はお前にしか聞こえないようにしている。それとお前にも警告しておく。もしなのは達を傷つけてみろ。その時は、お前を殺す〉」

「〈なっ!?(こ、この子本当にフェイトと同い年かい!? こ、こんな殺気、あり得ないだろ!?)フェイトも殺すきかい?〉」

「〈過去の私なら迷わずしていただろうな。だが、今はその気はない。フェイトにも伝えておけ。君とは敵対する気はないがなのは達を傷つけるようなら迷わず君を殺すとな〉」

「〈わかった〉」

 そういって女性はなのは達の下から離れる。

「あ、葵君・・・・」

「ん? どうした?」

「え? う、ううん!なんでもない!」

「そうか」


SIDEなのは

 葵君の目、とても冷たかった。まるで刃物のような冷たさ。でも、なぜかその目を見ると、とても悲しかったの。

 なんか、葵君がとても遠くに行ってしまいそうで。

SIDE Out


 そして、割り当てられた部屋に戻ると、一匹の赤色犬?がいた。

「・・・・さっきの女性か?」

「へぇ。良く分かったね」

「魔力がよく似ていた。で、何か用か?」

「まずは、お礼を言いたくてね」

「お礼? 感謝をされるようなことはしていないが?」

 フェイトと出会って何かしたか? いや、思い当たる節は何もないが。

「そう。あたしはフェイトの使い魔のアルフ」

「使い魔ね。それで、その使い魔さんが私にお礼をしにきた――と」

「そ」

 そういってアルフは人型に戻った。

「ジュエルシードにフェイトが襲われた時あんたが助けてくれたんだって? その時のお礼」

「なるほど」

「後確認だ。さっき言ったことは・・・」

「本当だ。ただし、彼女が本気でなのはを殺しに来ない限りはこちらも殺す気はない。それにあの子自身がジュエルシードを使うために集めているというわけではなさそうだしな」

「分かるのかい!?」

「分かるも何も、ジュエルシードを集めて使うためならなりふり構わず集めるだろう。だが、彼女はそれをしない。理由があると考えるのが筋だろう」

「そ、そうなんだよ! 聞いておくれ!」

「ま、待て。それよりお前はフェイト・テスタロッサの使い魔で間違いないんだな」

「ん? そうだってさっき言ったろ」

「そうか。なら」

 そういって葵はリニスに連絡をとり始めた。

「〈リニス。聞こえるか?〉」

「〈はい。どうかなさいましたか?〉」

「〈今この近辺にフェイトがいるらしい。話をしたいからついてきてくれないか?〉」

「〈フェイトが!? わ、分かりました〉」

 数分後、リニスが私の部屋に来たと同時に防音魔法を使った。

「り、リニス!? あんた生きてたのかい!?」

「はい。この方に助けられまして」

「話したいこともあるだろうが、とりあえずアルフ。フェイトに会えないか?」

「あ、あぁ。分かった。案内するよ」

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