小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第一三話


「でさ、最近フェイトがあんたのことばかり話すんだよ」

「そうなのか?」

「あぁ。口を開ければあんたの名前ばかりだよ」

「そうか。それは助けた甲斐があるというものだ」

「・・・・リニス。この子もしかして・・・」

「えぇ。かなりの鈍感です」

 ん? どうかしたか二人とも? なんかかわいそうな子を見るような眼でこちらを見ているんですが。

「なんでもないよ。っとフェイト―!」


SIDEフェイト

 なんか急にアルフが私に合わせたい人がいるといって待ち合わせ場所を決めて待っています。

「フェイトー!」

「アルフ、合わせたい人って・・・・あ、葵!?」

「うむ。私だ」

「え? なんで?」

「高町家から旅行のお誘いがあったので来た。フェイトは・・・ジュエルシード集めか?」

「うん」

 葵に隠し事をしてもなんか無駄っぽかったので素直に話した。

「そうか。で、君に合わせたい人がもう一人いる」

「え?」

「リニス」

「はい。お久しぶりです。フェイト」

「え・・・り、リニス?」

「はい」

「え、あ、う、うわぁああああああああああ」

 私はリニスに抱きつき、思いっきり泣いた。

「ひっぐ、り、にす、よ、よかった、よかったよ。いきて、いたんだ!」

「はい。葵様に助けてもらいました。今では葵様の家でお世話になっています」

 え!? そうなの!?

「リニス。もしかしてと思ったが彼女の関連のある人物が君の主か?」

「えぇ。彼女の母親。プレシア・テスタロッサが私の主です」

「なるほど・・・。ふむ。ピースはすべてそろったな。だが、ただ確証がない。さて、どうしたものか」

 葵は何かを考えるように空を見上げていた。

「あ、あの。葵、どうかした?」

「ん? いや、なんでもない」

 その時の笑顔を見た時、以前に葵が話した言葉を思い出した。

――私みたいに汚れた目をしていない。純粋でまっすぐな目をしている。それだけで十分信用に値する理由になる。

 なら、教えてもいいかな。

「ねぇ、葵」

「なんだ?」

「聞いてほしいことがあるの?」

「それは大切なことか?」

「うん。私がジュエルシードを集める理由だから」

「ふぇ、フェイト!?」

「いいのか? 無理に話す必要はないぞ?」

「ううん。あなただから教えたいの」

「そうか。なら聞かせてもらおう」

 そういって葵は微笑む。やっぱり彼は優しい。その笑顔だけで心の疲れがとれるような気がした。

 そして話した。私がジュエルシードを集める理由を。母さんがジュエルシードを集めるために私は戦っていることを。

「そうか。よく話してくれたな」

「うん。私が頑張れば前のようにまた母さんが笑ってくれるような気がしたから」

「前? ということは性格の変化があったというのは事実なのか・・・」

「どういうこと?」

「リニスからきいた。アリシアだったか? 君の母のもう一人の娘が亡くなって性格がよく変わるようになったと聞いたから」

「うん。そうだね。以前は優しかった」

「・・・まさか。いや、だがやつは死んだはずだ。でも、もし・・・」

 葵がぶつぶつ言っているけどどうしたんだろう?

「葵?」

「いや、なんでもない。そうか、なら頑張れよ」

「え?」

「どうした?」

「いいの? 私、葵の邪魔しちゃうんだよ?」

「構わんよ。なのはも最初は巻き込まれただけだったが今は自分の意思でジュエルシードを集めている。互いに譲れない意思と思いがあるのであるのであれば、私はただ傍観するだけだ」

「そっか・・・」

「ただし!」

 そういって葵は私の目線を合わせてきた。

「怪我だけはしないでくれ。君もなのは達同様私にとって大切な存在なのだから」

「え・・・えぇえええええ///!?」

「どうした?」

「大切って!?」

「言葉を交わし、名を交換する。友として十分な理由だと思うが?」

「そ、そうなんだ。そうだよね」

 って、私なにがっかりしてるの!?

「それに君は私にとって大切な存在だ。なら大切な者を護るためなら我が体を楯にしてでも君を護るよ。フェイト・テスタロッサ」

 そういって彼はまた優しく微笑んでくれた。

 あぁ、そうか。私は彼が



――好きなんだ


SIDE Out

-14-
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