小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第三八話


SIDE六課


竜「・・・許せよ葵・・・・」

 竜也は懐から拳銃を取り出す。それを見たジェイルが、

ジェ「貴様何を!?」

竜「これの使用方法など一つだろ」

 竜也は迷わず日かが根を引いた。

―ダンッ ダンッ ダンッ ダンッ

 うち放った弾丸は容赦なく葵に命中する。

フェ「!? 竜也何を!?」

エリ「竜也さん!?」

ヴァ「貴様ぁあああ!!」

 ヴァイスは竜也の胸ぐらをつかむが、竜也はそれを無視するかのように道実に指示を出す。

竜「道実。頼む」

道「・・・・分かったさね。特別医療班は葵の治療に集中! 赤騎士の甲冑には触れちゃだめさね!」

 葵に近づこうとしていたフェイト達をふさぐガーディアンの部隊員。

ジェ「竜也!? 貴様が何をしたか分かってるのか!?」

竜「あぁ、しないといけないんだよ・・・」

ジェ「何故だ!?」

道「落ちつくさね。あれは強力な麻酔弾。葵はただ眠っているだけさね」

 そういって目線を葵の方に移すと、葵は倒れ、甲冑が霧散していく。

竜「何で、なんで葵にあんな力を・・・」

ジェ「・・・・」

竜「葵が何をしたっていうんだ!? 葵はあっちの世界でも、こっちの世界でも世界を救おうとした!? その報酬がこれか!? 神よ!! 葵にどれだけの試練を与えれば気が済む!? 葵が何をした!! これでは葵があまりに報われないだろ!? 葵に安らぎを・・・葵に幸福を・・・葵に祝福をやってくれ・・・」

 竜也は怒り任せに拳銃を地面にたたきつけ天に向かって吠えた。だが、それすらをも神は受け止めようとしなかった。

 その後、葵を含めけが人は聖王病院へ搬送された。




 聖王病院では、

は「さて、竜也君、道実さん。知っとること全部話してもらおうか」

 その場には六課の主要メンバー、ゲンヤとギンガ、ジェイルにナンバーズ、カリム、シャッハがおり、モニターでは三提督、レジアスにオーリス、クロノとリンディが映っていた。

竜「・・・・これは葵から口止めされていたことだ。知っているのも俺と道実だけだ。それも本来ならオレすらも知らされることは無い」

道「・・・ウルナにも、朱音にも明かしていないさね。事実竜也も御三家たちに頼まれ憎まれ役を買ったのだからさね。つまりこれがどういう意味かわかるさね?」

朱「・・・戦闘に関することか?」

竜「まぁあな。そして最悪の場合は殺害許可も葵本人から降りている」

ジェ「殺害許可だと!?」

ウル「まぁ、あれだけの破壊力だと取り押さえるのはきついけど、でもそれでも殺害許可はやりすぎじゃない? それに竜也、すっちー(ジェイルのこと)の話だと迷わず撃ったって聞いたよ?」

 すると、竜也は御茶を一口飲み、赤騎士の真実を語る。

竜「赤騎士というのが葵の潜在魔法だということは知っているな」

 全員が首を縦に振るのを確認し、

竜「潜在魔法というのは人間における必殺ともいえる魔法だ。故に解放する方法も容易ではない。そして、その対価もまた莫大過ぎるんだ」

フェ「対価?」

竜「潜在魔法を使用する使用料金みたいなもんだ。まぁ金で済めばラッキーだがな」

な「お金じゃない・・・まさか・・・」

道「そう。葵の赤騎士の対価は使用時間分の寿命を縮めること。さらに魔法を使用するたびに生命力も削られるさね。さっきの六課攻防戦では、使用時間約三四分」

 その言葉に皆安堵する。約男性平均年齢は七五歳。なら、そのうちの三十分ならと考えたからだ。だが、次の一言で皆絶望に変わる。

道「使用魔法の威力全てXX+。よって寿命は約十一年分ひかれるわけさね」

全員「!?」

レジ『何を言っているんだ!? あの威力で十一年分も持って行かれるんだ!?』

ラ『馬鹿げている!』

道「それが潜在魔法さね。さっきの威力見たさね? 一瞬にして【不の者】レベル1から4のかるく数百いた物を消す威力。普通はできないさね」

竜「葵の寿命がどれぐらいあるかは知らない。だが、推定でもかなり疲弊している。命の代償の威力は下手をすれば星一つ消すことぐらい可能だ。それが暴走した時のことを考えての殺害許可だ。それに、後一回赤騎士を使われたら・・・」

道「最悪【死】。まぁ威力にもよるさねが」

 その言葉に誰も何も言えなくなる。なのはやフェイトは、立てる力も無くなり、床に座ってしまう。

 そして、その静寂を破ったのは、

???「ほっほっほっ。こまっとるようじゃな?」

???「辛気臭いと思ったらなんだ」

???「仕方ないんじゃないの? 葵が下手をすれば死ぬのだから」

 そこに現れたのは一見すれば三提督と見間違うような人々。だが、

カ「え? どうやってここへ!?」

フェ「あれ? あなた達は確か・・・」

な「葵君のお師匠様達!!」

は「確か御三家やったか?」

 すると、ウルナ、竜也、朱音、道実が膝をつき、礼をする。

ス「あ、アリシアさん。あの三人って誰?」

アリ「えっと、確か葵の世界の神様だっけ?」

ティア「いやいや、私たちが知りたいんですが・・・って!?神様!?」

貞「ほっほっほっ。元気のいい娘だな。どれわしが「ガゴンッ!?」グべラッ・・・」

統「バカか。今回は葵の様子を見に来ただけだろうが」

蓮「そうよ。じゃあさっさと行きましょうか」

アリ「え!? ちょ、ちょっと待ってください!」

 アリシアのその一声で三人が止まり、振り返る。

アリ「葵の、葵のあの姿はなんだったんですか!?」

フェ「お、お姉ちゃん?」

アリ「わたし、葵に失礼かもしれない。嫌われるかもしれない。でも言わせてもらいます。あの力は異常です。人の力、精霊の力云々じゃない。まるであってはいけない物を見せられているかのようだった」

 すると、三人が黙りこんだ。そして、統楽が、指を鳴らすと一面が白い景色に変わった。

 そこは本当に何も無い。ただ白いだけ。上も下も右も左も無い。

貞「今から話すことは神王、魔王、精霊皇、そして我ら四聖神のみが知ることじゃ」

蓮「いわばこの世の触れてはいけない禁忌」

統「同然他言は無用だ。いいな」

 その場にいた全員が力ずよくうなずいた。

 そして語られる。この世の存在という名の意味を。

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