小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

第四十話


葵「赤騎士について?」

な「うん」

フェ「あれがどういう力のか。なんで葵にしか使えないのか」

は「それで、なんで寿命、生命力を糧として魔法を放つのか」

 ん〜。こればっかりはな・・・・

アリ「葵にもわからない。これが答え?」

葵「・・・・そうだな。自分自身の力とはいえこればっかりはわからない」

 その後、現在の状況について説明された。

葵「ふむ。力を形にして鍵と成す。か」

ジェ「つまり魔力形状を形とする――と、君は見るのか? だが、それならヴィヴィオごと持っていった方が楽なのではないのか?」

葵「考えても見ろ。AMF展開中のゆりかごの中にミッドの魔導師が突入して【不の者】のレベル5に勝てるか?」

レジ『悔しいが無理だな。だが今が攻め時じゃないのか?』

葵「戦力が足りなさすぎる。魔力を形にするのなら最低一週間。なら、その一週間以内に戦力を整える。出来れば奇襲をしかけたい」

ゼ「ガーディアンの方は奇襲を受けなかったがあれはなぜだ?」

葵「欲する者がない。つまり六課にはヴィヴィオ、本部には上層部がいる。ヴィヴィオは魔力のためで、地上は囮だろうが上層部を殺すことができれば間違い無く地上は大混乱だろうな。ガーディアンとはいえ所詮は一部隊だ。上がいなければ指揮系統もぐちゃぐちゃだ。だからだ。そう思えば白の局員は出せれるが・・・」

は「足りないんやな」

ジェ「だが、何故ヴィヴィオ君の力だけを・・・」

葵「おそらく揺りかごが聖王ではなく聖王の力に反応しているからだろ。なら人をいちいちさらってくるより力だけを抜き取った方が楽だからと考えたんだろう。それにヴィヴィオを守るための人員を割くわけにもいかないとでも考えたんじゃないのか?」

ジェ「一理あるな・・・・」

 あいつの考えそうなことだな。

葵「しかし・・・まぁ」

 そうやって周りを見わした。

フェ「葵?」

葵「なに、ただふと思っただけだ。集まることのないはずだったモノがこうやって集まる。まぁ不思議なことが起こるもんだなって思っただけだ」

 私を除けば集まることはあっただろう。実際私を転生した神のところにはなのは達を中心に原作があるのだから。私がそう思って少し思った顔をしていると、

な「なにいってるの葵君」

フェ「葵が中心となって集まったんだよ?」

アリ「皆葵がいなかったらここにいなかった。皆葵がいたから今があるんだよ」

は「せやな。もし葵くんがおらんかったらって考えると私はおらんかったかも知れん」

シ「葵が幸せをくれた」

ヴィ「葵が助けてくれたんだぜ!」

シャ「あの後も葵くんは私たちに配慮するよう指示を出したじゃないですか」

アイン「私は消えていたかもしれない。でもお前が助けてくれたからこそ今があるんだ」

ヴェ「一緒に罪を背負ってやる。そう言われたことでどれだけ助けられたか」

 まぁ、そう言われると悪い気はしない。

ティア「私も、葵さんがいなかったら間違った道に足を進めていました」

ス「あたし達の事を聞いても何も言わなかったし」

ギ「だからといって今まで通りに接してくれました」

エリ「お父さんがいたからこそ今があるんです!」

キャ「お父さんがいたから未来があるんですよ!!」

葵「そう言われると、この世界に来てよかったと思うよ」

ジェ「まぁ、お前がいたからこそ私たちも助かったしな」

ウーノ「妹達も、ドクターも罪もなくなり、こうやって日の光を浴びれますし」

レジ「わしも自分自身の歩むべき道へ戻れたしな」

 そして、多少話した後、シグナムにアギトを渡したいとゼストが言った。何でも炎は炎と共にあるべきだということらしい。だが、確かにシグナムとアギトはうまくやっていけそうだ。

 その後、体の確認をするために少し外に出る。

葵「ふむ。寝ていたとはいえそんなに落ちては言えないな」

 ある程度体の感覚を取り戻し部屋に戻ろうとしたとき、眼帯の症状を見つけた。

葵(この子・・・・というかこの感じどこかで・・・・)

ヴァ「旦那? 体は大丈夫なんですか? あ、その子」

葵「ん? 知り合いか?」

ヴァ「俺の妹です。ラグナ自己紹介」

ラ「ラグナです。はじめまして」

葵「・・・・実妹か?」

ヴァ「そうですよ!? な、何がいいたんですか・・・」

葵「ふむ。いやなに、お前に似ず可愛いと思ってな」

ヴァ「酷いっ!!」

ラ「か、かわいいですか///・・・・」

ヴァ「ラグナにはまだ早い!!」

 この目は・・・・なるほど。

葵「ヴァイス。お前にある取引を持ちかける」

ヴァ「な、なんです?」

葵「前を向いて歩け。確かに妹の眼を失明させたという罪はあるかもしれない。だが、妹はもうそれに対しては何も思って無いみたいだぞ」

ヴァ「そ、そうなのか」

ラ「うん。お兄ちゃんにはちゃんと歩いてほしい。わたしのことは気にしないで。もう、大丈夫だから!」

 そういって笑顔でラグナはヴァイスの方を見る。

ヴァ「・・・分かった。お前の言葉を信じる」

葵「ふむ。契約成立だな。お前が歩くと決めた対価はラグナの眼に再び光を宿すことだ」

ヴァ「そんなことができるんですか?!」

葵「まぁな。少し痛むかもしれんが我慢しろよ」

 そういって眼帯をのけ、右手を彼女の失明している目に当てる。

葵「癒しの風よ。汝の力を持ってこの者の怪我を癒したまえ。ヒーリーングフール」

 光が収まると、ラグナはゆっくりと目を開ける。

ラ「・・・見える・・・見えるよお兄ちゃん!」

ヴァ「ほ、本当か?! 本当なのか!? あ、ありがとう! 旦那!」

葵「あぁ。後は二人でゆっくり話せよ」

 そういって私はその場を去った。




 その後、葵と三提督、レジアス、はやての手回しによって廃艦予定だったアースラを整備。決戦時における六課の拠点とした。

 そして決戦前夜。それぞれがそれぞれの時間を過ごしている中、私は空がよく見渡せる場所に一人で来ていた。

葵「・・・・本当にここまで来たのか。何から何までカリムの予言が当たっているな」

(マスター、あの最後の文・・・・)

(まさかとは思いますが、無いですよね!?)

葵「無論だ。死ぬわけないだろ。だが、こっち世界の空もあっちと変わらないな」

 決戦前なのに全くそれを思わせない満天の星空。

葵(負けるわけにはいかない。世界がどうなろうと知らん。だが、あいつらだけは、あいつら歩む道(未来)だけは絶対に守り通す。この命に代えても)


SIDE【不の者】


零「さぁ、手筈は整った!! 後は我等の力を全世界に知らしめるだけだ!!」

顎「・・・・いよいよか」

翼「えぇ。ついに!」

目「この時が来たのです!!」

爪「ヒャハハハハ! 殺して殺して殺しまくるぜ!!」

角「だが、あいつらもただ指をくわえて待ってはいまい」

牙「なに、心配いらんだろ。どうせ、すぐ片付けられる。父上の理想の前では全てが無駄」

零「さぁ始めよう!! 世界ゼロ計画を!!」


SIDE out


 そして、時が来た。

 ゆりかごの発進が確認されたため全員が招集されアースラに乗り込む。そして、はやての発進の合図とともにアースラが進む。

は「まずは部隊編成や。ゆりかごに突入するのは葵くん、なのはちゃん、フェイトちゃん、朱音ちゃん、ウルナちゃん、シグナム、ヴィータ、アギト。地上班は二つに割る。まず、孤狐を現場指揮官におき、スバル、ティアナ、ギンガ、トーレ、チンク、セッテ、ノーヴェ、ウェンディ、ディード。第二班はヴェルを現場指揮官におき、エリオ、キャロ、ルーテシア、ゼストさん、ドゥーエ、セイン、オットー、ディエチ、シャッハ、ヴェロッサや。全体の指揮官は私が、その補佐にアインとリインをおく」
ジェ「本来ならヴィヴィオ君を置かないとゆりかごは動かないはずなんだが、実際動いているところを見ると本当に力に反応しているのが見える。あと、動力源は別だがそのコアを叩いても停止にはつながらない。今回は時間との勝負でもある」

 ジェイルが現状のゆりかごの説明をした。そしてモニター越しに移るクロノが

ク『次元航行艦隊も向かってはいるがギリギリだ』

 と、艦隊状況を説明。

 すると、別モニターからは葵制服を着た者たちが次々とクラナガンに集結していた。

青服『閣下! お久しぶりです!』

葵「あぁ。久しいな」

青服2『第55大隊。現場に到着! 兵器使用許可を』

葵「認める。各部隊は指定の戦闘配置場所へ。局員と共闘し【不の者】を殲滅するように」

青服『了解!』

 持っている兵器はあちら側の世界で普通に使われていた質量兵器、魔法兵器など多種多様だ。

は「ちょっ!? 葵くんあれ質量兵器!!」

葵「今回は手段を選ばない。相手は人ではないんだ」

 まぁ、ガンシップやら戦車やらがまぁいる。

は「まぁ今回だけやろうし。葵くん後最後に激励頼むわ!」

葵「私がか?」

ジェ「まぁそうなるだろうね」

葵「はぁ。まいい。これを最後の戦いにしよう。そして皆で笑って終わらせよう。私はハッピーエンドしか認めない! この世界に平和を!」

全員「おぉー!!!!」




さぁ始めようか。最後の戦いを。



-143-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える