小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第四一話


 開戦の合図は竜也の報告からだった。

竜『ゆりかごから大量のガジェット及び【不の者】が出現。うち三つが高エネルギー反応。レベル5と推定』

 その報告を受け地上班はヘリに乗り込み戦闘態勢に入った。

 スバルたちはヴァイスのヘリに、アルトのヘリにはエリオ達が乗り込んだ。

は「ええか。ヴァイス君とアルトのヘリは地上に展開して各個撃破。葵くんの世界から来た部隊と共闘して戦うこと。私とアイン、リインは全体指揮、葵くん達はゆりかご内に突入しゆりかごの破壊。これが最後の戦いや!」

な「皆気をつけてね」

全員「はい(っす)!」

葵「ちょっと待てお前ら」

は「なんかまだ言い残したことあったか?」

葵「違う。聖夜の書」

聖夜(呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃ〜ん)

葵「・・・・お前そんな性格だったか?」

聖夜(なんとなくですなんとなく。気分気分!)

 シリアスな空気ぶち壊したな。まぁいい。

 その後聖夜の書の能力を使って契約を交えている者はそっちの姿にした。それの方が効率もいいし空戦適性もつく。

葵「ヴァイス、アルト。皆のことを頼むぞ」

ヴァ「もちろんっすよ!」

アル「葵さん達もご武運を」

葵「あぁ」

 その後ヘリは現場に向かって飛び立っていった。

葵「私たちも行くか」

は「そやな。リイン! ユニゾンや!」

リイン「了解ですぅ!」

シ「アギト。頼む」

アギト「合点!」

は・シ・リイン・アギト「「「「ユニゾン・イン!」」」」

葵「エクス、ルミル。最初っから全力で行く。蒼騎士」

エ・ル(ダブルシンクロイン!)

 蒼騎士を身にまとい、そしてゆりかごの近くまで来ると、

クァ『葵さん! 地上部隊の配置終了しましたよ〜』

竜『騎士達も終了した。いつでも迎撃準備可能だ』

葵「わかった。こちらでも確認した」

目の前にいるのはガジェットと【不の者】。

レベル1「キキキッ、キタキタ」

レベル2「オマエヲコロス、オマエヲコロス」

葵「邪魔だ。消えろ」

 私は魔力を解放する。

は「な!? ちょ、なんちゅう魔力や!? あ、アカン! 皆距離とってや!!」

葵「白騎士から抜粋。ギルノーシュブレイカー――!!」

 右手を掲げ、振り下ろすと周りにいたはずの【不の者】とガジェットの大半が消えた。

は「ちょ!? やりすぎやろ!?」

な「にゃははは・・・・葵くんがいると安心と不安が・・・」

シ「下手すればゆりかごより強いのでは?」

アイン「確定事項だろ。まだABPもあるんだぞ」

フェ「ちなみに葵・・・何%?」

葵「ん? さっきのか? 78%だ」

リイン(葵パパ・・・でたらめすぎます・・・)

アギト(あ、兄貴・・・すげぇ!!)


SIDEエリオたち(以後地上第二班)


 ヘリは現場から多少の距離があるモノのその光の一筋の魔力は確実に感じていた。

エリ「お、お父さんの魔力はすごい・・・」

キャ「けっこう距離あるよ」

ヴェ「あれが、葵様の力・・・」

ゼ「あれだけ強力な力があるのにまるで鼻にかけない」

ドゥ「おそらく力の本当の意味を知っているからでしょう」

セイン「意味?」

ルー「・・・力は所詮力。葵は守護力も所詮は力って言ってた。でもそれでも守り通すモノがあるって」

オットー「力の・・・・」

ディエチ「・・・・意味」

ヴェロ「あれだけの力がある。普通は暴走しそうだけど」

シャッハ「彼はしないでしょう。それを使うときは大切な者を傷つけられたとき」

アルト「葵さんはいろんな意味で規格外ですね・・・」

全員「うん」

 最後のあるとの言葉に全員がうなずく。


SIDE out


SIDEスバルたち(以後地上第一班)


 スバルたちもエリオ達同様にその光景を見て唖然としていた。

ヴァ「・・・旦那、あんた無茶苦茶だ・・・」

ス「葵さんに勝てる人っているのかな?」

ティア「間違い無くこの世にはいないでしょうね」

ギ「・・・・多分六課、ううん局全体でかかっても勝てそうにない」

チ「一回聞いたことある」

ウェ「なにをっすか?」

チ「葵にどれぐらいの戦力で勝てるかって」

ノーヴェ「なんて答えたんだ?」

チ「・・・・・」

ディード「? チンク姉様?」

 チンクは青い顔をしながら震えていた。

孤「あぁ。おびえるのも無理無いかも」

セッテ「知っているのですか?」

孤「まぁね。確か御三家いわく大戦時における連合騎士軍でようやく勝てるか勝てないかって瀬戸際だって言ったような気がする」

全員「・・・・勝てるわけがない」


SIDE out


SIDEジェイル


ジェ「・・・・あれで78%」

ウーノ「・・・ドクター。葵さんに敵対しなくてよかったですね」

ジェ「あ、あぁ。それにまだ彼にはABPがある。つまりあれはまだ彼の力の一部でしかないということか」

クァ「もし敵対していたらと考えると・・・・止めましょう。嫌な物しか出てこない」

竜「英断だな。敵対してたらあぁなるぞ」

 モニターで葵の方を見ると第二射が発射されゆりかごの一部が壊れた。

ジェ「・・・・あの時の私をほめたいぐらいだ」

 その言葉にウーノとクアットロが深くうなずいた。


SIDE out


 壁の一部を破壊し、そこから突入しようとした。

葵「はやて、現場指揮を頼む。アインははやての護衛を頼む」

は「よっしゃ! 任せとき!」

アイン「言われなくとも全力で護りぬいて見せる!」

 だが、次の瞬間。

―ガキィン

牙「ほぉ。あれを防ぐか」

葵「・・・・牙だったか?」

牙「父に要らぬ手間をかけるわけにはいかん。貴様はここで―――!?」

シ「ハァアアアアアア!」

 なんとシグナムが乱入。え!? 

シ「お前には前回の借りがある。ここは私が抑える。葵達は先に行け」

葵「すまん。(あれ? これって死亡フラグ?)」

 と思いながらも突入する。・・・・まぁはやてとアインがいるから大丈夫か。

アギト「〈兄貴! あたしは死にたくない!〉」

葵「〈・・・大丈夫だろ〉」

アギト「〈その根拠は何だ?!〉」

葵「〈それはシグナムだがら。多分、いや絶対に死亡フラグを簡単にへし折るぞ〉」

アギト「〈・・・・なんだろ。すっげぇ説得力ある〉」

葵「〈だろ?〉」

 などとふざけていた。これって一応最終決戦のはずなんだが・・・


SIDEシグナム


牙「お前が相手? はっ、ふざけないでもらおうか。あの時私にやれらた者が」

シ「さてどうだろうな? あの時と比べたら痛い目を見るぞ」

牙「ぬかせ!」

―ブワァン

シ「遅い! ハァア!」

 牙が振り下ろした体験を紙一重でシグナムはかわし、そのすきをついて喉元に向けレヴァンティンを突く。

牙「くっ!?」

 それもまたかわす牙。

牙「・・・・確かにあの時と比べれば上になったか。だが、それでも私は父の夢をかなえる!」

シ「私は葵の悲願を叶えるまでだ!」

 大剣と剣がぶつかり合い始めた。


SIDE out
 

SIDE地上第一班


セッテ「こっちはだいぶ減った。そっちは?」

チ「こっちもだ。といっても」

ウェ「あたしら何もしてないっす」

ディード「・・・あの三人だけで十分なような気が・・」

トーレ「まぁ私たちは撃ち漏らしの処理班のような気もするがな。ティアナ、お前はどう思う?」

ティア「・・・聞かないで。本当に私たちが必要なのかも怪しくなるから」

 そういって全員が目の前の惨劇がおこっている場所を見る。

ス「オリャァーー!」

 スバルは葵からもらった変換資質【凍結】で相手を凍らせた後、それを粉砕。

ギ「テヤァー!」

 ギンガもスバル同様に変換資質【炎】で相手を燃やす。

ノーヴェ「セィヤッ!」

 ノーヴェは触れた者をことごとく爆破。そして残るのは全て残骸。

孤「炎孤刃斬!!」

 孤狐はお得意の術で次々と敵を切り倒していく。

全員「あそこに行ったら巻き込まれる」

 しかし、すぐにその雰囲気はがらりと変わる。

ティア「!? 魔力反応!? スバル、ギンガさん、孤狐さん、ノーヴェ! 回避を!!」

 ティアナの言葉を聞いた四人は急いでその場から離れる。すると、そこには黒い球体が浮かび上がりその球体が晴れるとその場所にいた【不の者】とガジェットが消えていた。

顎「・・・・お前らか」

 声がした方を見ると、そこにいたのは僧侶の格好をし、笠を深くかぶった男性。顎だ。

顎「数だけか。まぁよい」

ギ「あなたは・・・・」

顎「顎。我らが父上の悲願成就のためにお前らには消えてもらおう」

 そういって錫杖をふりあげると顎の後ろには無数の魔法陣が浮かび上がりそこから葵の魔法であるダークアローによく似た魔法が彼女たちに降り注ぐ。


SIDE out


SIDE地上第二班


 第二班も第一班同様途中までガジェットと【不の者】を撃退していたが、

爪「ヒャハハハハハ! 愉しいね!? 実に良い!!」

 途中で爪が現れ戦闘が開始された。

エリ「くっ!?」

ゼ「ハァッ!」

爪「遅せぇよおっさん!!」

―ガキィン

ゼ「なに!?」

 するとキャロが、

キャ「何で・・・・」

爪「あん?」

キャ「何でこんなことするんですか!? こんなこと何も生まない! 悲しみだけじゃないですか!!」

爪「一つだろそんなこと! 痛みをこの世界の連中に分からせるためだ! 俺たちを生み出したこんな世界にな!!」

全員「え・・・・・」

爪「お前らに何がわかる! お前らの負の感情によって生み出されたオレたちの気持ちが!? 下らねぇことで争い、下らねぇ理由で殺され、下らねぇ理由で実験された俺たちの気持ちが!!」

 【不の者】は人間の負の感情から生み出された。つまり彼もまたそれの集合体である。一人ではなく数多くの負の感情によって生み出された。

ルー「ならあなたに葵の何がわかるの?」

爪「んなもの知るか」

ルー「でしょうね。でもね葵はその理由で殺されたの。でも彼は後悔してないっていった。『過去があり、今がありそして未来につながる。人生とは一本の道だ。未来は無数の可能性があるというがその無数から一を選択するのは己自身だ。だから後悔しないように必死になって己が歩むべき道を選ぶんだ。だから今を懸命に生き、今を必死に生きれば、後悔はしない。負の感情も生まない』っていってた」

エリ・キャ「「お父さん・・・・」」

ゼ「・・・・葵らしいな」

ヴェロ「それをちゃんと子供に教えるあたり彼らしいな。当然のことだけどそれが難しい」

シャッハ「葵さんが言うから重みも感じますね。必死に生き抜き、必死に走りきった葵さんだから言える言葉なのかも」

ドゥーエ「それに私が惚れた男だしね♪」

セイン「それに葵兄はカッコいいし!」

オットー「優しいし」

ディエチ「怒るときには怒ってくれる」

ヴェ「そう言う人は少ない。飴と鞭をきっちり使い分ける人はな」

爪「未来・・・ねぇ。俺たちには程遠いモノだ。未来をつかめるのはほんの一握り。俺がすべきことは俺たちが過ごせる世界だ!」

エリ「違う! お父さんは言ってくれた! 僕にでも未来をつかむ権利も、幸せになる権利もあると! そして僕はその両方をつかんだ! お父さんという存在がいることで!」

キャ「未来をつかめるのは一握りじゃない! 皆つかめるんだよ!!」

ルー「あなたはただ諦めただけ。それを世界のせいにするな!」

 その言葉を聞いた爪は、

爪「フフフヒャハハハハ! 諦めた? 確かに諦めたよ。だからもう一度手に入れるんだ! 俺たちの未来を!!」

エリ「そんな未来誰も望んでいない。望むのはみんなが幸せなハッピーエンドだ!」

キャ「うん!」

ルー「行こう。そしてみんなで勝ち取ろう!」


SIDE out

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