小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第四七話


 葵が消えて数日がたった。

 ミッドではあの零始との戦闘、ゆりかごの戦闘がなぜか生中継されており、情報が漏れていた。

 そして葵の死に誰もが泣いた。

 それでも管理局は休むわけにはいかなかった。戦闘後における復興や、後始末があるからだ。

 【不の者】の生き残りである翼は六課保護という名目で三提督とレジアスが保証した。

 なぜこうなったかというと、地上本部は彼女を観察処分としたが、本局側はきちんと裁くべきだといい放った。だがそこで予想外の事態が起こった。あの映像を見ていた市民たちからの無罪、または裁くにしても地上本部の観察処分でいいという声が大きく本局側も裁くことができなくなったのだ。彼女も別の目線から見たら被害者なのだ。

 一方六課メンバーはというと。

な「・・・・・」

フェ「・・・・・」

 なのはとフェイトは黙々と仕事をこなすがどこか生気を感じない。

 だが、これはフェイトとなのはだけに言えることではない。スバルたちフォワード陣、はやてや隊長副隊長、そしてギンガやナンバーズですらそうなのだ。

リイン「はやてちゃん、ちょっとは休むです!」

アギト「シグナムもだ!」

シ「いや。だがこうでもしていないと・・・」

は「せやな。何かに集中してないと思いだしてしまうんよ。多分なのはちゃんやフェイトちゃんも。でも一番つらいんは」

 そう言ってはやてたちは葵のいた部屋が映っているモニターを見る。そこにはエクスとルミルがいる。マスターを失った悲しみはいつまでたっても癒えることは無かった。

 葵を失って数日。

 やはり誰もがその開いた穴がふさがらない。

 零始が死に、ゆりかごが破壊され、葵の言う未来永劫の平和のきっかけはできた。

 だが、その代償は葵という大英雄の死だ。

 彼女たちにとってその代償はあまりにも大きすぎた。

アイン「失ったものは大きい―――か」

 すると、竜也が部屋に入ってきた。

竜「忙しいなか済まない」

は「かまへんよ。どないした?」

竜「先ほどガーディアンと地上本部、レジアスから連絡があった」

シ「今さらだな。皆を呼ぶか?」

竜「そうしてくれ。後通信でカリムから話があるそうだ」

 そして、皆をブリーフィングルームに呼び、カリムから通信が入った。

は「カリム、どないしたんや? こんな時期に」

 カリムはいつになく真剣な表情でこう言い放った。

カ『新たな予言が出ました』

全員「!?」

 それはあまりにも予想外だった。カリムの予言には条件、状況そういったモノが複雑に絡み合いようやく出るが、この短期間で二度目が起こるなんて誰も予想していなかった。

カ『皆さんも驚くのはわかります。私もそうですし、三提督やレジアス中将も驚いていましたし』

 そして、カリムがその予言の内容を告げる。


――狂王、死の淵より再び地上に舞い戻る


――その行いは非道を極める


――されど、創造神、放棄した神位に再び就きしその神の手によって終息を見る


――創造神この地に未来永劫の平和を築く


ヴィ「狂王はわかる。でも創造神ってなんだ?」

 すると、ウルナ達が、

ウル「おそらく狂王は零始、創造神は四聖神の最後の一柱」

ウーノ「零始は死んだはずでは?」

エ「・・・あいつが・・・あいつが!」

ル「落ちつけエクス。もう、マスターは・・・」

 ウーノがそう言うと、突然アラート鳴り響く。

は「何事や!?」

 すると、グリフィスが、

グリ『大変です! にわかに信じられないんですが・・・』

ス「なにが起こったんですか!?」

グリ『零始が、零始がクラナガンに現れました! それに大規模な【不の者】を率いています!』

ティア「そんな・・・。なら、なら!? 葵さんの死はなんだったんですか!?」

グリ『現在白と地上部隊が交戦中! ですが規模が大きすぎて・・・・あと、竜也さんの許可をもらって騎士団も参戦してもらっていますが』

竜「持ってどれぐらいだ」

グリ『分かりません。ですが長くはありません』

は「分かった。六課も応援に駆け付ける。場所は!?」

 グリフィスから零始がいるポイントを教えてもらい翼、ウルナ、朱音を含めた六課総出で駆けつける。

 するとそこは白と地上部隊が黒い何かの群れに向け攻撃をしている。そして、その先頭に立つのは。

孤「零始!!」

 孤狐が明らかに怒りの表情を見せた。

零「おやおや、稲荷の姫君か。それにナンバー?、?。それに翼もか。それに神姫たちも」

ウル「黙れ! その名で呼ぶな!!」

朱「お前がいるだけで虫唾が走る」

零「おやおや、つれないね。君たちを作りし創造主に」

ウル「ふざけるなよ。お前にそんなことを思ったことなど一度もない。あるのはただ憎しみのみ」

 ウルナは槍を構え、朱音もかまえる。

零「それに、プロジェクトFの汚れし存在に、闇の書のプログラムと主、それに里を追われた竜使い。こうやって見ると豪華メンバーだね」

フェ「黙れ!」

シ「貴様に何がわかる!?」

零「素晴らしい物だよ。実験材料にはね」

な「・・・・狂ってるよ」

零「ほめことばとしてもらっておこう」

 すると零始が一気に攻撃の合図を図る。

は「!? 攻撃開始や! 皆!」

 はやての合図を気に全員が攻撃を開始する。

 最初こそ優勢を誇っていた六課。だが、

ヴィ「なんだよこの数!?」

エ「キリがない!」

ル「くっ、こんなときに・・・いや、考えても仕方がない! エクス。目の前の敵に集中しろ!」

エ「分かってる!」

 エクスとルミルもいつも葵が装備していた武装で戦う。

 だが、やはり数が違いすぎる。その結果数で勝る零始たちがおし始める。

エ「零始ぃいいいいいいいいいい!!!」

ル「!? バカ! よせエクス!!」

 ルミルのその一声で皆がエクスの方を見ると、エクスが一人で、特攻をかけた。

 ディゴソードシールドで零始に斬りかかるが、零始はそれを難なく防ぐ。

エ「何でお前みたいなやつが生きてマスターが死ななきゃいけないんだ!!」

 エクスがそう叫ぶが、零始は冷たい目で

零「だからなんだ? だからどうした? あいつが死んだのは自分勝手な正義感からだろう。私から見たら自業自得だよ」

エ「それでも守り通した! マスターは! そんな未来をお前如きに壊させるもんか!」

零「やれやれ、君も?に染められたか。なら貴様も不要だ!」

エ「なっ!? ぐっ・・・」

 零始はエクスに思いっきりけりをぶつけ、隣にあったビルにたたきつけた。

 当然その後には思いっきり轟音が鳴り響く。

 



 はずだった。







 その轟音は一向に来なかった。




???「やれやれ、勝手に私の相棒にひどいことをしないでほしいもんだな。零始」




 その者は銀色の髪をしていた。


 その者は海のように深く、空のように青い瞳をしていた。


エ「・・・ま、マスター・・・」

葵「あぁ。久しいな。エクス」


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