小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第九話


 あの後、雷導が妻たちと話をしたいといったので私はその場を退席した。


SIDE雷導


 最初は驚いたもんだ。かえってきて早々に十六人の妻と、その妻公認の愛人が十一人を連れてきたんだ。どこのハーレム野郎だ!? といいたくなるほどだ。

雷「さて。あんたらはどうして葵に惚れたんだい?」

な「え、え〜っと・・・」

 なのはという子はどうやら、親が瀕死の重傷を負った時に励ましてくれたのが出会いのきっかけだったらしい。まぁ、その後はなのはのためにいろいろと尽くしてくれたという。ときには護ってあげたり、時には間違った道を正したりと。

雷「ほぉ。確かに色々とあるな。兄みたいな存在だったのがいつの間にか恋へと」

時雨「うふふ。葵君らしいと言えば葵君らしいわね」

な「ふにゅ〜〜〜///」

雷「さて、お次は?」

フェ「私は・・・・その助けられたから・・・かな?」

アリ「うん。わたしは命の恩人だからかな・・・」

時雨「助けられたと申しますと?」

 そのフェイトということ、アリシアという子はどうやら姉妹というらしい。まぁ見た目が一緒だからねと思った。でも、話を聞くとそう簡単な話じゃなかった。
フェイトはアリシアをもとにつくられたクローン。そしてアリシアは植物状態というより幽体剥離死だったらしい。だが、ミッドチルダという世界にはそれを治す技術は無く、結果悲劇を招くことになった。だが、葵の介入によって不幸は緩和され、最悪の事態を回避できた。

雷「なるほどね。そんなことが」

時雨「あらあら。じゃあその時から?」

フェ「え!? えっと、・・・はい///」

アリ「えへへへ〜///」

雷「ん? 確かその時の葵はもうすでに二十歳過ぎてなかったかい?」

時雨「あらあらまあまあ!」

 時雨、あんたそう言えばこういう話好きだったね。Familyの他の恋話とか普通に首突っ込んでいったし。

時雨「それで!? その後は!?」

フェ「え、えっと、本来は罪に問われるはずだったんですけど、葵達のおかげで」

時雨「じゃあまるで王子様みたいな存在だったのね!!」

アリ・フェ「「お、王子///!?」」

雷「はぁ。こいつはこんな性格なんでね。で、次に行ってみようか」

は「ほんなら私らかな?」

雷「ほぉ。はやてか」

は「私らも意味合い的にはフェイトちゃんやアリシアちゃんとおんなじかな」

 聞いて驚いたが、どうやら彼女たちは闇の書、今の夜天の書という書物のプログラム的な者らしい。だが、葵はそれでも難なく受け入れたばかりか、生きていい、幸せになっていいといったそうだ。まぁ、その後ちょっと、いやかなりの事件を引き起こしたがそれも葵がなんとか処理をして恩を感じているとか。

雷「つまり、一緒に生活している間に・・・か」

ヴィ「あ、あいつに惚れない方がおかしいって///!」

シ「う、うむ/// 何かと目にかけてくれてるしな」

シャ「葵君は料理も教えてくれたりしましたしね///」

アイン「私は存在そのものを助けてくれた///」

ヴェ「アインだけではない。私もだ///」

時雨「あらあら。いろんな人を助けてフラグを建ててますね」

雷「だね。ということはあんたらもかい?」

す「私たちはどちらかというとなのはちゃんに近いかな」

ア「そうね」

雷「ふむふむ。さて、次はそちらのおチビちゃんたちか?」

ス「えっと、私も助けてもらったと言えば助けてもらって」

ギ「そうね。えっと」

 ギンガとスバルの話だと、何でもこっちでいう空港が火災にあい二人は別々の場所に取り残されたらしい。これだけ聞いたら死んでいてもおかしくない。だが、葵がその場にたまたま居合わせ二人とも救出したらしい。

時雨「なんというか運命チックね」

雷「はぁ〜。かなり衝撃的な出会いだね」

ギ「えっと、それで葵さんのことが忘れられなくて・・・///」

ス「それがきっかけで管理局に入ったみたいですから///」

 ギンガは後半になるにつれ声が小さくなり、スバルは笑いながらもやはり照れている。

雷「ティアナは?」

ティア「は、はい」

 ティアナの場合は唯一の肉親である兄がある事件で上司に罵倒され、挙句に首になったらしい。そこに葵が手を差し伸べた。また、ティアナ自身が力への過剰の欲求に感ずき、何度も道を正そうとしてくれた。そして、それを受け止め自身の力の意味と向き合うきっかけをくれたらしい。

雷「はぁ。ここまで来ると天性のお人よしじゃな」

時雨「あら。でもこれはかなりの拾いモノじゃないの?」

ティア「え?」

雷「まぁそうじゃな。葵は人を見る目はある。能ある者はたとえどのような者でも採用する。能なき者はたとえ高貴な者でも採用しない。葵から見ればティーダというお前の兄は喉から手が出るほど欲しかったんじゃろうな。で、残りはそこの愛人軍団じゃが」

 彼女らもまた衝撃的な真実だった。強化人間という物で、管理局。今葵がトップに君臨する以前の組織ではそういった飛同、違法実験が普通だったらしい。

チンク「まあその時たまたま葵の心の世界に転移されそこでドクターが改心し今に至るというわけだ」

 なるほどな。

 しかし、今日は有意義な時間じゃな。

雷「まぁ、あいつもかなり幸せになったということじゃな! かっかっかっ」

時雨「まぁそうですね」

 あたしと、時雨はそういって茶を飲むと、

な「あ、あの。雷導さん」

雷「ん? なんじゃい?」

な「葵君のお母さんって言いましたけど、どうして養子として葵君を受け入れようと?」

雷「なんじゃ。そんなことか。まぁ、あいつとの出会いは孤児院でな」

 すると、過去を知っている彼女たちは急に瞬と静まり返った。

雷「まぁ、その時たまたまS.L.P.の被験者であり、被害者の子供が孤児院で保護されてると聞いてむかって、そこで出会ったのが」

セッテ「葵様・・・ですか?」

雷「そう。あん時の葵の目は酷いもんじゃった。濁りに濁り、闇に深く染まっとった。儂自身もやれることはやったがやはり無理じゃった。そこでこ奴に頼んだんじゃ」

 わしは視線を時雨に向ける。

時雨「そこで、私は一計を案じ御三家に事を頼み彼らはそれを受諾しました。で、そこからは地獄の特訓の日々でした」

 時雨は「はぁ」と小さくため息を取った。

雷「まぁ、わしもびっくりじゃったは。あれは無いじゃろあれは・・・」

妻&愛人「あ、あははっ・・・はぁ」

 どうやら彼女らも見たらしく心で感じ取ることはわしらとおんなじのようじゃ。

雷「まぁ、それはさておき。どっこらせっと」

 私は彼女たちの前に立ちあがり、

雷「ふがいない息子じゃがなかなか芯の強い奴じゃ。これからもあいつを頼む」

は「ちょっ!? あ、頭をあげてください!!」

な「そ、総理がそう簡単に頭を下げちゃだめですよ!!?」

雷「今は内閣総理大臣として頭を下げ取るわけじゃない! いまはあいつらの母。桂木雷導として下げとる!!」

 その言葉に皆がシンとなり、そして、

フェ「・・・分かりました」

アリ「うん。わたしたちの方こそよろしくお願いします!」

 頭をあげると、太陽に笑う娘たちがいた。

雷(葵。本当にお前はいい嫁と愛人をとったな)

 ちなみにわしがどこまでやったのかを聞くと、嫁&愛人たちは顔を真っ赤にした反応を見て、

雷「かっかっかっか! やることはやっとるみたいじゃな!! 葵の娘たちよ! もしかしたらしばらくしたらお前さんらに弟か妹ができるかも知れんぞ!!」
 
 と、盛大にからかってやった。

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