小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第五話


女性「私はあなたにいくつか伺いたいことと、確かめたいことがあります」

 その姿を見て、私は平行世界にいた彼女の姿を思い出した。確かアインハルトといったような気がする。

ノーヴェ「質問すんならバイザー外して名を名乗れ」

 すると彼女はバイザーをとり、

アインハルト「失礼しました。カイザーアーツ正統ハイディ・E・S・イングヴァルト。『覇王』を名乗らさせていただいてます。あと、そちらの方もサングラスの方を」

 おや。飛び火した。出来れば避けたかったのだが。いろんな意味でややこしくなるからな。

葵「は〜。どうしてもか?」

アインハルト「はい」

 まぁあちらも外してこちらも外さないのは礼儀に反するか。そう思いサングラスを外し、

葵「私の名前は神無月葵だ。これでいいか?」

アインハルト「・・・・え?」


SIDEアインハルト


 私は今目の前で起こっていることを整理できません。ストライクアーツ有段者であるノーヴェ・ナカジマさんを見つけ挑戦を挑みました。そこまでは予定通りでした。でも、その隣の人から異様な覇気というべきなのかそんな気配を感じ取りました。そしてその人は、

葵「私の名前は神無月葵だ」

 と、私の目標としている人と同姓同名をしていました。というかご本人ですよね!?

で、でもまだ、本当に同姓同名の確立があります。そうです。きっと同姓同名です。

アインハルト「え、えっと、か、管理局総統の神無月葵さんですか?」

葵「ん? あぁ。そうだが」

 ご本人様でしたぁあああああ!!?

 私は今多分かなり動揺しています。何故って目標としている人がいる上に、とても失礼なことを言ってしまったような気がします。

ノーヴェ「お前まさか・・・葵のファンか?」

アインハルト「・・・・・・」

 ・・・・・かなり気まずい空気です。いずらいです。穴があったら入りたいです。そうか。造ればいいんですね! 穴を!!

アインハルト「そうと決まれば!」

葵「おい?! 何地面に向かって殴ってるんだ!?」

アインハルト「穴に入りたいからです!」

ノーヴェ「オイオイオイオイ!! 話聞くから止めろって!!」

 するとノーヴェさんと神無月さんによって穴作成を止められました。

 う〜〜〜〜/// は、恥ずかしいです。

 それから数分経ち、

葵「で、ノーヴェに聞きたいことと確かめたいことがあるそうだな」

アインハルト「はい。ノーヴェさん。後神無月さん。あなた方の知己である聖王オリヴィエの複製体(クローン)と冥府の炎王イクスヴェリア。あなた方はその「知らん」え?」

 すると、ノーヴェさんよりも早く神無月さんがそう答えた。

葵「残念だが私が知っているのは今を必死に生きている私の可愛い娘だ」

ノーヴェ「そうだな。聖王や炎王と知り合った覚えはない」

 そうですか。

アインハルト「分かりました。そちらの方は別をあたります」

葵「で、もう一つの方は」

アインハルト「はい。ノーヴェさんと私の拳、どちらが強いかです」

 すると、葵さんの目が何か猛禽類のごとく鋭い眼をした。でも、すぐに柔らかい目に戻り、

ノーヴェ「いいのか葵兄?」

葵「別に構わんだろ。街には被害出すなよ」

 そして一歩下がった。

アインハルト「防護服と武装をお願いします」

ノーヴェ「いらねぇ「ゴスッ」っよ!!?!??」

 ・・・・え? 行き成り一歩下がった場所にいた葵さんがノーヴェさんの頭に拳骨を落としました。

葵「あのなノーヴェ。相手がいくら子供だからといってなめすぎだ。ちゃんとデバイスを起動しとけ」

ノーヴェ「わ、分かった。だからって殴らなくてもいいのに」

葵「ケガされると困るからだ」

ノーヴェ「うっ/// わ、わかった」

 すると、ノーヴェさんはデバイスを出し、

ノーヴェ「ジェットエッジ!」

ジェット(start up)

 光が晴れると、デバイスを起動したノーヴェさんがそこにいた。

アインハルト「ありがとうございます」

ノーヴェ「はぁ。で、どうしてこんなことしてんだ?」

アインハルト「・・・・強さが知りたいんです」

ノーヴェ「はっ! ばかばかしい!」

 すると、瞬きをする間もなく、一瞬にして目の前にノーヴェさんがおりひざ蹴りを繰り出す。

アインハルト「くっ」

 それを防ぎきったが、さらにそこから強烈な一撃をくらう。

葵「ほぉ。防ぐか」

ノーヴェ「(ガードの上からとはいえ不意打ちのスタンショットをまともに受けて防ぎやがった)やるじゃねぇか」

葵「それにしてもそれだけ腕があってもなお強さを知りたいか」

 神無月さんにそのように言われたので、

アインハルト「はい。そして今より強くなりたい」

ノーヴェ「なら、んな事してねぇでまじめに練習するなり、プロの格闘家目指すなりしろよ! 単なる喧嘩バカならやめておけ! 良いジムや道場紹介してやるから!」

 その言葉はうれしい。でも、私のこの流派は・・・。

アインハルト「ご厚意痛み入ります。ですが、私の確かめたい強さは―――生きる意味は『表舞台』には無いんです」

葵「・・・・・」

 神無月さんは黙ってその言葉を聞いていた。

葵「〈ルミル。黒騎士の準備〉」

(久々登場。何か考えでもあるのですか?)

葵「〈まぁそんなところだ〉」

 私は構え、その時を待つ。

ノーヴェ「(構えた? この距離で? 空戦(エリアル)? それとも射砲撃(ミドルレンジ)?)―――って?!」

 私は一気に突撃し、ノーヴェさんとの距離を縮め、一気にたたみかける。

ノーヴェ(突撃!? でも速い! ちがう歩合!?)ちっ! なっしま――っが!?」

 そして、腹部に強烈な一撃を与える。だが、さすがストライクアーツ有段者。体勢を立て直した。

アインハルト「列強の王たちを全て斃しベルカの天地に覇を成し遂げる。それが私のなすべきことです」

ノーヴェ「寝ぼけたことぬかしてんじゃねぇ!」

 ノーヴェさんは一気にたたみかけようとうする。

ノーヴェ「昔の王さまなんてみんな死んでんだ! 生き残ってる奴や末裔だって皆普通に生きてんだ!」

アインハルト「弱き王なら・・・・この手で屠るまで」

ノーヴェ「こ、このォオオオオオオオオ!!!」

ノーヴェさんがさらに追撃しようとしたが、それを邪魔したものがいた。

ノーヴェ「!? あ、葵兄!?」

葵「すまんなノーヴェ。ここから私がこいつを断罪する。さすがに今のは聞き捨てならん」

アインハルト「!?」

 その目からは確実に先ほどの気とは違う何かが出てた。明確な殺気。

葵「黙って聞いていたが、お前は何様だ? 自分がベルカの王、ハイディ・E・S・イングヴァルトとでも言いたいのか?」

アインハルト「はい」

葵「大バカ者だな。お前は自分の名を持っているだろ。お前はそれ以上でもそれ以下でもない。そしてなんだ? 弱き王だと? もうこの時代におうも何も無い。いつまでも過去や記憶にとらわれるな。そして弱さが罪というならお前も罪だ」

アインハルト「!? それはどういう意味ですか?」

葵「お前も弱いということだ。自称『覇王』」

 そういうと、彼もデバイスを起動して黒い武装を包む。

葵「教えてやる。お前の弱さを」

 すると、私の目の前から彼は消え、

葵「どこを見ている?」

アインハルト「?!」

 いきなり後ろに回られ、そのまま成す術もなく蹴られる。

アインハルト「ぐっ!!」

 重い。そして早い。これほどのけりを見たことはない・・・。

葵「どうした? たった一撃でひるんだか?」

アインハルト「・・・ぐっ」

葵「お前が体験してきた物など所詮お遊びだ。実戦を経験したことも無く、それでよく自分が強者に含まれると言えたモノだな?」

アインハルト「あ、あなたはなぜそこまで強いんですら?」

葵「罪を背負ってるからだ」

アインハルト「罪?」

葵「お前は言ったな。弱者は罪だと?」

アインハルト「えぇ」

葵「なら強者も罪だ。強者には強者のな。それをお前は理解していない。強さのみが全てと思うな。弱者には弱者の成すべきことが、強者には強者の成すべきことがちゃんとある。それをすべて否定をするな! それをわからぬうちはお前は弱者でも何でもない。ただの屑だ!」

アインハルト「・・・・で、でも!」

 そういって私は再び構える。

アインハルト「弱い拳だと、誰も護れない! 弱かったら! だれも救うことが出来ないんです!!!」

 そして、彼にバインドをかけ、

アインハルト「覇王断空拳!!」

 その拳を彼に突きつける。

 手ごたえはある。だが、

葵「お前が弱いのは力じゃない。お前の弱さは心だ。そして、それを強くしなければお前が振るう力はただの暴力だ。良く覚えておけ。そしてこれは今回の罰だ」

 そういって彼の手には黒い炎が纏われる。

葵「獄炎拳!」

アインハルト「がはっ!?」

 そして、その拳をもろに食らった私はそのまま意識を手放した。


SIDEout

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