小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第四話


――聖王教会


ウェ「いよーっス! オットー! ディード!」

 そこにいたのはお茶会を準備していた双子のオットーとディードだった。

ディード「ウェンディ姉様。ディエチ姉様」

ディ「久しぶり」

オットー「はい。お久しぶりです」

 双子は二人を席に案内しイスを引く。

ディード「他の皆様は?」

ウェ「皆騎士カリムのところ。近況報告だって。後チンク姉はなんか話があるみたいだよ」

 二人は御茶とお菓子の準備をしながら、

オットー「そうですか。なら皆さん驚くかもしれませんね」

ディ「?」

 
SIDEヴィヴィオ


シャッハ「今日はすごいお客さんが来ているんですよ」

夕「? じゃあ邪魔になるんじゃないの?」

翼「そうだ。カリム母の仕事の邪魔になるのでは?」

シャッハ「その辺は大丈夫だと思いますよ」

 今日はカリムママにデバイスをもらったことをお話に来ました。

シャッハ「ここです。カリム。皆さんおこしですよ」

 ノックをしながら中にいるカリムママにそう告げると、

カ『はい。どうぞ』

 そういって重厚な扉を開けると、

娘たち・チ・ノーヴェ「え!?」

 そう。その場で見たのは。

葵「お前ら。今日はどうしたんだ?」

 パパがいました。

ヴィヴィオ「え? パパ!?」

星「どうしたんですかお父様!?」

雷「そうだぞよパパ!!」

 皆予想外のお客さんにびっくりしてた。

イクス「なるほど。父上なら大丈夫なわけです」

夜「そうだな。何父上よ。近況報告だ」

 そういってイクス達は納得しているみたいだ。

葵「あぁ。なるほど」

 何でもお仕事でたまたま聖王教会に用があったみたいだ。

 そういってデバイスをもらったことや、それで大人になれることを言うと、

カ「あらあら。でもそれで葵さんに迫っちゃだめよ?」

コ「大丈夫ですカリムお母さん」

リオ「うん。迫ったりしないよ。代わりに」

娘たち「襲いますから!」

ノーヴェ「そっちの方がダメだろ!?」

チ「葵は姉たちの者だぞ」

カ「いえいえ。何をおっしゃいます。私たちの方ですよ」

 そういって視線を交えながら、

女性陣(シャッハ以外)『あはははは(おほほほほほ)』

シャッハ「〈葵様。どうにかなりませんか。さっきから背中から冷たい何かがした垂れるんですが〉」

葵「〈奇遇だなシャッハ。私もだ。後あれはどうにもならん〉」

 そのあと、テストのことや皆と一緒のクラスになったことを言ってチンクを置いてディエチとウェンディがいるディードとオットーがいる場所に向かった。


SIDEout


 娘たちが執務室から出て行ってしばらくして、

カ「お話って言うのは連続傷害事件のことよね?」

チ「えぇまぁ。我ながらいらぬ心配だとは思っているんだが・・・」

葵「ふふっ。チンクも娘思いだな」

チ「むっ。そりゃそうだろ。私たちの可愛い娘だ。何かあっては困る」

カ「そうですよ葵さん。それに葵さんも人のことは言えないんですよ?」

 そういってカリムは紅茶を一口飲む。

チ「? どういうことだ?」

カ「娘たちが心配だからはやめにデバイスをもたらすことにしたんですよ?」

チ「ほぉ」

葵「オッホン///。で、チンク。あれから何かわかったのか?」

 話を無理やりそらすようにわざとらしく咳をすると、

チ「そうだな。これ以上葵を辱めるのも止めておこう。・・・名残惜しいが」

葵「何か言ったか?」

 わざとらしく睨むと、

チ「いやなにも。さて、件の格闘戦技の実力者を狙う襲撃犯。ここまでは普通の腕比べだと思うんだが、問題は自称している名前でして」

 そういってチンクはその襲撃犯の犯人が映ってるモニターを出す。そこには成人女性が屈強な男性を倒した瞬間が映っていた。

葵(・・・・あぁ。これは確かあの子か)

チ「『覇王』イングヴァルトといえば――――」

カ「ベルカ戦乱期、諸王時代の王の名ですね」

チ「あぁ。時代は異なるが、イクスや、ヴィヴィオのオリジナルであり『最後のゆりかごの聖王』オリヴィエ聖王女殿下とも無縁ではない」

葵「つまりチンクはイクスとヴィヴィオに害が及ぶのではないかと?」

チ「無くはない。聖王家のオリヴィエ聖王女、シュトゥラの覇王」イングヴァルト、ガレアの冥王、イクスヴェリアいずれも優れた『王』たちだったから」

 そういって、一息つき、

チ「あ! だが、かつての王と、今の二人は別人だ」

葵「あぁ。無論だろう。かつての王とは違う道を歩み出したんだ。彼女たちは」

カ「そうですね。それにただ喧嘩好きが名乗っている可能性もありますし」

シャッハ「ですが念には念で彼女たちには護衛でもつけますか?」

 それは・・・・いらないだろうな。その苦笑いを汲みとったのか、チンクが、

チ「私も葵の意見に賛成だ」

シャッハ「? どうしてですか?」

チ「簡単だ。誰が好き好んでエースオブエース、疾風雷神、最後の夜天の王、ヴォルケンリッターといった管理局のエースが集まる巣窟に行きたがる? ましてやそこには管理世界の守護神たる葵もいるんだぞ?」

葵「持ち上げすぎだ。だが、これは事件性は無いだろ」

三人「???」

葵「なにすぐにわかるよ。あの子が何がしたいか」

カ「子?」

葵「おっと。もう時間か。カリム、私は娘を見て局に戻る」

カ「あ。はい。ではお見送りを」

葵「仕事は良いのか?」

カ「夫を見送るのも妻の役目です。後これも///」

―――ちゅっ

葵「/// い、いってくる」

チ「待て葵」

葵「?」

―――ちゅ

チ「い、行ってくるといい///」

葵「あ、あぁ///」

 その後、私は娘たちと、一緒に来ていたウェンディとディードと話して局に戻った。


SIDEヴィヴィヴォ


 あの後、パパとカリムママと別れ、今は皆でミッドのストライクアーツの練習施設に来てます。

リオ「ん〜。でもやっぱりすごいよねパパ」

 着替え中にリオが急に言い出した。

夜「急にどうしたのだ?」

リオ「ううん。基礎をしっかり固めてなかったらデバイスに遊ばれてたかなって思ってね」

雷「???」

夕「簡単に言うと、デバイスに振り回されて周りが見えなくなってたか持って言うこと」

雷「オぉ! なるほど!」

 夕璃の説明で雷華はポンっと手を打って分かったという表現をした。

星「お父様も言ってましたしね。身体を作っておかないと色々と危険なことになる。最低でも護身術は学ぶ程度にしておけって」

ヴィヴィオ「そして我らがコーチ! ノーヴェを紹介してくれたんだよね!」

 すると、着替え終えていたノーヴェが、

ノーヴェ「さ、さっさとしろ///!」

 大声でこちらに言うけど全く怖くないよ? 顔真っ赤だもん♪

 ストライクアーツ。それはミッドで最も多い競技人口を持つ格闘技。広義では『打撃による徒手格闘技術』の総称なんだって。パパもちょうどいい格闘練習になるからならっておくといいと勧めるぐらい。

 で、着替え終えたわたしたちはそれぞれパートナーを組んで練習をする。千金線があんまり得意じゃない美夜や星那、夕璃も今ではわたし達でも手を抜いたら負けそうになるぐらい強くなってる。でも、

翼「ノーヴェ、私はのけものにされているのか?」

ノーヴェ「ちげぇよ! お前は明らかに強すぎんだよ。葵兄が言ってたけどお前に不足しているとのは相手を見てパターンを分析する能力。だから今は一つ一つの動きを確認しとけ」

翼「父がそういったならそうしよう」

 翼は姉妹の中で一番強いんだよ。シグナムママとたまに一騎打ちしてるぐらいだもん。

 それからしばらくして、練習を終えわたし達は帰路に就くことにした。すると、

ノーヴェ「ウェンディ悪ぃ。ちびたちを送ってくれないか?」

ウェ「いいっすけど? 何か用事っすか?」

ノーヴェ「いや。救助隊。整備調整だって」

 そういってわたしたちは別れた。


SIDEout


SIDEノーヴェ


 ちびたちと別れてしばらく一人で歩いていると。

???「ん? ノーヴェか?」

ノーヴェ「葵兄!?」

 その場にいたのは葵だった。

葵「どうしたこんな夜中にひとりで?」

ノーヴェ「いや。なんか救助隊の方から呼びだし喰らっちまってよ」

葵「そうか。ついでだから送っていこうか?」

ノーヴェ「いやいいって///!(でも、こういう優しさが良いんだよな///)あれ? そういえば葵兄はなんで?」

葵「帰りだ。今日早く終えれてな。それより本当に一人で大丈夫か?」

ノーヴェ「葵兄はホント心配性だよな」

 あたしが葵愛にと話しかけていると、葵兄が急に黙り込み、急にサングラスなんかをかけどこかに視線を向けた。

葵「こんな真夜中にお嬢さん一人で外出ですか?」

ノーヴェ「え? ・・・なっ!?」

 葵兄につられるように視線を合わせてみると、

女性「はい。あなたの御隣にいるストライクアーツ有段者。ノーヴェ・ナカジマさんに」

ノーヴェ「・・・・・」

 あたしの記憶が正しければこいつは間違いない。連続襲撃事件の犯人。

女性「私はあなたにいくつか伺いたいことと、確かめたいことがあります」


SIDEout

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