小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第二七話

SIDEなのは
 
 【不の者】さんがこちらに向かって突進してきたけど、次の瞬間目の前に葵君が来て、まばゆい光があたりを包みました。

 そして、その光が晴れると、そこにいたのは、

「くっ!? 全員いるか?」

 青色の騎士甲冑に青と金色がきれいな剣を持った一人の男性がいました。

「は、はい! だいじょうぶです!」

「え、お前は誰だ!?」

 クロノ君。助けてもらってそれは無いと思うよ?

―ヨミジヘノアンナイニン

―オマエカ

―イツモジャマバカリ

「悪いな。こいつらは私にとって大切な者たちなんだ。そうやすやすと殺されてはたまらないんでね!」

 そういって一気に剣を振り払うと、【不の者】さんが壁に激突した!?

 あれ? でもこの人・・・どこかで・・・

「も、もしかして、葵?」

 フェイトちゃんがたずねると、その男性が、

「そうだが?」

「「えぇえええええええええ!?」」


SIDE Out


 蒼騎士を展開すると、元の年齢に戻っていた。久しぶりの感覚だな、我が体ながら。

「さて、お前らがここにいると危険だ。アースラに戻ってもらおうか」

「で、でも!?」

「アルフ、リニス、ユーノ!」

「「「は、はい!」」」

「こいつらを連れて行け。後、プレシア」

「な、なに? 時の庭園を壊すことになるが許せ。後で弁償もする」

「壊しても別にかまわないわよ」

「そうか。では遠慮なくいかせてもらおうか。エイミィ。転送を頼む」

『りょ、了解!』

 そして、時の庭園には私と【不の者】だけとなった。

 そういってこの姿の相棒【絶対的勝利を約束されし剣】を構えた。この剣は簡単に言うと全欧州教会が聖剣エクスカリバーを魔法によってさらに強化し現代によみがえらせた神剣らしい。青は空と海を表し、金色は太陽をらわす。この三つは古来より神の領域とたたえられ神聖とされ来たためこの三つの意味を持つ剣は最強という名にふさわしい。

 さぁ、始めよう。この戦いを終わらせるために。明日をつかむ者たちのために。


SIDEアースラ


 なのは達がアースラに戻ると、リンディが、

「ねぇ、彼誰?」

 と、モニターに映っている葵(二〇歳Ver.)と【不の者】が戦っている姿が映し出されていた。

「あ、あれは葵君です」

「えぇ! あれ、葵君なの!?」

 エイミィがかなり驚いた様子でこちらを見た。

「そうですけど。どうかしたんですか?」

「こ、今後のことも考えて【不の者】と彼の魔力値を測っていたんですが、【不の者】はA+」

「まて、そんなにあるのか!?」

「クロノ君。驚くのはこの後だよ。それで、次に彼の方を測ったんですが・・・・」

「どうなったの?」

「計測器が壊れちゃいました」

「「「「「「「・・・・・・」」」」」」」」

 再びモニターを見ると、黒と水色の光がいまだにぶつかっていた。

『憐れみもある。同情もする。だが、自分たちの都合に無関係な人間を巻き込むのはどうかと思うぞ。それで不幸に突き落としたお前らは昔私が行った殺戮行為と変わらん』

―ソレデモ

『それでも生きたい? ふざけるな! 命は誰にだって一つだ! その人生を悔いなく生きるためにみ
な後悔しないために必死に生きているんだ! こんな台詞言えた義理ではないが貴様らが行った行為は自分勝手すぎる。振り返ってみろ! お前らにもチャンスはあったはずだ!』

―ダマレ!!

 そういって爪をふるい落とす。

 その一言一言になぜか重みがあった。

―ガキィン

 それを彼は受け止め、

『そのチャンスを生かさず、死んでいった者たちもいる。だが、それでも受け入れた者たちだっていた!』

―フォン!!

 まるで全てを知っているように、

 そして剣を振るい、【不の者】の右腕を斬る。

―アァアアアアアアアア!!

 苦痛。その悲鳴はまさにそれを表していた。

『お前たちだって受け入れられたはずだ! なぜ受け入れなかった!』

―イキタカッタ

―タダ、ミライヲミタカッタ・・・・

―シニタクナカッタ

『辛かったろ、苦しかったろ。戦いはでもいつでもそうだ。後悔と無念がある。それでもそれを乗り切り生き残ったものたちを恨んではいけない!』

 そういって彼が剣を構えると、剣を金色の光がまとう。

『これで終焉にしよう。全ての戦いの。お前達を天に導くために!』

―あぁ、そうしよう

『示すは天への架け橋、全てに祝福を、全てに幸福を、全てに幸あらんことを。エクスルミオン!!!!』

 そういうと、剣の金色の光が【不の者】に向かって伸びる。そして、【不の者】に当たると、

―ありがとう

 そういう声が聞こえた。

「おわったの?」

 なのはがそう言った。だが、

『残念ながらここからが本番だ』

 そう言うと、彼の眼がより一層鋭くなった。

 その前にいたのは【不の者】だった。だが、今までの人の声は聞こえてこない。代わりに、

『GAAAAAAAAAAAAAAAAaaaaaaaaAAAAAAAA!!!!!!!!!』

 この世の終焉のような咆哮が聞こえた。

『本当に不幸中の幸いか。さて、あの者たちの思いを、テスタロッサ家の運命を踏みにじった償いをしてもらおうか!』

 そういって彼は、剣を振るう。

『これはフェイトの分!』

―ザシュッ

 最初の一振りは、左肩に入り、

『これはプレシアの分!』

―グサッ

 腹に入り、横腹を切り裂く。

『これはお前に喰われた、迷えるものたちの魂の分!』

―ズバッ

 首と胴体を斬り離す。

 だが、それでも、【不の者】はうごめいていていた。

『まだ生きるか。でもまぁ、プレシアから許可はもらっているから久々に行くか!』

 そういと葵は飛翔を使い黒い翼、白い翼を展開し宙へと舞う。

『汝、愚かな存在であり最大の罪人』

 怒りを込め、

『殺めし者は幾万にもなりこれからも続く』

 憎しみをこめ、

『汝に価値はなく意味もない』

 まるで、ゴミを見るように

『故、我汝を許すこと無し』

 生きる価値を否定する。

『滅び去れ』

 そして裁きの一言。

『オールブレイク・ファンタムゥゥゥゥ―――――!!!』

 すると、エクスルミオンとは違い青黒いまるで、魔の焔のような色をした砲撃が【不の者】と、時の庭園を破壊した。

「あのバカ! あんなことをすれば余波がこちらに来る!」

 クロノがそう言うと、リンディが全員にショックに備えると同時に防御展開を命ずるが、それが一向にこない。すると、

『その辺の準備はとうの昔にしてある』

 そういってその辺の準備にぬかりの無い葵であった。

「か、艦長大変です!」

「どうしたのエイミィ?」

「時の庭園並びに虚数空間消滅!! さらに、次元震停止しています!」

「もうなにも驚かないと決めていたけど、これはいくらなんでも・・・・」

 そう言って驚いていたリンディに、プレシアが、

「彼の辞書には不可能という文字が無いのかしら」

「「「「「「「「「無いんだろうな・・・・」」」」」」」」」

 と、皆が思っていたらしい。

『それよりリンディ提督。そちらに戻りたい。転移してもらえるとうれしいのだが?』

「あ、はい! すぐにします!」

 そういってすぐに準備し、数秒後にはアースラについていた。


SIDE Out

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