小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第四話

 数分後はやてが起き、闇の書の説明を始めた。

は「なるほどね。で、次は葵君の番なんやけど?」

シ「主はやて? その少女は女の子では?」

は「いややな〜、葵君は男の子やで」

葵「正真正銘のな。あ。あと孤狐耳をふさげ。あとはやては」

 そういってはやての耳をふさぎ、私は魔法で耳栓をした。

シ・ヴィ・シャ「「「えぇえええええええええええええええええええええ!!!」」」

 まぁ、予測通りだな。ザフィーラは声は出していないが表情が驚いている。はやてもいやか。顔が赤いしな。

 さて、説明に戻るか。そう思いぱっとはやての耳から手を放すとちょっと残念そうなはやての顔があった。

葵「落ち着いたか? 一応私について説明するぞ。私は簡単にいうと私はここの世界の住人ではない」

シ「どういうことだ?」

 ピンク色のポニーテールの女性、烈火の将シグナムだったか? 彼女が質問してくる。

葵「平行世界。簡単にいうと【if】や【もし】と言われている確率の世界から来た。たとえばはやてと私が出会わなかった場合の世界、はやてがヴォルケンズと出会わなかった場合の世界。そう言った確率の世界の一つから来たというわけだ」

 そこから平行世界の説明と、どういう世界から来たのかという話をした。無論、リンディ提督に話した過去の話はさすがにしなかったが。

は「へぇ〜。つまり、葵君も魔法は使えるけど、シグナム達とは違う魔法をつかうんやね」

葵「あぁ。最も簡単にいうと御伽話やSF、そう言った類で使われる魔法だ。現に孤狐だって」

 そういってみんなは孤狐の方を見ると、孤狐はザフィーラと話をしてた。

孤「しかし驚いたな。あんたも神の類なの?」

ザ「我は守護獣だ」

は「・・・・孤狐がしゃべったー!?」

 そうだった。孤狐の説明を忘れていた。

葵「孤狐。元に戻っていいぞ?」

孤「そう? じゃあ」

 そういって、孤狐は人型をとると全員がかなり驚いていた。

は「孤狐って、人間やったんか!?」

葵「違う。どちらかというと神の分類だ。簡単に言うとお稲荷様、というたぐいの神だな。確か母親が宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)で、京都の伏見稲荷大社の主祭神の娘だ」

ヴィ「もっと分かりやすく説明しろ!」

 と、幼女。ヴィータだったか? その子がかなりいらついている。めんどくさいなとりあえず孤狐との関係と孤狐がどういう存在なのかを簡単にまとめて説明した。

葵「簡単に言うと孤狐は神様。私と孤狐の関係はやてとヴォルケンリッターのような関係。お前らの中で一番近いとすればザフィーラだろうな」

ヴィ「そうか」

 そこからは、またそう言った説明をしていただけなので割愛させてもらう。

葵「しかし、いきなり大所帯になったな」

は「そやな。でも、分かったことが一つだけあるで! 闇の書の主として守護騎士みんなの衣食住きっちり面倒みなあかんゆうことや。幸い住むところはあるし 料理は得意や みんなのお洋服買うてくるからサイズはからせてな」

 すると、みんなの顔がなにいってるのこのひと?みたいな感じになっていた。

葵「料理ぐらいなら私も手伝おう。服に関しては・・・買った方が早いか」

は「ん? 葵君は他にもいい手段知っとん?」

葵「まぁ、作ろう思えば無理ではない。昔、というか前世に何回か作って金にしてたしな」

は「そっか。じゃあそれお願い!」

葵「・・・・はい?」

は「そやから、それを創ってくれへんかっていっとるんよ」

葵「・・・わかった。何着か試すからそれを試着てくれ。あと、下着に関しては・・・買ってきてくれ」

 その後、服を何着か作り、シグナム、ヴィータ、シャマルに渡しザフィーラと私は外に出た。

 その時なぜか孤狐もいっしょに試着してたな。

 外に出ているときに、ザフィーラが、

ザ「葵殿。先ほど言っていたことはすべて」

葵「あぁ、事実だ。嘘も何も言っていない」

ザ「さみしくないのか?」

葵「寂しいかと聞かれると答えはノーだ。はやてがいて、新たに君たちも家族になった。賑やかな家族がいるんだ。それのどこがさみしいというのだ?」

ザ「我らを家族として見るのか? 我等はプログラムだぞ?」

 こいつらも自分を卑下してみるか。家臣は主人に似ると言うが、まさかな。

葵「プログラムだろうがなんだろうと関係ない。お前らは生きているんだ。命があるんだ。なら幸せになる権利も未来を見る権利もある。当然なことだろう。ただのお飾りの人形じゃないのだろ?」

ザ「生きているかどうかはわからない。だが人形ではない。意志もあり考える力もある」

葵「なら生きてることとイコールだ。それに八神家の家主が家族といったのだ。ならお前らも八神家の一員だろ。私もそれに異存は無い」

ザ「そうか。ありがとう。葵殿」

 感謝をされることはしていないのだがな。すると、中から入るように声がしたので入ると、まぁ服に着替えたヴォルケンズ達がいた。


SIDEシグナム

 
 神無月が作った服を着てみると、どれもこれもサイズが合う者もあれば、合わないモノもある。まぁ、サイズを知らないのだ。仕方ないか。

シャ「あら、これかわいい」

 シャマルは何やらはしゃいでいるが服など着れれば良いのではないのか?

とりあえず動きやすそうなモノを選んで私はそれを着た。

扉の近くの壁にもたれていると、扉の向こうから、ザフィーラと神無月のしゃべり声が聞こえてきた。

ザ「葵殿。先ほど言っていたことはすべて」

葵「あぁ、事実だ。嘘も何も言っていない」

ザ「さみしくないのか?」

 そうだ。あんな小さい子供が見知らぬ土地に降り立つのだ。どれだけ不安でさみしいか。そのとき私もそう、彼が言うだろうと思った。だが、

葵「寂しいかと聞かれると答えはノーだ。はやてがいて、新たに君たちも家族になった。賑やかな家族がいるんだ。それのどこがさみしいというのだ?」

我々もなのか? あって間もないと言うのになぜ彼はそうも我々を信じられる。

ザ「我らを家族として見るのか? 我等はプログラムだぞ?」

葵「プログラムだろうがなんだろうと関係ない。お前らは生きているんだ。命があるんだ。なら幸せになる権利も未来を見る権利もある。当然なことだろう。ただのお飾りの人形じゃないのだろ?」

 幸せか。我等の手は血に染まっているのにか。それでもつかんでいいのか?

ザ「生きているかどうかはわからない。だが人形ではない。意思もあり考える力もある」

葵「なら生きてることとイコールだ。それに八神家の家主が家族といったのだ。ならお前らも八神家の一員だろ。私もそれに異存は無い。仮に私が君たちのマスターであってもおそらく同じ家族として見ていただろう」

ザ「そうか。ありがとう。葵殿」

 さっきまで敵対していたが、あれは主はやてが心配だったから取った行動。そう考えればすべてに納得がいく。
すると、主はやてが入ってきていいというのを合図に神無月とザフィーラが入って来た。だが、ザフィーラは服を着ようとしない。

シャ「ところでザフィーラの服はいいの?」

ザ「我はこれになれる」

 そういうと一匹の大きな狼になった。

ザ「これになれるから構わん」

葵「・・・・・」

 神無月がなぜか黙って狼になったザフィーラを凝視している。

ザ「・・・葵殿。どうした」

葵「いえ、ザフィーラ。お願いが一つあるのですがよろしいでしょうか?」

 神無月の眼が異常に輝いている。

ザ「あぁ、構わんが」

葵「なら!」

 そういうと、さっきまでいた場所に神無月はおらず、いつのまにか神無月はザフィーラに抱きついた。

葵「うぅ〜ん、いい毛並み。なかなかの上等な毛並みです。ふかふかです! もふもふです! はぁ〜、幸せです♪」

 なんだ、あの幸せ空間は? しかもまんざらザフィーラもいやそうではない。

孤「いいな、あれ」

 孤狐、なぜ指をくわえてあの空間を見る。
は「なぁ、孤狐さん。あれ、なんなんや?」

孤「ん? あれ? 葵の癖。かわいいモノや動物好きなんでそれらを発見するとああなるの」

は「かわいいモノやったら人は///?」

 主はやて!? なんでそこで顔を赤らめているのですか!?

孤「さすがにそれは犯罪になるから手を出さないの」
は「まぁ、そやな。でもあれは・・・・」

 主はやてが言うのもわかる。あそこにいる神無月はまるで別人だ。私たちが最初であった時に殺気を飛ばした者とはまるで違う。あの時の殺気、まるで本当に殺気だけで人が殺せると思ってしまうほど。だが、先ほどあの者が言った言葉にウソ偽りはない。 
彼のような者が騎士というのだろうか。そう思ってしまう自分がいる。


SIDEOut


 しかし、どうしたものか。

は「なぁ、どないしたんや。さっきから何か考えごとしとるようやけど?」

葵「え? あぁ、はやてか。あの黒やけになった家をどうしようかと思ってな」

シ「黒やけの家?」

 ヴォルケンズになぜはやての家に居候になることになったのかの理由を話した。

葵「というわけ」
ヴォルケンズ「「「「・・・・・」」」」

 まぁ、予想通りだな。

シャ「よ、よく生きていましたね」

 えぇ、まぁ私もそう思いましたよ。

シ「雷直撃。それだけでなく、なんの怪我も負わなかった・・・・」

 不思議ですよね。

ヴィ「お前本当に人間か?」

 半分精霊の血が混ざっていますよ。ヴィータ。

ザ「・・・まぁ生きているんだそれでいいだろう」

 そうですね。ザフィーラ。

 と、それぞれの感想にうなずく。

は「ところで葵君。あの家どないするん?」

葵「もう住める云々ではないだろう。業者に頼んで壊すことにしよう」

はやて「で? その後はどうするん」

葵「新しく建て直そうかとも思っている」

は「なら!」

 はやてが、何かとてもいきごんで、

は「私の家に住んだらいい!」

葵「は? はやて、私は立て直すと」

は「すんだらええ!」

葵「いや、だから」

は「す・ん・だ・ら・え・え・の! 家主の私が許可しとんねんから!」

葵「迷惑では?」

は「かまへん! 部屋は余っとるし」

葵「そっか。ではお言葉に甘えるとしよう」

 そういって夜ももう遅いので寝ることになった。しかし、またここで問題があった。

葵「ヴィータ・・・だったか?」

ヴィ「あん? なんだよ?」

葵「今日ははやてと一緒に寝てあげてくれ。交友を深めると言う意味でもな」

ヴィ「いいのか?」

葵「あぁ。はやてもいいですか?」

は「OKや! いこヴィータ、孤狐さんもいこ」

ヴィ「う、うん」

孤「さんはいらないよ〜。じゃあ変身!」

 そういって孤狐は子狐モードになってはやての後を追った。

葵「あと、シグナムとシャマルですが、余っている部屋の布団を明日洗濯して使えるようにしますので、申し訳ないが私の部屋のベットを使ってくれ」

シ「いいのか?」

シャ「でも、その申し訳なくて」

 はぁ、この人たちは自覚は無いのか?

葵「いいか? あなた方は誰が何と言おうと女性だ。女性がソファーや地べたで寝るなどもってのほか。自分の体を多少はいたわってください。いいですね?」

シ・シャ「「は、はい」」

葵「あと、男くさいかもしれませんが、そこは申し訳ありませんが」

 そういって部屋について、二枚毛布を取り出す。

シ「・・・・なぁ、神無月。ここはお前の部屋なんだよな?」

葵「えぇ。そうですが、どうかしましたか?」

シャ「いえ、一部だけすごいメルヘンだな〜って」

 メルヘン? あぁ。あそこか。

 シャマルがおそらくメルヘンだといったのは本棚の隣にあるカラーボックスを横に二列並べた場所。そこにあるのは大小色とりどりのコレクション(ぬいぐるみ)だ。

葵「私のコレクションだ」

シ「・・・・お前のコレクションなのか?」

シャ「えっと、ザフィーラを抱いていたときに孤狐さんからききましたが可愛い物好きと」

葵「はい。犬より仔犬、猫より子猫、後ぬいぐるみとか」

シ「まさかとは思うが人は・・・」

葵「しませんよ。犯罪ですよそれ」

シ「あぁ、そうだな。じゃなければ「あぁ、ただし許可、了承、承認をいただいたらするかもしれませんが」・・・・本気か?」

葵「はい。相手から了承などを得た場合のみですが」

シャ「・・・ま、まぁ、たがいに許可しているからいいんでしょうね」

葵「今日はもう遅いですし、ゆっくり休んでください。では、お休み」

 そういってザフィーラのいるリビングに向かい毛布を渡し、ソファーでその日は就寝した。

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