小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第一三話

葵「さて、フェイトもなのはもかなり成長しているようだが、フェイトの相手がシグナムだとな・・・」

(相手が悪いね。あのフェイトって言う子だっけ? かなり押されているね)

 シグナムとフェイト、アルフとザフィーラ、ユーノとヴィータ。どれをとっても今現在はヴォルケンズに軍配が上がる。

(あのなのはって言う子だっけ!? 砲撃に入るよ!!)

 ・・・済まない、なのは。

葵「〈シャマル、今がチャンスだ。蒐集をしろ〉」

シャ「〈分かったわ!〉」

 どうやらポイントは見つけていたらしい。後はどのタイミングかってところか。

 あとは、あの戦闘に介入するか。


SIDEフェイト


 ダメだ。シグナム、彼女の方が全てにおいて私をはるかに上回っている。

 葵が、葵がこんな時にいれば。

シ「はぁあああああ!」

フェ「くっ」

 何度も何度もはをぶつければ明らかに自分が下だと気づかされる。でも!

―ガキィン

 鉄と鉄がぶつかり合うような音。でも、その場にいたのはシグナムではなかった。

 アルフのような耳に、九本のしっぽ、そして水色がかった白の髪としっぽの色。私やなのはと同い年の子が私とシグナムの間に割り込んだ。刀をバルディッシュにあて防ぎ、シグナムのほうは・・・素手で抑えた!?

フェ「さっきの!?」

???「・・・・」

シ「なにしに来た」

???「もうじき今回の戦いが終わります。撤退の準備を始めておいてください。殿は務めますから」

シ「・・・・良いのか?」

???「今の彼女たちにあなたたちを追跡できるほど余力は残らないと思いますよ」

 そういって彼は刀を構える。

――ドグン

 何この嫌な予感。なのはの方から・・・!?

 なのはの方を見るとなのはの胸から腕が出ていた。

 急いでなのはのところに行かなきゃ!

 でも、

シ「ここから先には行かさん!」

葵「・・・・悪く思わないでください」

 くっ・・・


SIDE Out


シャ「リンカーコア捕獲。蒐集開始!」

 すると、闇の書のページが埋まっていく。

(count zero)

葵「まずい」

な「・・・す、スタァ・・・ライト・・・ブレイカァアアアア!」

 あのバカ、また無茶を!? 今回は何も言えないか・・・。

シ「〈結界が破られた! いったん離れるぞ〉」

ザ「〈心得た〉」

ヴィ「〈シャマルごめん。助かった〉」

シャ「〈うん。一旦散ってまたいつもの場所で集合。葵君、お願いしてい?〉」

葵「〈大丈夫だ。それに自ら申し出たんだ、気にするな〉」

シャ「〈うん。ありがとう〉」

葵「追跡阻害魔法展開。ファヌンレイヴ」

 すると、シグナム達の身体一つ一つに黒い魔法がまとわる。

シ「〈これは?〉」

葵「〈念には念だ。管理局がバカじゃなければ追跡を行うはずだ。それを妨害する魔法をかけた。だが、安心はするな〉」

ザ「〈何から何まで済まない〉」

 そういってシグナム達はその場を離れた。


SIDEアースラ


エ「あぁ・・・逃げる・・・ロックいそい・・・!? なんで、ロックができない!?」

局員「転送の足跡・・・・だめです! こっちも妨害されました」

 葵が展開した魔法によってロックができずただ指をくわえてヴォルケンズが逃げるのを見るしかなくなった局員たち。

 すると、一つのモニターに闇の書が映し出された。

ク「なっ!? あれは!?」

リ「いけないわ! 急いであっちに医療班を向かわせて!」

局員「ダメです。見たことない妨害魔法によって邪魔されて・・・」

エイ「あぁん! もう! ごめん・・・クロノ君。しくじった・・・クロノ君?」

ク「第一級捜査指定遺失物ロストロギア【闇の書】」

エイ「クロノ君、知ってるの?」

ク「あぁ、知ってる。少しばかり、嫌な因縁があるんだ」


SIDE Out


葵「お邪魔をします」

 ユーノがなのはを必死に回復しているところに降り立つと当然フェイトとアルフが武器を構える。

葵「そこにいる者を治すだけです」

 そういってなのはのリンカーコアがあるであろう場所に手を添え、

葵「〈孤狐、そっちの治癒魔法を使う良いか?〉」

孤「〈うん、いいよ〉」

葵「〈ありがとう〉彼者に恵みと祝福を与えたまえ、全ての傷を、すべての痛みを癒す風」

 金色の光がなのはを包み、傷をいやす。

葵「傷は治しました。リンカーコアの方も直りは早くなるはずです」

フェ「待ってください! 何を考えているんですか!?」

葵「というのは?」

フェ「友達を、なのはを傷つけたと思ったら、その傷つけた物を治すなんて!」

葵「・・・・護るためです」

フェ「え?」

葵「聞きたいことはそれだけですか?」

フェ「え、えっと、その・・・」

 ん? 管理局員が来たようだな。

葵「では、私はこの辺で失礼します。また会えるときに。金色の姫君」

 そういって去った。

フェ「ふぇ!?」


SIDEフェイト


 金色の姫君って私のこと!?

アル「大丈夫かいフェイト?」

フェ「え!? う、うん///」

 何か葵みたいだったな。でも葵はいまスイスだし、そんなわけないよね。


SIDE Out


―八神家

シャ「はやてちゃん。お風呂の支度できましたよ」

は「うん。ありがと♪」

シャ「ヴィータちゃんも一緒に入っちゃいなさいね」

ヴィ「は〜い」

シ「明日は朝から病院です。あまり夜更かしされませんよう」

は「は〜い」

シャ「では、よいしょ・・・と。シグナムはお風呂どうします?」

シ「私は今夜はいい。明日の朝にするよ」

シャ「そう」

ヴィ「お風呂好きが珍しいじゃん」

シ「たまにはそういう日もあるさ」

は「・・・ほんならお先に」

シ「はい」

―ガチャ キー バタン

ザ「今日の戦闘か?」

シ「聡いな。そのとおりだ」

ザ「お前の鎧を撃ち抜いたか」

シ「澄んだ太刀筋だった。よい師に学んだんだろうな」

―スッ

葵「怪我をしたのなら言え。お前も主を心配させるつもりか?」

シ「葵!? 無事だったのか!?」

葵「まぁな。それより」

 私はシグナムの傷の場所に手を当て、回復魔法をかける。

ザ「これは・・・・傷跡すら残っていない」

葵「孤狐、シグナムを連れて風呂に入ってくるといい」

 そういって契約を解除した。

孤「葵は?」

葵「明日にする。今日はつかれた。寝るとしよう」

孤「は〜い。じゃあ行こ、シグナム」

シ「助かった。葵」

葵「気にするな」

 孤狐はシグナムを連れ風呂場に向かった。

ザ「すまん。助かった。礼を言う」

葵「構わん。風呂好きのシグナムが急にあんな態度をとるとはやても不思議がるだろうからな」

ザ「それよりお前の方は大丈夫なのか?」

葵「さて、なんのことやら」

ザ「右手。シグナムの太刀を素手で防いだそうだな」

 そういって右手にはやけどの跡がいまだにくっきりと残っていた。だが、これぐらいならすぐに完治する。

葵「・・・あれ以上するとおそらくシグナムも止まれなくなると判断しただけだ。今回の目的はあくまでも蒐集。変に火がついてらまずいだろ?」

 そういって苦笑しながらザフィーラに聞く。

ザ「そうだな」

 ザフィーラも鼻で笑いながらあきれていた。


―― 一方風呂場


孤「は〜や〜て〜ちゃ〜ん!」

は「孤狐!」

孤「ただいま〜。そしておじゃまい〜す!」

シ「待て孤狐。まず体を洗え!」

ヴィ「シグナム? 結局はいるのか!?」

シ「あぁ。孤狐から誘われ半ば強引にな」

孤「酷い!? ボクのせいにされてる!?」

は「あかんで〜孤狐」

孤「ぶ〜。だってボクの長風呂に付き合えるのシグナムぐらいだもん」

は「そやったな」

シャ「〈シグナム怪我の方はいいの?〉」

シ「〈あぁ。神無月が治してくれた〉」

シャ「〈そう。良かったわ〉」

 三時間後、ゆでダコのように真っ赤になったはやて、ヴィータ、シャマルが孤狐とシグナムに担がれてリビングに来た。

もう一二月にもかかわらず魔法で団扇を作り三人を扇いでいると、はやてとヴィータが私の膝の上に頭をのせてきたのでそのままそっと頭をなでながら団扇で扇いでやった。

 その際、シグナムとシャマルと孤狐の視線が痛かったのはなぜ?

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