小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第一八話

 
 さて、あの後孤狐と契約を執行し今結界の外に来ています。

葵「あれは・・・強装型の捕獲結界か。あの中か?」

シ「そのようだな。どうやらシャマルの通信通りになったか」

葵「このまま突っ込む。結界の破壊は私がする。シグナム、お前は魔力温存しておけ」

シ「良いのか?」

葵「金色の娘と戦うんだろ?」

シ「分かった」

 そして、

葵「いざ参る!」

 白桜を取り出し、

葵「無名流、黒月十字!」

 斬撃を二振りし十字架を描くように切る。すると、ちょうど中心点にあたる部分の結界が、

―パリーン

 割れた。

葵「行くぞ」

シ「あぁ」


―結界内 ビル屋上

フェ「私たちはあなた達と戦いたいわけではない。まずは話を、理由を聞かせて」

 優しい声でたずねるフェイト。

な「そうだよ! 闇の書を完成させる理由を教えて!」

 フェイト、なのははヴィータとザフィーラの説得を試みようとしているが、

ヴィ「お前らに教えることなんてねぇよ。それに、ベルカにはなこんな諺があんだよ」

 ヴィータは二人を睨み、ザフィーラはそれをただ静観していた。

ヴィ「【和平の使者なら槍をもたない】ってな」

 だが、二人の反応はというと。

な・フェ「「??」」

 分かってない感じだ。まぁ、まだ小学生問うても分からないだろ。

―ズガァアン

全員「!?」

葵「分かっていないようですねそこの二人。簡単に言うと話し合おうと言う人間なら武器は持ってこないと言うことですよ」

ヴィ「そういうことだ〈葵!? なんで!?〉」

葵「〈シャマルから連絡があった。それに今日が何の日か忘れたわけじゃないだろ?〉」

ヴィ「〈そう、だったな〉」

 すると、なのはが怒りながら、

な「なっ!? いきなり有無を言わさず襲ってきた子がいうこと!?」

葵「と、彼女は言っていますが?」
 
 するとザフィーラが、

ザ「それにそれは諺ではない。それは小話のオチだ」

 そうなのか。

ヴィ「うっせぇ! 良いんだよ別に細かいことは!」

 細かいか? まぁ別にいいが。

葵「来たか」

―ズガァアアアン

 葵の後に続くようにきた人影、

フェ「っ!? シグナム」

葵「・・・・それでは始めましょうか。一対一の戦いを」

 そういって私は距離をある程度とりこの場で監視しているであろう管理局の動きを探る。

シ「〈お前はどうするんだ?〉」

葵「〈私はシャマルの元へ。おそらく彼女たち二人が引きつけている間にだれかがシャマルを探るだろう〉」

 そういってあたりを確認すると、ユーノとクロノの姿がなかった。

シ「〈そうか。では頼む〉」

そういってシャマルの元へ向かう。すると、そこにはクロノがシャマルにデバイスを向け投降を呼びかけていた。

ク「S級ロストロギア・・・闇の諸の所持、並びに使用の疑いで貴方を逮捕します。抵抗しなければあなたに弁護の機会が与えられます。同意するなら武装の解除を!」

葵(まずいな・・・・おや?) 

 明らかにだれが見てもクロノの方が優位だ。かというわたしもそう思っていた。だが次の瞬間それは逆転する。忍びよる者によって。

すると、妙な魔力反応を感じた。そして次の瞬間、

葵「あの仮面の男、いや、あの猫か」

シャ「え・・・」

ク「?・・・・!」

 すると突然クロノを誰かが蹴り飛ばし後ろビルのフェンスにくのが衝突する。

ク「ぐあ・・・・な、なかま・・だと?」

 その男は仮面をかぶっておりどのような表情をしているかすら分からなった。

 だが、葵は。

葵「はぁ〜。クロノ。油断があだとなったか。勝って兜の緒を締めろと訓練中にあれほど言ったのに」

 そして仮面の男はシャマルに向かって、

シャ「あなたは・・・・」

 シャマルは警戒心マックスでその男を見る。

仮「使え」

 どうやら、仮面の男は闇の書の魔力を使うことを勧める気か?

シャ「え?」

 シャマルは突然のことで一瞬だが驚いたが、すぐに冷静さを取り戻した。。

仮「闇の書の力を使ってあの捕獲結界を破壊しろ」

 やはり。だが、協力するようなら進めないだろ。まぁ協力者というわけでもないんだろうがな。

シャ「で、でもあれは!」

 で、案の定拒否。

仮「使用して減ったページはまた増やせばいい。時間はまだある。仲間がやられてしまっては全てが無になる」

 そういって闇の書の力を使うことを勧めた。

 が、

葵「それではこちらが困るんだ」

 そういって私は仮面の男に刀を突き付けた。

葵「言ったはずだぞ。介入はするなと。したらどうなるか分かっているのか?」

仮「!?」

葵「氷矢!」

 私の周りを水色の魔法陣が展開しそこから氷の矢がいくつも出て仮面の者を襲う。

仮「くっ!?」

葵「凍てつけ、その凍土のように、永遠に忘れ去られた大地!」

仮「なっ!?」

 すると、仮面の者の頭を除き全てが氷の塊に包まれる。

ク「貴様は!」

葵「・・・君も少し黙ってろ」

 そういって仮面のやつとおんなじ魔法をかけた。

ク「これは!?」

葵「さて、シャマル。そこのバカ二人の魔力を蒐集しておけ」

シャ「はい!」

葵「では結界を破壊しますか。〈シャマル。全員に撤退合図を〉」

シャ「〈えぇ〉」

葵「今から歌うは闇に染まりし者の声」

 葵は手のひらを上にするとそこには闇に染まった一つの球体が浮かび上がった。

シャ「・・・・・」

 シャマルはそれをじっと見ているしかなかった。

葵「その嘆きは何のために? その憎しみは誰に向けて? その悲しみは誰のために?」

 その詠唱は悲しみにあふれ、憎しみにあふれ、怒りに満ちていた。

葵「我が嘆きは誰にも聞かれず、ただ闇に葬り去られた」

 まるで、誰かに大切なものを奪われたかのような憎しみ、

葵「これは、我が怒りの鉄槌なり!」

すると、闇に染まった球体状のものはえっ階の上に行き、巨大な闇の塊が浮かびそこから無数の闇の矢が結界に降り注いだ。

 その矢はまるで雨のように降り注ぎ、

―ピキ、ピキキキキキキ

 結界が悲鳴を上げ、そして

―パリ――――――――ン

葵「さて、次は殿といきますか」

 そういって結界内に移動した。


―結界内

シャ「〈みんな。今から葵君が結界を破壊するわ! うまくかわして撤退を!〉」

シ「〈葵! お前はどうするんだ!?〉」

葵「〈殿をする。何回か転移したのち心の世界に入れ。そこからはやての家に通るようパスをつないでいる〉」

ヴィ「〈だけどお前が!?〉」

葵「〈心配するな。すぐに戻る。なに、捕まりに行くわけじゃないんだ。分かったなら行け。今日がどういう日かすれたわけじゃないだろ?〉」

シャ「〈葵君の言うとおりに。ここは葵君を信じましょう〉」

シ「〈・・・・分かった。ちゃんと戻ってこい〉」

ヴィ「〈約束だかんな!〉」

ザ「〈頼む〉」

葵「〈あぁ〉」

シ「時間切れのようだ。この勝負預ける」

 シグナムはそのまま飛び去っていった。

ヴィ「あたしはヴォルケンリッター鉄槌の騎士ヴィータ。あんたの名は?」

 騎士の礼儀なのか名前を聞くが、

な「・・・・なのは。高町なのは」

 なのはも聞かれたのでそれに応える。

ヴィ「高町なぬ・・・なね・・なにゅ・・・えぇい! 高町なんとか!!」

 言いにくいからそれは無いぞ・・・・。

な「なんとかじゃないよ!! なのはだよ!!」

 なのはもやはりそれは不条理だと思ったのだろう。

ヴィ「ともあれ、勝負は預けた。次は手加減しねぇ! 殺すかんな! 絶対だ!!」

 そう言い残してヴィータもその場を去った。

な「! まって! ヴィータちゃん!」

 ザフィーラとアルフ達も、

ザ「使い魔。仲間を護ってやれ! 直撃を受けると危険だ!」

 と、守護獣がとる役目を示唆した。

アル「え、えぇ? あ、あぁってどういうことだい!?」

 その後、結界は砕けヴォルケンリッター達はその場から去り結界があった場所には葵だけが残った。

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