小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第一六話

 なのはが怪我をしてさらに月日がたった。まぁ、なのはの努力の賜で再び空を飛べるようになった。その時のあいつは泣きながら謝っていたが私は気にするなといった。泣きやむまで優しく抱いてやったが、あの後はやてたちが自分にもしろといってきたのは予想外だった。

葵「久しぶりだな。ティーダ」

ティ「葵か! 今回の協力者というのは」

葵「あぁ。あの試験の時はありがとう」

ティ「いやいや。こっちも学ぶ部分が大きかった。ゼストさんもそう言ってたしな」

 いま私はガーディアンの仕事でティーダと共に犯罪者を追う仕事を行っている。

ティ「しかし本当にいのか? 俺は一等空尉、葵は三等空佐だ。階級上は君の方が上だぞ?」

葵「そう言う階級は所詮お飾りだ。私自身階級で呼ばれたり、上官扱いされるのは嫌いだ。それに私と君は友だろ? 私と君だけの場合はそう言うのを取りはらってもいいと思うぞ」

ティ「はははっ葵らしい」

 その後、私とティーダは別行動となった。私はガーディアン。海や空からその制服の色から【白】と呼ばれている。そしてティーダは首都航空隊。こんなときに派閥争いしている場合か?

白局員「葵さん。違法魔導師を見つけたとのこと」

葵「分かった。今から向かう」

白局員「はっ!」

 無茶をしなければいいのだが。


SIDEティーダ


上司「〈いいか! 絶対に犯人を捕まえろ!! あの新設部隊の【白】に手柄を取られるな!?〉」

 手柄とかどうでもいい。だが、あの上司につくぐらいなら葵の下で働いた方がよっぽど正義に近いような気がする。目先のことしか考えず、手柄を取り出世。結局は自分たちのことしか考えていないような気がする。

ティ「っ!?」

 考え事をしていると、犯人を見つけた。そのまま尾行し、隙をついて逮捕しようとした。

 だが、

犯人「!? ちっ!!」

ティ「しまった! 待て!!」

 犯人が逃げ出したので、その後を追う、すると、

犯人「来るな!! 武器を下せ!? 差もねぇと子のガキがどうなってもしらねぇぞ!!」

 犯人はおそらく近くにいたのであろう子供を人質にしていた。

ティ「くっ・・・分かった。だからその子供を解放しろ」

犯人「それはお前次第だな」

 言われるままにデバイスを下ろした。俺のミスだ。あそこで捕まえておけばこんなことには・・・

ティ「これでいいだろ。解放しろ!?」

犯人「よし。このままおさらばしてもいいんだが、ちょうどいい。管理卿には恨みがあったんだよな。ここでその憂さ晴らしでもさせてもらおう」

ティ「なっ・・・グアッ!?」

 犯人がそう言うと、非殺傷設定されていない魔法が、オレの左足を貫いた。

ティ「ぐっ・・・」

犯人「そうそう。大人しくしておけよ。まぁ、次はっと・・・」

 次に右足、そして左腕、右腕、その後はどこを貫かれたかはわらないが、

犯人「・・・なんでだよ・・」

ティ「その子を・・・かい・・ほう・・」

犯人「ちっ、いい加減死ねやぁあああああああ!!?」

少年「ひっ」

 だが、そいつの魔法が俺に当たることは無かった。

葵「ディコシールド、展開」

犯人「なっ!?」

葵「さて、私の友を傷つけたのだ。それ相応の罰は背負ってもらうぞ」

 そこに立っていたのはあの試験の時に見せた白い鎧姿の葵だった。


SIDEOut


葵「大丈夫か!? ティーダ!!」

ティ「あ、あぁ・・・一応」

葵「癒しの風よ。汝の力を持ってこの者の怪我を癒したまえ。ヒーリーングフール」

 ティーダに魔法をかけ、その後障壁を展開させる。

犯人「お、お前も管理局の人間か!? こ、このガキが見えないのか!?」

葵「ガキ? こいつのことか?」

 そういって私は少年を見せた。

犯人「なっ!?」

少年「おにいちゃん! あの悪い奴、あのお兄ちゃんをいじめてた!!!」

葵「そうかそうか。君は逃げるといい。あいつのことならしっかりと怒ってやらないとな。生きていることを後悔するほどに」

少年「うん!」

 そういって少年は大通りに面する場所に向かって逃げて行った。その後黒木に切り替え、

葵「貴様の黄泉路への案内。この私が務めよう」

犯人「くそっ!?」

葵「逃がすと思うか? ダークアロー」

 黒色の矢をカスの足に当てる。

―ズガシュ ザシュ

 二つとも両足に当たっている。無論殺傷設定だ。

犯人「ギャァアアアアアア!!!」

葵「同じ痛みをティーダは背負ったんだ。お前も平等、いやそれ以上に背負わないとな」

 その後は殴る、蹴る、魔法をぶつける。そして再び殴る、蹴る、魔法をぶつけるを永遠のサイクルのごとく繰り返す。

犯人「た、たすけ・・・」

葵「そうだな。そろそろ終わりとしよう」

 六本の両翼刀を展開させ、

葵「ウィング・オブ・ジャッジメント!!!!!!」

 その後、犯人は爆発と同時に気絶。ガーディアンの他のメンバーが事後処理を行いこの事件は解決した。








 あの後すぐにティーダは病院に送られた。ティーダの病室の中で彼が目を覚ますのを待っていると、

葵「ん? 君は?」

ティア「ティ、ティアナ・ランスター」

葵「ランスター。ということは彼の妹か?」

ティア「はい」

葵「そうか。ティアナちゃんか」

ティア「お、おにいちゃんは大丈夫ですよね!?」

葵「え?」

ティア「一人はいやです・・・おにいちゃん・・はやく・・おきますよね」

 ティアなのかを見ると泣きそうになっていた。私はそっと彼女の頭に手を置きなでてやる。

ティア「え・・・」

葵「ちゃんと目覚めるよ。こんな可愛妹さんをほったらかしにするわけないだろ。起きなくても私が叩き起こしてやる。私の友なのだから」

 優しく語りかけるように彼女にそう言う。

 すると、その後ろからおそらく彼の上司であろう者が現れた。

上司「ふん。役立たずが。犯人に人質は取られた揚句、別の部隊に手柄を取られるとは・・・」

葵「なっ・・・!?」

 私が言い返そうとしたら、ティアナが一歩前に出て、

ティア「おにいちゃんは役立たずじゃない! おにいちゃんは私が知ってる中で一番の強い魔導師だもん!!」

上司「一番強い? はっ! 我が部隊で一番の役立たずが? まっこいつはクビだがな。すでに辞令も出してある」

ティア「違う・・・違うもん! おにいちゃんは・・おにいちゃんは!!」

 上司はこちらに視線を移して来た。

上司「君も余り図に「黙れよ虫けらが・・・」なに?」

葵「所属部隊と階級を言え」

上司「君に名乗るつもりはないが、二等空佐だよ。三等空佐君?」

葵「・・ハハハッハハハッ」

上司「なにがおかしい!?」

葵「私の名前も言っておくか。三提督直轄独立機動部隊ガーディアン総部隊長。神無月葵。階級は【中将】だ。二等空佐君?」

上司「なっ!?」

葵「お前は今日付けで解雇だ。すでに今の言葉が三提督の方にも回っている。今日中にでも・・いや、いま来たみたいだな」

 そのモニターを彼が見ると顔が真っ青くなった。

葵「部下の失敗は上司の失敗だ。そして上司の功績は部下の功績だ。それもわからず私利私欲に走り、局の本来の意味すらも忘れた屑以下のごみに用はない。とっとと失せろ。さもなくば」

 そう言ってアルヴォをそいつのこめかみに当てる。

葵「私があの世へ送ってやろう」

上司「ひぃっ!?」

 まぁ屑はそのまま病室を逃げるように去っていった。

葵「起きているんだろ、ティーダ」

ティ「・・・ばれたか?」

ティア「おにいちゃん!!」

 ティアナはそのままティーダの胸に抱きついた。

ティア「おにいちゃん、おにいちゃん、おにいちゃぁあああん」

葵「全く、幸せ者だなお前は。こんな可愛妹に好かれて」

ティ「自慢の妹だ!」

 ・・・あれ? 一瞬ティーダと恭也さんが重なったような・・・うん。気のせいだ。

ティ「だが、これからどうするべきか・・・」

葵「ふむ。その件だがすでに出してあるぞ。ほれ」

 そういってモニターをティーダの前に出す。

ティ「!? い、いいのか俺みたいな役立たずが!?」

葵「あほかお前は。お前の頭脳は私から見れば喉から手が出るほど欲しい。それだけじゃなく戦略眼や作戦の立案に関してもお前はあのゴミクズ以上のモノを持っている。私の部隊に入ってくれるなら即戦力としても期待できるが?」

ティ「・・・分かった。友人の願いなら聞かねばな」

葵「感謝する」

 私が頭を下げると、

ティ「よ、よしてくれ!? お前は中将なんだ! 俺なんかみたいなものの」

葵「私は仲間を大切にする。部隊は一個の家族だ。上下何ぞ関係ない。それを忘れるな」

ティ「あぁ。分かった。これらもよろしく頼む。友よ」

葵「あぁ」


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