小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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デート編 シャマル


葵「今日はシャマルか?」

シャ「はい!」

 シャマル。その元気な表現はいいんだが、私は怖いんだ。そう。その手にしてる弁当が。

 どうやらシャマルはピクニックに行くらしい。それに近くの自然公園に行くと言っていた。

葵「まぁ、この季節なら風も気持ちいしな」

シャ「そうですね。でも今思ったら葵君とこうやって二人きりって初めてですね」

葵「そうだな。そう言えば。というか私はあれから結構忙しかったしな、部隊とかで」

シャ「見かけによらず昇格しましたしね。次は一等空佐でしたか?」

葵「あ、あぁ(もうすでに大将です)」

シャ「でもできれば私もガーディアンで働きたかったです///」

葵「だがそれだと身内だからって思われるだろ? 公私混同をする気はないがやはり第三者から見るとね」

 ちょっと仕事の話が入ったな。

葵「そう言えばシャマル料理の方はどうだ?」

シャ「えぇ。腕に磨きがかかってきましたよ!」

 そういってガッツポーズをしているが、私がたまに帰ってくると泡を吹いているザフィーラ犬型「狼だ」・・・今ザフィーラの声が・・・まぁいい。いるのだが?

私は今日生きて帰れる・・・あ、そう言えば神からもらった能力があった。

 そして目的地に着く。

葵「風が気持ちいな」

 近くの芝生に腰を下ろす。こうやってゆっくりするのも久しぶりだな。

―ぐぅぅぅ〜〜

葵「・・・すまん」

シャ「いえいえ! あ、じゃあちょっと速いですがお昼にしますか?」

 ・・・ついに来たか。胃の準備よし! 舌の準備よし! さぁいつでも来い!

シャ「今失礼な準備しませんでした?」

葵「気のせいだ!」

シャ「そ、そうですか? じゃあどうぞ!」

 そういって弁当箱のふたを開けると、

葵「・・・これは本当にシャマルさんが?」

シャ「はい! もちろんです!」

 弁当箱の中は卵焼きに、焼き鮭、ポテトサラダ、鳥の唐揚げ。二段目はおにぎりとお漬物。見た目は完璧というか原型というか料理の形をなしている!!

 だが、

葵「あれ? お箸は?」

 すると、シャマルがお箸を持ち、

シャ「あ、あの、あ、あーん///」

葵「・・・・え」

 もう驚くことはないが、これは正直反則だ。シャマルは料理以外はどこか母性を感じていたが、こうもされると。

シャ「あ、あの、嫌でした?」

 涙目でそう言うシャマル。うっ、罪悪感が、

葵「い、嫌じゃないが、そ「じゃあどうぞ」・・分かった。あーん」

 そして咀嚼。ん! これは・・・

葵「普通においしい」

 そう。普通の味なのだ。この成長はあの三途の川への常連であるザフィーラも喜ぶだろう。もう実験台にならなくて済むし。

 その後は弁当を完食。実においしかった。


SIDEシャマル


シャ「葵君。ありがとうございます」

葵「? いきなりどうした」

シャ「いえ。この機会にでも言っておかないと」

 葵君はそれでも何が? みたいな感じで首をかしげます。

シャ「闇の書の事件。それとあの後なるべくはやてちゃんとシグナム達と一緒に行動できるように計らったのは葵君ですよね」

 そのことを聞いた葵君はかなり驚いていました。

葵「リンディさんあたりか?」

シャ「はい。リンディ提督とクロノ君から。はやてちゃんや皆と同じ部隊に配属された時は皆すごく喜びました。でもだんだん冷静になって考えたらおかしいと思ったんです。だから聞いたんです」

 リンディさんいわく葵君が三提督と地上本部のレジアス中将を説得して私たちが同じ部隊での行動を認めるよう説得してくれたらしい。その代わり葵君がきつい仕事でも引き受けるという条件を出したみたいだ。

葵「家族がバラバラになるのは嫌だろ。私も彼女たちが悲しむ顔なんて見たくもない」

シャ「それだけじゃありません。私に回復魔法を教えてくれたりしてくれました。おかげでヴァリエーションも増えましたし」

葵「私はコツを教えただけだ」

シャ「料理も上達しましたよ」

葵「・・・それは何とも言えんな。ただ一つ言えるのは諦めず努力したからだろう」

シャ「むぅ。葵君。人の感謝は素直に受け取りましょうよ!」

葵「イヤ本当に何もしていないんだが」

 そういう謙虚なところがまたいいところなんですけどね。でも、

シャ「私たちに未来を幸せをくれました。私たちは本来消えるはずだった。でもあなたは私に私たちに手を差し伸べてくれて希望の光を見せてくれました」

葵「・・・・」

シャ「本当にありがとうございます」

葵「・・・そうか。ならよかった」

 そう言って彼は優しく微笑んでくれた。この笑みに何度も救われた。


SIDEOut


 日が暮れ始めたのでそろそろ帰ろうとしたとき、シャマルが、

シャ「あ、葵君!」

葵「ん?」

 そういって振り返ると、

―ンチュッ

葵「!?」

シャ「私の初恋の相手ですからね、葵君は。初恋は実らないといいますが、絶対にそんな風にはしません。この恋は必ず実らせてみせますから!」

 その後、腕を組んで帰路についた。

 終始シャマルも私も顔が真っ赤だったが、夕日のせいでごまかせた。

 ちなみに家に帰ると真っ白に燃えたはやてが椅子に座っており、
は「燃え尽きたわ・・・・燃え尽きたで、真っ白に・・・」

 と、何が起こったのかわからなかったが何かを達成しきったようだった。なにせ最後まで満面の笑みだったのだから。

 まぁ、後はわかると思いますが今日はシャマルと一緒に寝た。

シャ「葵君。私絶対に諦めませんからね///」

 と、最後に言ったな。

(さてお次は?)

(アイン、ヴェルあたりか)

(意外とダブルで来たりして♪)

(・・・否定できんな)

(え?)

-95-
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