季節は春
嫌々ながらにタケの隣には見知らぬ女の子と二人
はたから見れば、お似合いカップルに見える二人だが
タケの表情はよろしくなかった
「あ、あの何かすいません・・・」
「あーいいよ別に」
棒読みで言うタケに、女の子を今にも泣きそうだ
「もう、今言います!!私、あなたに一目ぼれしました!!」
「ん?俺に?なんで?」
「えっ;なんでって言われても・・」
「一目惚れって大体さ、顔で選んでんの?」
「へっ・・」
「俺無理ーっ」
「・・・・」
「顔じゃなくてさ、中身見たほうがいいぞ」
「あ、あの・・・」
「あっヤベ!時間ねぇから先行くわ!じゃぁな」
タケは女の子を残して駆け足で帰り道を走り去った
遠回しに断られた女の子の目からは涙が・・・ではなく
不敵な表情へと変貌した
「いい男発見♪」
さっきほどの、か弱いイメージは崩れ
腕を組んで不敵な笑みを浮かべる女の姿はまるで悪魔のよう