第一章 謎の男の子と女の子
「桃おはよーう」
猫山 苺が、黒魔 桃に手を振りながら大声で言う。
そして、苺が桃の近くまで行くと桃が、小声で怒鳴る。
「だから、毎日言っているでしょう!大声で呼ばないでって!」
それを、言われた苺がすまなそうに顔を暗くして謝る。チャイムが鳴った。廊下にいた生徒達や席を離れていた生徒達は、慌てて席につく。
生徒達が、席に座った頃に担任の吉徳先生が入って来た。
学級委員が号令をかけて、朝の挨拶を済ませてホームルームを始めた。
苺は、ある事に気付いた。
(あー!数学の宿題忘れちゃったよ〜どうしよう・・・)
吉徳先生が教室全体に、聞こえるような声の大きさで言ったが、セミの鳴き声で後ろまで聞こえてなくて後ろの席の生徒が前の席の生徒に聞いていた。
そんな中、廊下側の列で前から2番目の席に座っている苺は、「先生宿題忘れました。」と言いながら教卓の前に立った。
すると、後ろから「俺も宿題忘れました。」と言う声がして、声の主が苺の左側に立った。でも、苺はその声の主が誰なのかには、あまり興味がなかったのでずっと吉徳先生の方を見ていた。
先生が、大きなため息をついた後に苺と謎の男の子に言った。
「2人とも、1限目が終わるまで廊下に立ってなさい。」
苺と謎の男の子は、教室から廊下に出て前のドアの横に2人並んで立った。
苺の隣に立っている謎の男の子が、苺に声をかけた。
「なぁ、猫山。今日の宿題何だっけ?」
うつむいていた苺が、顔を上げて謎の男の子の顔を見て、驚いた声で聞いた。
「あなた誰?なんで私の名前知ってんの?」
「まさか、お前俺のこと知らないのか!?」
苺は、コクリと頷いた。
謎の男の子は、ため息をついて仕方なさしそうに自己紹介をした。
「俺の名前は、田口 龍。歳は、15歳で中3よろしく。それと、お前の名前を知ってたのは毎朝、健康観察で名前を呼ばれてるから覚えただけ。」
苺は、笑顔で言った。
「よろしく。田口。」
「龍でいいよ。苺。」
2人とも笑いあって言った。
龍は、そう言いながら笑顔のままで苺の頭をポンポンと軽く叩いた。
苺は、も〜という顔で龍の顔を見た。
そして、その日の昼休み苺と桃と違うクラスだけど仲が良い鳥真 葡萄で、食堂に昼ごはんを食べに行った。
苺は、さんま定食。
桃は、ビーフシチュー。
葡萄は、目玉焼きランチのフルーツポンチ付きを、頼んで食べた。
そして、午後の授業が終わって、苺と桃は帰りの掃除当番だったので、葡萄には先に帰ってもらった。
夕方5時に掃除が終わって、苺と桃が校門まで行くと校門のところに、綺麗な橙色の長い髪の可愛い女の子が立っていた。
桃が、女の子に話しかけた。
「綺麗な髪だね」
桃は、女の子に笑いかけて言った。
女の子は、その言葉に嬉しそうに笑った後に、走って何処かに行ってしまった。
「不思議な子だね・・・」
桃は、呆然として言った。
苺も、呆然としていて頷くだけだった。
「それより、急いで秘密基地に行かないと!」
桃が言う。
「そうだった!リンと葡萄がまたうるさいからね。でも、その前に依頼書を取りに行かないとね。」
苺が言うと、2人は走り出した。
リンが誰かと言うと、小5で歳は10月生まれなのでまだ10歳、名前は熊谷 リン。
リンの母親が、苺たちの組織みたいなグループに入っていて、リンの母親の熊谷 林檎がそのことを話すと、リンが“入りたい!”と言うので仲間になったし友達にもなった。
そして、苺と桃が依頼書を取って秘密基地がある南側の星の森の奥に入って行った。
苺と桃が秘密基地に、入ると腕を組んで壁に寄り掛かって機嫌悪そうに待っているリンがいた。
苺が、葡萄にいつもよりリンが機嫌が悪い理由を聞いてみた。
「今日、林檎がリンと約束していたお菓子作りの材料を買い忘れて延期になったのと、苺と桃が遅れて来たのが理由だよ。」
「林檎らしい失敗だね。」
リンが壁から離れて、桃たちのところに歩みよって来た。
苺が、怒鳴られると思って葡萄の後ろに隠れる。
するとリンは、依頼書を持っている桃の前まで来て言った。
「2人とも遅い!早く依頼書見せて!」
やはり、怒鳴った。
リンが手を桃に、突き出した。
桃は、5枚の依頼書を全部見てリンに、という依頼とという依頼を任せた。
苺には、という依頼を任した。
葡萄には、他のグループからの協力依頼でという依頼を任せた。
桃にも、他のグループからの協力依頼でという依頼だった。
全部分けた後、少し雑談を話して苺が時計を見て言う。
「もう6時30分かぁ・・・今日はこれで解散!」
そして、苺以外みんな帰った。
苺と桃には、親がおらず家に帰っても1人静かで暗い部屋で寝たり、[ただいま。]という。別に[おかえり]と言ってくれる人なんていないんだけど・・・
葡萄にも、両親はいないけど叔父・叔母の家族に一応なっている。だけど、叔父・叔母とその娘から奴隷のように使われて葡萄は、そんな毎日にうんざりしている。
そんなことを考えながら、家に帰ってるとあっという間に家の前についていた。
苺が、玄関を開けて「ただいま。」と言った瞬間クラッカーのパーンという音がして、苺はビックリした。
クラッカーの音より、もっと驚くことがあった。
それは、桃と葡萄が苺の目の前にいたことだった。
桃と葡萄は、笑顔で「おかえり。」と言った。
苺は、桃と葡萄に聞いた。
「なんでいるの!?」
「私は、家を売って来た。」
桃が、のんきに言う。
「私は、家を出て来た。」
葡萄も、無表情で言う。
「なんで、家売って来たり家を出て来たりしたの!?まぁ、葡萄の気持ちは分かるけど・・・」
「だって、みんな1人なんだし部屋が多くて秘密基地に近い苺の家に住めばみんな1人じゃなくって家族に、なるんじゃないかなぁって思って・・・ダメかな一緒に住んじゃ?」
桃が説明した。
「それもそうかぁ・・・。じゃあ、これからもよろしく。」
苺は、決心したような声で言った。
「ヤッター!!」
桃と葡萄が、大喜び。
その日は、桃特性ハンバーグを食べて苺の部屋で寝た。
第二章 苺と秘密の部屋の謎
次の日は土曜日だったので、桃と葡萄の家具や服などを部屋を決めて片付けた。
片付けが終わったのは、4時30分だった。苺もその日は、自分の部屋の大掃除をした。そして、3人がリビングのソファーに座った。
「あー疲れた。」
苺が言う。
「ねぇ苺、前から気になってたんだけどそこの部屋って、何があるの?」
桃がリビングの奥にある部屋を、指差して言う。
「そこの部屋は、ただの空き部屋だよ・・・なんでそんなこと聞くの・・・?」
苺は動揺した声で、桃の質問に答えた。
「じゃあ、入っても良いよね。」
葡萄が、苺の言い方がおかしいので聞いてみた。いつもの葡萄ならあんまり、興味がないのでそこまでは聞かない。
苺は、“えっ!!”という動揺してる顔を、無理に笑顔に変えて言う。
「ずっと掃除してないし、換気してないから空気悪いしほこりだらけで汚いよ、だから入らない方がいいよ。」
「別に、汚くってもいいよ。」
葡萄は、秘密の部屋に向かいながら言う。苺は、葡萄のまえに立って秘密の部屋には行かせようとしない。
「だめ!!入っちゃだめ!!訳は言えないけど・・・入っちゃだめなの、2人ともお願いだからここだけには、入らないで!」
苺が大声で言った。
葡萄と桃は、黙って自分の部屋に行ってしまった。
残された苺は、ラーメンを作って食べて7時30分に自分の部屋に戻った。
その日の夜、葡萄と桃は苺の部屋を見張っていた。
夜中の12時、苺が部屋から出て秘密の部屋の前まで行った、そして苺は秘密の部屋に入った。その後を葡萄と桃が、入って行った。
そこは、壁一面に本棚で本棚の中には本がたくさん入っていた。
苺が本を読むの!!
桃と葡萄は思った。
しばらく、苺の様子を見ていたけどずっと窓の近くにあった椅子に座って夜空を見ていた。
桃と葡萄は、こっそり部屋を出てリビングのソファーに座って、苺が出て来るのを待った。苺が出て来たのは、3時だった。苺は出て来て桃と葡萄に言った。
「あの部屋は、顔も覚えてない両親が使っていた部屋なの・・・でもあの部屋には、本や図鑑しか無かった・・・」
「でもなんで、秘密にしてたの?」
葡萄が質問する。
苺は、何も言わない。桃は、そんな苺を見て怒鳴った。
「何で黙ってるのよ!!苺らしくないよ!」
それを聞いて、苺が自信を持った顔を桃と葡萄に見せた。
「あの部屋は、両親が使っていた唯一の手がかり。それを、荒されたくなかった。」
「そうゆう理由なら。入らない。」
「私も!」
葡萄と苺の会話の最後に、桃が笑顔で言った。
その日寝たのは、朝方の4時だった。
第三章 天獣と魔獣?
日曜日。
苺たちが起きて来たのは、お昼すぎだった。さすがに、朝方の4時に寝て7時に起きるのは無理がありすぎのだろう。
「おはよ〜う・・・」
あくびをしながら、苺がリビングにいる桃と葡萄に言った。桃と葡萄も大きなあくびをすると、「おはよ〜う・・・」息ぴったり言う。
苺は、階段から降りて来てそのままキッチンに行って朝食が混じった、昼食を作り始めた。
桃と葡萄は、フォークやスプーンを並べた。そして、2階に行ってしまった。
*
キッチンで、昼食を作っている苺。
トマトスープを混ぜながら、考え事をしていた。
昨日、桃と葡萄に嘘をついてしまった。書斎には、アルバムが沢山あったのにいいだせなかった。後で言おう・・・
苺は、戸惑いながらも話す決心をした。
そんなことを、考えているうちにスープが、出来上がった。
そして、オムレツを作りテーブルに並べてクロワッサンを籠に入れてテーブルの真ん中に置いた。