第11話『その頃イッシュでは…』
前書き
今回はイッシュ地方が舞台です。
前回の後書きのとおり、サトシとの旅に同行した野生少女とポケモンソムリエが登場します。ついでに+αも…
ハルカとカスミがマサラタウンに着いたその頃、
???「ふぅ〜、そろそろサンヨウシティに着くころかしら。久しぶりだから楽しみね、キバゴ。」
キバゴ「キィバァ!」
この声の主は、イッシュ地方は竜の里出身の少女・アイリス。『ドラゴンマスター』を目指すため、日夜ドラゴンポケモンを極めている。現在はイッシュ地方にある都市・サンヨウシティに向けて道を進んでいる。ちなみにサンヨウシティにはポケモンジムがあり、そこにはサトシやアイリスとイッシュでの旅を共にしたポケモンソムリエ兼三洋事務ジムリーダー・デントがいる。
アイリス「ところで…。なんでアンタまでついてきてるのよ(汗)」
実はサンヨウシティへ行くのにアイリス一人ではない。
???「べ、別にいいだろ。アイリス。」
アイリス「まっ、いいや。デント達がびっくりするだけだし…。」
???「それに最初に出会ったころとは別格に強くなったキバゴと真剣なバトルがしたいんだ。小さい体格ながらげきりん、ギガインパクトを覚えているドラゴンポケモンとバトルするんだからね。ドラゴンバスターを目指すあたしにとっては、倒し甲斐があるってもんだよ。ドラゴンマスター・アイリス、覚悟なさい。」
アイリス「言ってなさい。その言葉そっくりそのまま返してあげるわよ。ていうか、まだドラゴンマスターじゃないってば!」
以上の会話の内容からもうお分かりだと思うが、アイリスとともにサンヨウシティへ向かっているのはドラゴンバスターを目指す少女・ラングレーである。アイリスと出会った当初はお互いの目指す方向性が噛み合わずただいがみ合うだけの関係だったが、今現在二人は良きライバル同士としてお互いの実力を認め合っている。さらに、困ったときは助け合うなど出会い初めの頃とは様変わりしている。ちなみに、今回なぜ二人がサンヨウシティに行くこととなったのは、ラングレーが偶然アイリスを見かけたことがきっかけである。
アイリス「まぁ、サンヨウジムに行けばバトルフィールドくらい貸してもらえるでしょう。バトルするんだったら、そこでしましょう。」
ラングレー「そうね。あぁ、二人で話しているうちにもうサンヨウシティよ。」
二人でいろんなことを話しているうちに、デントのいるサンヨウシティの一歩手前まで来ていた。アイリス、ラングレーはサンヨウシティの街中に入ると、デントのいるサンヨウジムへと足を進める。
アイリス・ラングレー「「おじゃましまーす!」」
二人は早速、サンヨウジム内部へと足を踏み入れる。
デント「待ってたよ、アイリス。ん? ラングレーも一緒だったんだね。」
アイリス「えぇ、まぁね。ところで、今バトルフィールド使えるかしら?」
デント「あぁ、今コーンとポッドがバトルしてるから使えないけど、もう少ししたら使えるんじゃないかな? もしかして、アイリスとラングレーはバトルをするのかい?」
アイリス「そんなところよ。」
デント「バトルフィールドが空くまで二人ともゆっくりしてるといいよ。今、お茶を入れてくるから。」
ラングレー「あ、ありがとう。」
かつての旅仲間との再会を果たし言葉を交わす中、バトルフィールドの使用の許可を求めるアイリス。デントはそれを快く受け入れたものの、今はポッドとコーンがバトルをしてるのでそれが終わるまでゆっくりするようにアイリスとラングレーに言った。
デント「それにしても、アイリスとラングレーが一緒に訪ねてくるとはこれはまた異色のテイストだね。まぁ、それ程二人は良きライバル同士ということか。」
デントはアイリスとラングレーが一緒にジムを訪ねたことについて、こう語る。アイリスとラングレー、会う度に憎まれ口を言い合う仲であると同時に困ったときはタッグを組んで助け合う良きライバル同士である。それはアイリスとともに旅をしてきたデントやサトシも認めていた。
デント「ところで、2人は今度の『ワールド・チャンピオン・リーグ』に出場するのかい?」
ラングレー「カントー、ジョウト、ホウエン、シンオウ、四つの地で予選選考会が開かれる大会よね。確か、第一回目のカントー・ステージは終了してて次の第二回はジョウトで開催されるんだったかしら?」
アイリス「四年に一度開かれる、世界中のトレーナーが頂点を目指す世界最高峰のバトル大会ね。アタシは出場するつもりよ。」
ラングレー「あたしも出場の方向だわ。デントはどうするんだ?」
デント「僕は出場はせずに世界中のトレーナーのポケモン達をテイスティングしてみようかなと思ってるよ。世界一のポケモンソムリエになるためには、僕たちが知らない世界中のポケモンのテイスティングの必要がある。これは僕の夢の実現のためにも切っても切り離せないことなんだよ。ん〜!」
ラングレー「…そ、そうなんだ。」
アイリス「あぁ、デントがまた面倒臭いモードに入りかけてる…。」
デントがテイスティング・モードに入りかけて唖然とする中、『ワールド・チャンピオン・リーグ』の出場に向けて意欲を見せるアイリスとラングレー。『ワールド・チャンピオン・リーグ』は四年に一度開催される歴史と伝統のある世界最高峰のバトル大会である。世界中からトレーナー達が結集して頂点を目指し、『ポケモン・マスター』になる道の一つとされている。今度開かれるのはサトシ達が住む日本で開催され、予選選考会の第一回をカントー、第二回をジョウト、第三回をホウエン、第四回をシンオウで行う。すでに第一回のカントー予選選考会は終了しており、決勝大会に進むトレーナーが一部決まっている。
ポッド「おっ、懐かしい顔が来てるな。」
コーン「お二方とも、お久しぶりです。」
バトルを終えて、デントの双子の兄弟であるポッドとコーンが、ゆっくり寛いでいるアイリス、ラングレー、デントのもとへとやって来た。アイリスとラングレーは、バトルフィールドで調整がてらポケモンバトルをすることとなった。
※ 進行の都合上、バトルシーンはカットさせていただきます。
ラングレー「以前にも増して、強くなったわね。ドラゴンマスター・アイリス。」
アイリス「だから、まだドラゴンマスターじゃないってば! それはさておき、ラングレーも強くなったわね。」
ラングレー「ドラゴンポケモンを倒すためにここまで必死で特訓してきたからな。それにアイリスも強くなってなきゃ、倒し甲斐がないってもんだ。」
アイリス「ふん、言ってなさい。あたしだって、積み重ねた特訓はラングレーに負けないんだから!」
バトルを終えた後も、ラングレーとアイリスはバトルでの闘志むき出しの状態である。ただ、今回のバトルのみならず、以前から積み重ねてきたバトルから、お互いの実力を認め合っているようで、今の状況においても多少の含み笑いを浮かべている。
ポッド「なんだよ、あいつら。いがみ合ったり、笑いあったり…。全く、仲がいいのか悪いのか、訳がわかんねぇぜ。」
デント「まぁ、あれはあれで二人ともライバル同士だってことだよ。二人とも出会って間もない頃よりは、だいぶマシになった方だよ。」
コーン「ケンカするほど仲が良いっていいますからね。お二人とも、そういった部類なんでしょう。」
ポッド「ふーん。まっ、そういうもんか。」
どうやら、アイリスとラングレーの今のやり取りは、ジムリーダー3人の目にもとまったようだ。それぞれ感じた印象については温度差はあるものの、普段の自分たちと重ね合わせているようだった。
アイリス「ところで、デント。あたしとラングレー、『ワールド・チャンピオン・リーグ』に出場するのはいいんだけど、次の予選選考会が開かれるジョウトまではどうやって行こうかしら? あたしのカイリューで飛ぶのは、距離的に無理があるし…。」
アイリスの言うとおり、イッシュとジョウトまでは途中世界一の海洋を横断する必要があり、かなりの距離がある。アイリスの手持ちには空の飛べるカイリューがいるのだが、それをもってしてもジョウトまで行くのには、体力的に無理がある。
デント「それなら心配ないよ。アララギ博士がもしものために準備してくれるみたいだよ。もしアイリスとラングレーが出場するんだったら、飛行機のチケットは手配するってさ。」
ラングレー「へぇ〜、それは助かるなぁ。」
どうやら、デントは『ワールド・チャンピオン・リーグ』についてアララギ博士と度々連絡を取っていたようだ。アイリスとデントはサトシとの旅を通して、アララギ博士とは何度も顔見世している間柄である。
ポッド「それなら3人とも行って来いよ。世界中の強豪トレーナーとバトルできる機会なんて滅多にないことだぜ。」
アイリス「ん? ポッドとコーンはどうするの?」
コーン「コーン達はここに残ります。大会中はジムバトルはできない規定になっておりますが、レストランの経営も心配ですので。」
『ワールド・チャンピオン・リーグ』期間中は、世界中の公認ジムでのジムバトルは出来ないことになっている。これは以前、大会直前に参加条件であるジムバッジを手に入れて参加する“駆け込み参加”のトレーナーが続出して、大混乱に陥ったからである。尚、サンヨウジムはポケモンジムの傍ら、レストラン経営で生計を立てている。レストランは連日大人気(特に女性層から)で、大繁盛とのことである。
デント「二人ともすまないね。僕だけ抜けることになるなんて…。」
ポッド「気にすんなよ。デントの夢は俺たちの夢、全力で応援するぜ。」
コーン「レストランのことはコーン達に任せて、デントは安心して旅に出てください。」
デント「ポッド、コーン、本当にありがとう。それじゃあ、アイリスにラングレー。早速行こうか。」
アイリス・ラングレー「「えぇ。」」
アイリス、ラングレー、デントの3人は早速、カノコタウンにあるアララギ研究所へと向かう。研究所に到着して博士からジョウト行きの飛行機のチケットを受け取り、そして…
イッシュ地方にある某飛行場…
アララギ「私がついていけるのはここまでだけど、3人とも後は大丈夫ね。」
デント「はい、ご心配なく。」
ラングレー「ここまで送ってくださって、ありがとうございます。」
アイリス「アタシ達も頑張りますから、博士も研究頑張ってください。」
飛行場まで見送りに来てくれたアララギに感謝しつつ、3人は着陸中のカントー行きの飛行機へと乗り込もうとする。すると、
アララギ「それと…、あちらにいる彼によろしくね。」
アイリス・ラングレー「「!?」」
デント「ハハハ…。」
アララギが意味深な言葉を残しつつ、3人は飛行機内へと入っていった。そして、飛行機はかんとー地方に向けて離陸するのだった…
後書き
次回、イッシュ組とサトシ達が合流!
次回から、第2章になります。