小説『主人公総受け物語〜アニポケ編〜』
作者:天の河()

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第10話『サトシの家でお泊り!?』

前書き

カスミ、ハルカ、タケシも一緒にサトシの家に泊まることとなったそんな話。


これはひと波乱の予感!?









 オーキド研究所にて楽しいひと時を過ごし、そろそろ時間なのでサトシの家に戻ることにしたサトシ達。サトシのご厚意で、ヒカリに加えて、カスミ、ハルカ、タケシもサトシの家に泊まることとなった。そんな中でオーキド研究所を出る前のこと…


シゲル「(ボソッ)タケシ、分かっているだろうけど、カスミ、ハルカ、ヒカリの事なんだけど…。」


タケシ「(ボソッ)あぁ、カスミ、ハルカ、ヒカリとは一緒に旅をしてたからな。このままサトシに何もなければいいのだが…。」


 シゲルとタケシは誰にも聞こえないように、現在一緒にいるヒロイン3人について話し、サトシの身の回りのことを心配する。というのも、カスミ、ハルカ、ヒカリ3人ともサトシに好意を抱いており、何度も積極的なアプローチは仕掛けてきた。ただ、ご承知の通りサトシのあまりの鈍感ぶりに彼女たちの思いが届いたことは一度もない。ちなみに、そのアプローチの度合いもここでは言えないような少し過激なものも含まれていたのは別の話。


ハルカ「タケシ〜、さっさとしないと置いていくわよ!」


タケシ「あぁ、今いく! じゃあ、シゲルまた明日な。」


シゲル「うん、また明日。」


 タケシはサトシ達の後を追って、オーキド研究所から出て行った。


シゲル「はぁ〜。このまま何もなければいいのだけど、そうもいかなそうだなぁ…。」


 シゲルは研究所を出て行ったサトシ達の背中を見て、思わずため息をつく。このシゲルの懸念が、今後しばらく悩みの種になるのは言うまでもない。


ハルカ「そういえば、カスミ。先週の雑誌で特集されてたの読んだわ。」


ヒカリ「あっ、あたしも読んだわ。『ハナダの人魚(マーメイド)姫(プリンセス)、華麗に舞う!』ってやつでしょ。」


カスミ「あぁ、先週の水中ショーのやつね。ショーが終わった後に記者の人達の受け答えをするのに大変だったわ。」


タケシ「カスミも有名になったのはいいが、苦労してるんだな…。」


カスミ「だけどこれも『水ポケモンマスター』になるための試練だと思えば、さほど苦にはならないわ。」


 カスミはハナダのジムリーダーをする傍ら、水ポケモン達と一体となってパフォーマンスを魅せる水中ショーを開催している。水ポケモンを最高に引き出すそのパフォーマンスは、ショーの観衆はもちろん、コンテストの関係者の目をも圧巻させるものとの評判である。


サトシ「にしてもスゲェよな。テレビや雑誌、どれをとってもカスミの姿を見ない日はないくらい有名になったものな。」


ハルカ「テレビで初めてカスミのショーを見たときは感動したわ。ポケモン達にあれだけ素晴らしいパフォーマンスを引き出せるんだったら、コンテストでも良い評価をもらえそうだわ。」


カスミ「そこまで言われるとなんだか照れるわね。でも、あたしとしてはメディアへの露出を控えたいところなんだけど…。」


ヒカリ「? どういう事?」


カスミ「実はテレビや雑誌関係にあたしのことを売り込んでいるのは、ウチの姉さんたちなのよ。売り込んでくれるのはありがたいんだけど…。ちょっと度を越えたところがあって、何だか姉さんたちの手の上で上手いように転がされている気がして…(汗)」


サトシ「あ、あぁ、サクラさん、アヤメさん、ボタンさんか…。あの人たちは手の内が読めない人たちだからな…。」


カスミ「ホントよ。以前はあたしのこと散々『出がらし』呼ばわりしてたのに、急に態度を変えちゃって。一体何をたくらんでいるのやら(汗)」


タケシ「まぁ、それはカスミのことをよく見ている裏返しじゃないのか?」


カスミ「だといいんだけどね…。まぁ、あれでもあたしの大切な家族だから…。」


ヒカリ「…カスミのお姉さんたちって、どんな人たちなんだろう…。」


 水中ショーで全国的に有名になったカスミであるが、その裏には『ハナダ美人三姉妹』と呼ばれるカスミの姉たちの働きかけがある。その中にはここでは言えないような度を越えたもの(そのほとんどはカスミ自身が事前に察知して阻止しているのだが)もあって困っているカスミであるが、この3人の働きかけがなければ今のカスミはいなかったといっても過言ではない。カスミとしては、かなり複雑な立場である。


ハルカ「あっ、もうすぐサトシの家に到着するわ。」


カスミ「ホント久しぶりね。そういえばママさんに断わりも入れずに泊まるってことになってるけど、大丈夫なの?」


サトシ「それは心配ないさ。昨晩もヒカリを泊めたしな。」


タケシ「サトシのママさんなら、その点は心配ないか。」


 サトシ以外はサトシの母・ハナコに断りを入れずに家にあがりこむため、泊めてもらえるかどうか心配する。だが、玄関から出てきたハナコは彼らを泊めることを快く承諾し、いらぬ心配だった。ただ、その際、


ハナコ「ふふふ、何だか将来の娘候補がお泊りに来ているようで楽しみだわ。」


カスミ・ハルカ・ヒカリ「「「////////」」」


 サトシに好意を抱く3人にとっては、とても心臓に悪い一言をサトシに聞こえないように言っていた。当然、カスミ、ハルカ、ヒカリは、顔をこれまでにないくらい真っ赤に染め上げる。


タケシ(…どうもこのまま穏便には済まないようだな。サトシのママさん、一言多いです(汗))


 タケシは口に出てきそうだった一言を抑えつつ、これから巻き起こるであろう波乱の展開を予感した。サトシの家で一晩を過ごすこととなり、皆が寝静まる頃、


カスミ「ねぇ、ヒカリはサトシのことどう思ってるの?」


ヒカリ「えっ、あぁ…。」


 カスミ、ハルカ、ヒカリの3人は一緒の部屋で寝泊まりすることとなっており、その部屋は普段ハナコが自室兼寝室として使っている部屋である。部屋の中ではいろんな話題でガールズトークが繰り広げられていたが、そんな中カスミはこの作品において重要なことである話題をヒカリに持ちかける。カスミからの突然の質問に、一瞬躊躇するヒカリであったが、意を決して、


ヒカリ「…あたしはサトシのことが好き。あたしがコンテストでスランプに陥った時、何度もサトシから励まされてきた。もちろんタケシからも励まされたんだけどね。シンオウの旅ではしょっちゅういがみ合ったりするけど、あの優しい笑顔には何度も救われたわ。」


カスミ「ヒカリもなのね。あたしもヒカリと同じように、サトシには救われてきた。お子ちゃま体質なところがたまにキズだけど、仲間を一番に思うあの姿はカッコいいわ。ハルカだって、サトシには何度も助けられたでしょ?」


ハルカ「えぇ、わたしも以前コンテストで大失敗して落ち込んでた時に、サトシに励まされて立ち直ったことがあったわ。その頃からかしら、サトシを意識し始めたのは。」


 カスミ、ハルカ、ヒカリ、3人ともサトシと旅をしていく過程でその彼の優しさと思いやりに触れ、それ以来彼を意識し始めたようである。


ヒカリ「だから、サトシのことはカスミやハルカには負けたくない! それくらいサトシのことが好きなの!」


ハルカ「わたしだって、ヒカリやカスミに負けないくらいサトシが好きよ! サトシは誰にも渡したくない!」


カスミ「あたしも、サトシが好きな気持ちは誰にも負けないわ! それが今日初めて出会って仲間になったヒカリや以前から仲間だったハルカが相手であってもよ!」


 カスミ、ハルカ、ヒカリ、ここにサトシ争奪戦の火ぶたが切られた瞬間だった。ただ、ここで忘れてはいけないのが、サトシに好意を抱いている女性は他にもいることである。現在ここにはいないが、イッシュ地方のドラゴンマスターを目指す某野生少女も例外ではない。


ポッチャマ「ポチャア…。」


 ポッチャマは目の前で火花を散らす様相の3人の雰囲気に飲まれないよう、片隅で様子をうかがっている。このサトシ争奪戦に巻き込まれてある意味危機的な状況に陥るのではと自らの身を案じるが、苦しくも今後はその懸念どおりになってしまうのは言うまでもないだろう。


ハナコ「あら、しばらく見ないうちにウチの息子・サトシは随分罪作りな男になってしまったのね。ふふふ。」


カスミ・ハルカ・ヒカリ「「「!?」」」


 その時、ハナコが部屋に入ってきた。あまりの突然の出来事に思わず心臓が破裂しかけるカスミ、ハルカ、ヒカリ。


カスミ「ま、まさか、さっきの話…。」


ハナコ「えぇ、全部聞かせてもらいましたわ。ごめんなさい、盗み聞きしちゃって。」


カスミ・ハルカ・ヒカリ「「「/////////」」」


 今までの話をサトシの母・ハナコにすべて聞かれていたと知り、カスミ、ハルカ、ヒカリの三人は急激に体の奥底から恥ずかしさがこみあげてきて、顔を真っ赤に染め上げる。


ハナコ「でも、サトシと一緒にいろんな場所を旅してきたあなた達なら大歓迎よ。サトシのことを知っているだろうし、将来サトシと一緒に暮らすのにも困らないと思うわ。あっ、一緒に暮らすというのは将来のサトシのお嫁さんとしてよ。」


ヒカリ「い、い、い、一緒にく、暮らすだなんて//////」


カスミ「さ、サトシのお嫁さん!?」


ハルカ「そ、そんなのま、まだ早すぎますってば! まだ心の準備が//////」


ハナコ「ふふふ、まだってことは将来そうする気持ちはあるのね。」


カスミ・ハルカ・ヒカリ「「「//////」」」


 完全にハナコにペースを握られ、どう弁解しようにもその全てが空回りしてしまう。カスミ、ハルカ、ヒカリの三人の顔は先程よりもさらに顔を真っ赤に染め上げ、今にも湯気を出して爆発しそうである。


ハナコ「この国が一夫多妻制なら、3人とも私の娘として迎え入れていたのにね。」


カスミ・ハルカ・ヒカリ「「「ま、ママさん!?」」」


 ハナコの決定的ともいえる爆弾発言。これが本音で言っているのかはたまた冗談で言っているのかは、読者のご想像にお任せする。


ポッチャマ(ピカさん、もしかしたらこれから一生腐れ縁のようなかかわりを持ちそうになるかもしれません…。)


 ポッチャマはハナコのヒロイン3人に対する言動に呆然としつつも、今後によってはサトシのピカチュウと毎日顔合わせするような長い付き合いになりそうだと予感する。現時点でカスミ、ハルカ、ヒカリがハナコ公認(?)のサトシ花嫁候補になった夜はこうして更けていくのだった…


続く…








後書き

次回は、丁度ヒロイン3人とタケシがサトシの家に向かっていたときと同じころ、イッシュ地方ではどうしていたかの話です。


なので、サトシとの旅の経験があるドラゴンポケモンマスターを目指す野生少女と、何事にも興味を示すポケモンソムリエが登場します。



その後、カスミ、ハルカ、ヒカリがどうなったのかは皆さんのご想像にお任せします…

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