小説『主人公総受け物語〜アニポケ編〜』
作者:天の河()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

第17話『サトシVSジロウ、念願のバトル! 〜前編〜』


前書き

今作品初の本格的バトル回です。


※ 注意
  ジロウのバトルスタイルについて、多少ねつ造箇所があります。







 ニビシティにあるタケシの家に到着したサトシ達。現在は、タケシとデント合作の昼食をタケシの弟達とともにしっかり味わっている。


ジロウ「う、美味い! こんな料理食べたの初めてだよ! 自分の家でタケシ兄ちゃんのに負けず劣らずの料理が食べられるなんて!」


デント「腕によりをかけて、タケシと作ったからね。ナイスなテイストだというのは保障するよ。」


 初めてデントの料理(正確にはタケシの協力もあるが)を食べたジロウは、大絶賛する。


ジロウ「俺もバトルと同じく料理が上達できるように、頑張らなきゃな。デントさん、今度料理のレシピとか頂けないでしょうか?」


デント「それは別に構わないけど、どうしてだい?」


 ジロウが料理のレシピが欲しいと言ってきたので、その理由をそこはかとなく聞いてみるデント。


タケシ「デント、俺からも頼む。俺たちの親父とお袋、料理を含めて家事全般がからっきしダメなんだ。おまけにしょっちゅう俺たちを置いて、自由気ままに出かけると来たもんだから困ったものだよ。俺も兄としてジロウに教えてはいるが、正直なところ俺一人じゃ荷が重すぎる。ポケモンドクターの勉強もしなくちゃいけないし…。」


デント「ず、随分とコンプリケートな家庭事情なんだね。分かったよ。レシピだけとは言わずに料理そのものも教えてあげるよ。」


ジロウ「ほ、ホントですか!? ありがとうございます!」


 タケシ不在時には、ジロウが弟達の助力を借りながらも家事全般を担当していたようだ。料理の方もタケシから時々教わっていたようで、今ではある程度の料理は作れるようになっている。


ヒカリ「ねぇ、サトシ。タケシのママさんとパパさんってどんな人なの?」


サトシ「う〜ん、なんていうか…。とても変わった人だったな。」


ハルカ「わたしも電話越しで見たことあるけれど、サトシの言うとおり変わった人だったわ。根はいい人たちみたいだけど…。」


カスミ「まさに、ゴーイング・マイウェイって人だったわ(それには、あたしの姉さん達と通ずるところが…)。」


 ヒカリにタケシの両親について聞かれ、顔を知っているサトシ、ハルカ、カスミがその2人に対する率直な印象を述べる。カスミに至っては、似たような一面を持つ自らの姉達と姿を重ね合わせながらだった。


アイリス「タケシのご両親って、一体どんな人たちなんだろうね。」


ベル「なんか、むしろ会ってみたいわ。」


 タケシの両親はどちらとも、ズボラかつ自由奔放な一面を持っている。母親・ミズホは岩タイプ専門のニビジムを水タイプ専門のジムに改造したり、タケシへの相談もなしにジムのリフォームを敢行(この時は、ムサシ、コジロウ、ニャース絡みであったが)したりと好き勝手し放題である。父親・ムノーに至っても、ジロウがジムリーダーに成る際に、その手続きに必要となる書類を風で飛ばしてそのままにしたりと無頓着である。また、ニビシティではこの2人はかなり有名なラブラブ夫婦で、その立ち振る舞いにタケシは度々恥ずかしい思いをし続けている。だが、2人とも決して根が悪いということではない。自由奔放なだけである。←大事なことなので、2度言いました(笑) by. 天の河


カスミ(ジロウ君、タケシのもとで料理も勉強していたのね。)


ハルカ(わたし達も、教えてもらおうかしら?)


ヒカリ(将来、絶対必要になるわ! だって…。)


アイリス(誰よりも有利に立ちたいもの!)


ベル(ふふふ、あたしもお料理習いたいわ。)


 デントに料理を教えてもらうことを頼みこむジロウの姿を見て、自分たちも料理を覚えておかないといけないと危機感(?)を感じるヒロインズとベル。これはある人物との将来を考えてのことであるが、その人物についてはここで説明するまでもないだろう。


ジロウ「それじゃあ、サトシ兄ちゃん。バトルフィールドの準備をしてくるから、しばらくしたらジムに来て。」


サトシ「あぁ、俺もどのポケモンでバトルに臨むか決めなきゃいけないから、少し時間がかかりそうだ。」


 昼食後、ジロウは足早にバトル前の諸準備のためにニビジムへと向かう。サトシもどのポケモンで挑むかを決定・確認した後、続けてニビジムへと向かう。そして、


ジロウ「さっきも言ったけど、使用ポケモンは2体、バトル形式は1対1のシングルバトル、どちらか一方のポケモンが全て戦闘不能になったときに勝負が決まる。これでいいかい?」


サトシ「あぁ、問題ないぜ!」


ジロウ「それじゃあデントさん、審判お願いします。」


デント「うん、こっちは任せて。」


 デントがこのサトシVS ジロウのジャッジを務めるようだ。タケシは、未だ帰らぬムノーとミズホの出迎え(という名の説教(爆))のために、観戦サイドに回った。


ジロウ「それじゃあ、行くよ! 出てこい、カブトプス!」


カブトプス「プシャアアアアア!」


サトシ「まずは、ツタージャ! 君に決めた!」


ツタージャ「タジャア!」


 ここに、サトシとジロウによるポケモンバトルの火ぶたが切られた。最初のポケモンは、ジロウがカブトプス、サトシはツタージャだ。


ヒカリ「カブトプスは岩・水タイプで、ツタージャは草タイプ。相性的にツタージャの方が圧倒的に有利ね。」


タケシ「だが、ジロウのカブトプスはそれを感じさせないある戦術があるんだ。」


ヒカリ「えっ?」


タケシ「まぁ、みれば分かるさ。」


 カブトプスの愛称をも跳ね返す戦術とは一体なんなのだろうか? 一方、バトルフィールドでは早くも激しい攻防が繰り広げられる。


ジロウ「カブトプス、げんしのちから!」


カブトプス「プシャア!」


 まず、先手を取ったのはジロウのカブトプス。げんしのちからにより、フィールド一体からかなりの量の岩石が浮き上がる。浮き上がった岩石は、真っ先にツタージャめがけて飛んでいく。


サトシ「かわせ! ツタージャ!」


ツタージャ「タジャ! タジャタジャ!」


 ツタージャは身軽な体系を利用して、岩石群を軽快にかわしていく。


サトシ「ツタージャ、つるのムチ!」


ツタージャ「タジャ! タジャア!」


 ツタージャ、反撃のつるのムチ。


ジロウ「よく見てかわすんだ!」


カブトプス「プシャ! シャシャ!」


 カブトプスも自らに向かってきたつるのムチを軽快にかわす。さらに、かわしたところにまたつるのムチ、つるのムチで投げ飛ばされた岩石による攻撃もあったが、これらもしっかりとかわしていった。


カスミ「まさに序盤から手に汗握る攻防ね。」


ベル「ところで、タケシ君。さっき言ってたジロウ君の戦術って、一体何なの?」


 観客サイドでは、序盤から白熱した展望にあっと驚かされている模様だ。その際、ベルはさっきタケシがヒカリに対して言った『ジロウの戦術』について聞いてみる。


タケシ「ジロウはポケモンの能力を上げる技を使いながら相手のポケモンに大ダメージを与えるスタイルなんだ。一番最初に使ったげんしのちからの追加効果はなんだ?」


アイリス「確か、たまに使用したポケモンの全ての能力を上げることがあるだったわよね?」


タケシ「確実に能力を上げる技ではないが、あともう一つあのカブトプスには能力を上げる技があるんだ。」


 ジロウのようにポケモンの能力を上げる技や逆に相手のポケモンの能力を下げる技は使い方によってはかなり重宝する代物である。徐々にまたは一気にと能力変化の度合いは様々であるが、うまく機能するかはそのトレーナーの使い方次第と言えよう。


カスミ「もう一つの能力を上げる技がどんなものかは分からないけれど、サトシにとっては苦戦を強いられそうなのは間違いないわね。」


 固唾をのんで見守る観客サイドの面々。この直後の攻防で実際にサトシは、ジロウのこの戦術に苦しめられることになる。


サトシ「なかなかやるな、ジロウ! それならこれはどうだ! ツタージャ、メロメロ!」


ツタージャ「タジャ! タァ〜ジャ〜!」


 (最近は使われなくなったが)ツタージャの代名詞ともいえるメロメロ攻撃。これは性別の異なる相手をメロメロ状態にさせて、自分に攻撃しにくくさせる技である。まぁ、相手の性別が異なる場合のみ有効なのだが…


カブトプス「…プシャア!」


ツタージャ「タジャ!?」


サトシ「き、効いてない!?」


 ツタージャのウィンクから放たれたハートはカブトプスに命中するも、カブトプスは至って平然としている。どうやら、カブトプスはメスだったようだ。


ジロウ「残念だったね。今度はこっちから行くよ!」


 ジロウは次の指示をカブトプスに与える。


ジロウ「カブトプス、つるぎのまいからシザークロス!」


カブトプス「プシャ! プシャア! プシャシャア!」


 カブトプスは、つるぎのまいで攻撃力を格段に上げながらツタージャに接近し、強力なシザークロスで攻撃を仕掛ける。


ツタージャ「タジャア!」


 ツタージャはそのまま効果抜群のダメージを喰らう。さらに言えば、つるぎのまいで攻撃力が上がっている為にこのダメージはサトシとツタージャにとってかなり痛い。


サトシ「負けるな、ツタージャ! つるのムチ!」


ツタージャ「タジャタジャ! タジャアアアアア!」


 ツタージャはすぐに体勢を立て直した後、つるのムチでカブトプスの身体を縛って身動きを封じる。


サトシ「そのまま、リーフストーム!」


ツタージャ「タジャ! タァァァジャ〜!」


 カブトプスを縛り付けた状態で、ツタージャはリーフストームを発動。


カブトプス「…プ、プシャア!」


 リーフストームは身動きを封じられたカブトプスにそのまま命中。縛りは解かれたものの、カブトプスは効果抜群のダメージに加えて葉の嵐によって進行方向とは逆方向に吹き飛ばされる。まさに両者一歩も譲らぬ攻防、この後どんなバトル展望が見られるというのか…



続く





後書き


次回、バトル終盤まで一気に飛ばしていくつもりです。

-19-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える