小説『主人公総受け物語〜アニポケ編〜』
作者:天の河()

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第34話『ここでも争奪戦の予感』

前書き

ポケヴェール女学院に招待されて、特別講師として教授している人物とはあの人だった!


所々、争奪戦の予感を臭わせる描写が見受けられます。





 サトシ達が入った部屋では、コンテストの為の特別講義が開催されていた。そこで、教鞭を振るっていた人物とは…


学生A「アヤコ先生、こんな感じですか?」


アヤコ「そうそう、みんなその調子。ポケモンとの歩調を合わせて…」


学生B「はい!」


 かつて、出身地のシンオウ地方を中心にトップ・コーディネーターとしてその名を馳せていたアヤコであった。ちなみにアヤコは、ヒカリの母親でもある。


ヒカリ「ママ!」


アヤコ「? あら、ヒカリ?」


 ヒカリはアヤコの姿に気づくと、すぐさまアヤコのもとへと駆け寄る。アヤコは自分の娘が突然現れたことに、少々驚きを見せていた。


ヒカリ「特別講師って、ママのことだったのね。ビックリしたわ」


アヤコ「ママもビックリしたわよ。だって、ヒカリがここに来るなんて思ってもみなかったもの」


 その後のアヤコの話によれば、ヒカリがマサラタウンへ出かけて数日後、ポケヴェールからの一通の封筒が来たとのこと。その封筒にはポケヴェールの特別講義の特別講師になって欲しいという内容の依頼状が同封されていた。また、依頼状には『誠に失礼なのは承知ですが、詳しいことをご説明するためにそちらにお伺いします。』と明記されていた。そして依頼状がヒカリ宅に送付された翌日、アリアがヒカリ宅を訪ねて依頼した案件に関する簡潔な説明をしたとのこと。アヤコは少し考えてこの依頼を受諾し、今に至るというわけである。


ヒカリ「あたしが出ていった後、アリアさんが家に来ていたんだ」


アリア「えぇ、依頼状を送付するだけではあまりにも不躾なので、訪問する旨を依頼状に明記してアヤコ様に直接ご説明いたしました。あっ、もちろん、お二人が親子であることはすでに存じておりました」


サトシ「ここまで事前に準備しておくとは、アリアさんすげぇなぁ」


アヤコ「家に来た時も懇切丁寧に説明してくれたし、あの時は初対面ながら感心したわ…」


アリア「いえいえ、ポケヴェール女学院広報担当として名に恥じぬ当然のことをしたまでです」


 サトシ達は、ポケヴェールの広報および情報収集担当としてのアリアの働きぶりにただ感心させられるばかりであった。正直なところ、彼女は将来F○Iに配属されてもおかしくない分析能力の持ち主である。


アヤコ「あっ、みんな待たせてごめんね。さっきのやり取りで分かったと思うけど、こちらは先生の娘のヒカリ。みんなと同じく、トップ・コーディネーターを目指して日々奮闘中よ」


ヒカリ「えっと、皆さんはじめまして。あたし、ヒカリです。そしてあたしの周りにいるのが、今一緒に旅をしている仲間達です」


カスミ「あっ、皆さん、よろしくお願いします」


ハルカ「突然、割り込んですみません。わたし、ハルカです」


 ヒカリ、カスミ、ハルカに続き、その他の面々も特別講義の受講生達に自己紹介をする。はじめはお互いぎこちない雰囲気が流れていたが、このポケヴェール独特のフレンドリーな校風、エリーサ、アリア、エルヴィーラ、ドリス、アヤコのフォローもあって、徐々に打ち解けあっていった。


アヤコ「そうだわ。実際にヒカリやハルカさんもこの特別講義に参加してみてはどうかしら?」


ヒカリ「えっ!?」


ハルカ「わたし達、がですか?」


アヤコ「えぇ。2人とも、トップ・コーディネーターを目指すのなら、ポケヴェールのような充実した施設で実力を身に付けるのも必要よ。特別講師として少しあなた達の手助けになればと思ったんだけど、どうかしら?」


ハルカ「是非、受けさせてください!」


ヒカリ「このポケヴェールの特別講義が受けられるなんて、滅多にないもの。断る理由なんてないわ」


 ハルカ、ヒカリともに、アヤコから提案された特別講義への参加にかなり意欲を見せている。


カスミ「アヤコさん。この特別講義、あたしも参加してもよろしいでしょうか? 今後の水中ショーのさらなるパフォーマンス向上につなげたいので」


アヤコ「えぇ、もちろん参加しても大丈夫よ。あっ、ただ学院から許可が下りるかどうか心配だけど…」


アリア「それなら、心配ありませんわ。このフレンドリーな校風ですし、一般公開講義への変更手続きを済ませれば大丈夫です。もちろん、講義終了後でもその手続きは出来ます。よろしければ、私が代行しましょうか?」


アヤコ「それならよかったわ。それと手続きの代行頼めるかしら?」


アリア「はい、承りました」


 実に突然すぎる展開だが、カスミ、ハルカ、ヒカリが特別講義に参加することが決まった。その後、ドリスがサポート役として残ることも決まり、特別講義がさらに充実したものへと変化した。


アヤコ「サトシ君にデント君、申し訳ないけれど少しの間ヒカリ達を借りるわ。ごめんね、ヒカリ達も学院内を回りたかったでしょうに」


サトシ「いえいえ、構いませんよ」


デント「このような場所でコンテストの実力を高めることはヒカリ達にとって貴重な経験ですし」


ヒカリ「デントの言うとおり、ポケヴェールの特別講義を受講するも貴重な経験よ。学院内を回るのは後でもできるからダイジョーブ」


 こうして、ひょんなことからヒカリ母・アヤコとの再会を果たした後、カスミ、ハルカ、ヒカリ、ドリスを今いる部屋に残してサトシ達は学院内を回ることになった。のだが…


サトシ「…」


エリーサ「…」


デント「…なんだか、この状況とても歩きづらいですね。あまり感じたくないテイストです」


 学園内を歩き回るサトシ達は格好の注目の的になっていた。学院内では知らない人はいなく、コーディネーターとして国際的にも抜群の知名度を誇るエリーサ、エルヴィーラが同行していることに加え、この学院でファンクラブが出来るほどの名が知れているサトシがいるのだ。無理もない話である。


アイリス(うぅ、ポケヴェールでサトシのファンクラブが出来ていたというのは本当のようね。なんだか、モヤモヤする…)


 サトシLOVEなアイリスにとって、当然この状況はあまり居心地のいいものではなかった。アイリスの心の奥底から、何とも言えないもどかしさがこみあげてくる。


デント(…このまま、何もなければいいんだけど。そうもいかなそうだね)


 今までの事もあり、デントはサトシを巡る争奪戦の今後の行く末を案じる。そのうち、彼には胃薬常備ということも必要になるかもしれない。←他人事みたいにいわないでくれよ(泣) by.デント


アリア「(これは予想以上にサトシ様の影響が大きいですね…)エリーサ様、ちょっと場所を変えましょう」


エリーサ「えぇ、そうね」


 このままでは学院内ツアーどころではないので、サトシ達はとりあえず人気のない場所へ移動することになった。


サトシ「あそこまで注目されると、なんだか変な気分だな…」


ピカチュウ「ピカァ…」


エリーサ「ごめんなさい、あなた達を見世物みたいにしてしまって…」


アリア「もう少し配慮すべきでした。まさか、エリーサ様やエルヴィーラ様の学院内での知名度はともかく、サトシ様のご人気があそこまで高くなっていたとは思いもしませんでした」


 さすがのアリアも、サトシのポケヴェール女学院内での人気っぷりには驚きを隠せなかった。


デント「そういえばここに来る前、サトシのファンクラブがあるって話を聞きましたけれど…」


アリア「初めはここの学生の数名が、サトシ様のこれまでのポケモンリーグの戦いぶりに興味を持って立ち上げたのが始まりです。それが日を追うごとに規模が大きくなり、今では学院公認になったほどです」


アイリス「そ、そんなに!?」


サトシ「俺、ポケモンマスターを目指すのに精いっぱいだったからそんな事になっていたとはちっとも気づかなかった…」


ピカチュウ「ピカァ…」


キバゴ「キバァ…」


 アリアからポケヴェールにおけるサトシファンクラブの成り立ちを聞いたサトシ、デント、アイリスは、驚きを隠せなかった。尚、サトシの相棒のピカチュウ、アイリスの相棒・キバゴは周りの視線からプレッシャーを感じていたのか、少し疲れ切った表情をしている。


アイリス(そ、そういえば、周りの人達の視線がサトシに集まっていたような…。なんだか、複雑だわ)


 アイリスはさらに複雑な心境に苛まれる。自分と一緒に旅をしている4人(誰なのかは説明するまでもないだろう)に加え、不特定多数の恋敵が増えたのだ。内心焦らずにはいられなかった。


エルヴィーラ(サトシ君の人気、ますます高まってきている…。あの褐色肌の子もサトシ君のこと気にしているみたいだし、私が付け入る隙はあるのかな…)


 前回申し上げたように、エルヴィーラもサトシファンクラブに入っている一人である。そのきっかけが、サトシに対する恋心からくるものなのか、単にサトシのバトルスタイルの興味があるだけなのかは定かではないが、どちらにせよ今後もサトシを巡る争奪戦は激しさを増してきそうだ。


アリア「ところで、サトシ様は『ワールド・チャンピオン・リーグ』にお出になられますか?」


サトシ「えぇ、その為にこうして仲間たちと一緒に旅をしています」


アリア「それなら、この学院の北東にあるバトルアリーナへ案内いたしましょうか? 学院内を思うようにまわれなかったというお詫びも兼ねてますが…」


 サトシは、アリアからこの学院の施設の一つであるバトルアリーナへ向かうことを提案される。


サトシ「お詫びなんてとんでもない! 是非、行かせてください!」


 三度の飯よりもポケモンバトル好きなサトシがこの提案を断る理由なんてなかった。サトシは目を輝かせて、二つ返事でアリアの提案を承諾した。


アイリス「うわぁ、こんな時でもポケモンバトルって…。子どもなんだから(汗)」


デント「ハハァ、こういう気持ちの切り替えの早さがサトシの良いところなんだけどね」


エルヴィーラ「それほど、ポケモンバトルが好きなのね…」


 サトシのこの気持ちの変わり様に、呆れ顔のアイリス。エルヴィーラに至っては、ますますサトシに対する興味が湧いてきたようだ。


エリーサ「今の時間帯なら、だれかがバトル待ちをしているだろうけれど、もしいなかったら私やエルヴィーラ、アリアが相手をしてあげる」


サトシ「ホントですか! 是非、お願いします!」


 急きょ、学院内ツアーから学院にあるバトルアリーナでのポケモンバトルに予定変更となったサトシ達。さて、そこでサトシはどんなポケモンバトルを繰り広げることになるのだろうか…


続いて後書きショー





天の河「さて、作者の気分と気まぐれで開催中のこの後書きショー。今回のゲストは、初登場のアヤコさんです。」


アヤコ「どうも、ヒカリの母のアヤコです。(というより、このコーナーって作者の気分次第だったのね…)」


天の河「さっそくですが、今回出てみての感想は?」


アヤコ「ただ単に、ヒカリ達と偶然出会って驚いたというのが第一ね。」


天の河「いくらカントーにいるとはいえ、こういうことがあるとは限りませんからね。世の中、思うほど偶然は起きるものですが…。」


アヤコ「でもやっぱり、ヒカリはみんなと旅をしている方がより生き生きしているわ。『ワールド・チャンピオン・フェスティバル』に向けてお友達と頑張っているのが、見て取れるわ。それに…。」


天の河「それに?」


アヤコ「ヒカリの未来のお婿さんになりうるサトシ君の元気な姿もお目にかかれたしね。いろんな意味でこの仕事引き受けて正解だったわ。」


天の河「さいですか…。それじゃあそろそろ時間なので、最後の挨拶お願いします。」


アヤコ「今回ここまでお読みいただきありがとうございます。次回も楽しく進行していくようなのでよろしくお願いします。」

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