小説『主人公総受け物語〜アニポケ編〜』
作者:天の河()

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第37話『イッツ・アイス・バトル! 凍える中での闘志!』

前書き


サトシ、ポケヴェール女学院に来て初めてのバトル!



アイリスとタッグを組み、学院一のバトルコンビと評されるハンナとカトリーナのコンビに挑む!






 ポケヴェール女学院にて初めてバトルをすることとなったサトシ。現在はタッグのパートナーであるアイリスと事前の打ち合わせをするために、バトルアリーナ内の控室で待機している。


サトシ「本当はカスミの付き添いで来たんだけど、まさかバトルが出来るなんて思ってもみなかったなぁ。最高だぜ!」


アイリス「はぁ…。サトシってば、バトルになるとすぐこうなるんだから」


サトシ「そういうアイリスも、そろそろ本格的なバトルしたかったんじゃなかったんじゃないのか?」


アイリス「まぁ、そうなんだけどね。実戦形式のトレーニングは何度かやっているけれど、こうして本格的にバトルをするのは本当に久しぶりよ。それもタッグバトルなんて、自分から言っておきながら緊張してきたわ」


サトシ「なぁに、俺たちは一緒に旅をしてきた仲だぜ。それに俺も緊張しているから、お互い様だぜ。もてる力を存分に引き出していけばいいんだ」


アイリス「それもそうね。なんだか、今からが楽しみになって来たわ」


 サトシとアイリス、共にバトルに向けての気合いは十分である。さらに相手が描く上ということもあって、その度合いはより一層高まっている。


デント「それよりも、このダウンジャケット。アリアさんから「バトル中は、絶対に着用してください。」って言われたんだけど、なんでだろうね?」


アイリス「しかもかなり上等なものを。こんな高そうなもの着たことないから、なんだか躊躇するわ…」


 控室に向かう前、サトシ達はアリアから人数分のダウンジャケットを渡された。サトシ達にはその意図が分からず、頭に「?」マークを浮かべるばかりであった。ただ、このダウンジャケットの謎は、バトル開始直後すぐに判明することとなる。サトシ達が順調にバトル前の打ち合わせをしていた頃、別室ではまたサトシとアイリスの対戦相手であるハンナとカトリーナのタッグペアの打ち合わせが行われていた。


ハンナ「あら、珍しいわね。ポケモンバトルが好きな性格は学園一を誇るあなたがいつも以上に緊張するなんて」


カトリーナ「えぇ。普段は人並みですのに、しばらくポケモンバトルから離れていたせいか、心がはち切れそうなくらい緊張します。はぁ〜、対戦相手のお二人に申し訳ないです…」


ハンナ「大丈夫よ。緊張しているのは私も同じよ。私も最大限サポートするから、全力で彼らにぶつかっていきましょう」


カトリーナ「そうですね。なんだか気持ちが楽になりました」


 ハンナのフォローによって、カトリーナの緊張はだいぶ解れたようだ。この二人のやり取りからみてとれるように、世界に名をとどろかせる学院一の最強タッグというのは名ばかりではないということが分かる。


アリア「カトリーナ様、緊張しておられた理由はそれだけではございませんのでは?」


カトリーナ「えっ? アリア、それはどういうことでしょうか?」


アリア「今回、カトリーナ様以前から仰っていたではありませんか。お気に入りのサトシ様とバトルがしたいと…」


カトリーナ「な、な、何をおっしゃっているのですか! わたくし、そ、そんな//////」


 アリアから発せられた一言(特に「サトシ様」の部分)に、カトリーナは一気に顔を真っ赤にさせる。


エリーサ「あぁ、確か生徒会室でもそんなこと言っていたわね」


ハンナ「サトシ君の事を語り出すと、2,3分じゃ終わらないくらいですものね」


カトリーナ「はぅ〜、確かにわたくしは以前からサトシ様のことが気になってはいましたが、それはそういった意味で言ったわけじゃあ…」


アリア「カトリーナ様、そこまであからさまに話されますとまるでサトシ様に好意を寄せていると言っているようなものですよ。」


カトリーナ「!? はぅ〜//////」


 自ら墓穴を掘った格好のカトリーナは、先程以上に頬を真っ赤に染める。それはまるで、モモンの実やマトマの実以上の染まり様である。今までの話から推測するに、カトリーナはサトシに対して恋愛としての好意を抱いていることが濃厚だ。


アリア「そういえばエルヴィーラ様も、サトシ様のこととなると熱く語りますよね…」


エルヴィーラ「!?」


 カトリーナを弄ったことで悪ノリ(笑)したアリアは、さらに弄りの対象をエルヴィーラに変更する。エルヴィーラは「えっ!? 今度は私!?」と言いたげな感じでアリアを見る。


アリア「一度お話でもいいから会ってみたいと仰っていましたね。本日サトシ様に会うことが実現して嬉しい気持ちが顔に出ていますよ」


エルヴィーラ「わ、わたし、そ、そんなんじゃ//////」


 普段おとなしく寡黙な性格のエルヴィーラであるが、カトリーナ同様サトシのこととなるとそのことが嘘のように、サトシについて熱く語るとのこと。エルヴィーラはアリアからそのことを指摘され、思わず顔を赤くさせる。


エリーサ「やめなさい、アリア。それ以上は2人が可哀そうよ」


ハンナ「特にカトリーナはバトル前なのよ。私情を挟んでバトルに支障をきたすようなことがあれば、それこそ対戦相手のサトシ君達に申し訳ないわ」


アリア「あっ、私の悪ノリの癖が出てしまいました。お二人とも申し訳ございません」


エルヴィーラ「…大丈夫、アリアのはいつものことだから」


カトリーナ「それにバトルはバトル。私情を挟まれてぶれるほど、わたくしのバトルに対するハートはそう簡単には揺らぎませんわ。ハンナさんもご存じでしょう?」


ハンナ「そうだったわね。タッグ・パートナーの私が忘れていたなんて、一生の不覚ね」


 こちらもひと騒動はあったものの、順調にバトル前の打ち合わせを終える。そして、控室を後にしてバトル会場へと向かう。


アリア「只今より、我が学院が誇るタッグペアのハンナ様とカトリーナ様、本日のスペシャルゲストのサトシ様とアイリス様によるタッグバトルを行います。使用ポケモンは1人2体、ポケモンの交代は両ペアとも自由とします」


 アリアがマイク越しに、バトル前のルール説明等流れ良く進行役を務める。聞くところによれば、学院でのイベントの進行役はアリアがほとんどを務めているとのこと。事務的な雑務から司会の進行役までこなす彼女の働きぶりには目を見張るものがある。


アリア「それでは、バトルスタート!」


 今ここに、バトルの火ぶたが切られる。


サトシ「いけ! ミジュマル、君に決めた!」


アイリス「ケーシィ、頼んだわよ!」


ポォォォォォン!


ミジュマル「ミィジュ、ミジュマ!」


ケーシィ「ケェシィ!」


 まずサトシとアイリスの手中からモンスターボールが放たれ、中からミジュマルとケーシィが出てきた。


サトシ「あのケーシィ、ハナダの岬でゲットしたケーシィか」


アイリス「えぇ。ゲットしたばかりだけど、技や動きぶりから見ていきなり実戦で出しても申し分ないと思って選んだわ。サトシだって、アタシがこのコをゲットするときの事見ていたでしょ」


サトシ「確かに、このケーシィは手ごわい相手だったな。それじゃあ頼むぜ、ケーシィ」


ミジュマル「ミジュミィジュ!」


ケーシィ「シィ!」


 アイリスはハナダでのトレーニング中に、ケーシィをゲットしていたようである。まだゲットしたばかりではあるものの、このケーシィをアイリスが自信を持って最初の一体目に選ぶ。


ハンナ「さぁ、カトリーナ。私達の織り成す氷上のポケモンバトルを披露して魅せましょう!」


カトリーナ「はい、全力で持てる力を相手にぶつける! それがバトル相手に対する私達なりの最大限のもてなしですわ」


 ハンナとカトリーナもモンスターボールを手中に納め、ポケモンを出す構えをとる。


ハンナ「ユキノオー、ツェンピア!」


カトリーナ「ユキカブリ、出番です!」


ユキノオー「ユキィィィィィ!」


ユキカブリ「ユッキィ!」


 ハンナはユキノオー、カトリーナはユキカブリをバトルフィールドに送り出す。ユキカブリそして進化系のユキノオーはともに「ゆきふらし」の特性を持っている。その為、バトルアリーナ一帯は酷寒の世界と化す。さらに今回の場合、「ゆきふらし」の特性を持ったポケモンが2体いるときたものだがら、寒さの度合いがより強烈なものとなっている。


デント「うぅ、この非常にウィンティーなテイスト。ダウンコートはこのためだったか…」


 デントは自らの身体に急に伝わってきた寒気に震えながら、バトル前にダウンコートを渡された意味を理解する。デントの様子からも分かるように、観客席でも「ゆきふらし」による寒さが感じられ、それに動じず黙々と観戦する者、デントのように身体を震わせながらも観戦する者がそれぞれ見られた。


エリーサ「ハンナにカトリーナ。いきなりこのゆきふらしタクティクスでサトシ君達に向かってくるとは…。本当に全力でこのバトルに挑んでいるわ」


デント「それはどういう意味ですか?」


エリーサ「あの二人は、特性の「ゆきふらし」、天候を変える技の「あられ」を駆使しながら相手を苦しめるバトルスタイルなの。その証拠にハンナとカトリーナの持っているポケモンはこの2つを持っているのが多数を占めているわ。まぁ、詳しいことはこのバトルを観ていれば分かるわ」


 エリーサによると、天候を「あられ」にして相手を翻弄させるバトルスタイルは、ハンナとカトリーナのタッグペアでは十八番だそうだ。


エルヴィーラ「それにあのタクティクスは、そう簡単には破れない。2人が一番自信を持つタクティクスなの…」


 エリーサの説明に付け加えるように、ハンナとカトリーナのバトルスタイルについて口にするエルヴィーラ。普段はおとなしい性格の彼女ではあるが、何故か今の一言一句には強みのようなものが感じられる。それ程、ハンナとカトリーナのタクティクスはすごいものであるのだろう。


ハンナ「サトシ君、アイリスさん。これが私達の主戦場、雪と氷が共演するバトルステージよ」


カトリーナ「これからあなた方お二人を白銀の世界へとご招待いたします」


 最大限の敬意を表すかのように言葉を発するハンナとカトリーナ。一方、サトシとアイリスはというと、


サトシ「す、すげぇ、寒さだぜ…」


アイリス「うぅ、ダウンコート着ていても寒さが伝わって来るわ」


 寒さに慣れていないせいか、身体を震わせるばかりであった。初っ端から相手に有利な状況にされ、サトシとアイリスはどう立ち向かっていくのか!?


続く





後書き

次回、パワフルかつトリッキーなバトルが繰り広げられる!?

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