小説『主人公総受け物語〜アニポケ編〜』
作者:天の河()

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第44話『朝の学院風景』

前書き

今回は、朝のポケヴェール女学院のほのぼのとした学院風景をお見せいたします。





ヒカリ「どう? パチリス、気持ち良い?」


パチリス「チッパァ〜!」


ハルカ「ふふふ、パチリス気持ちよさそうね。エネコもどう?」


エネコ「エネェ〜!」


 サトシ達がポケヴェール女学院に来訪してから、一夜明けた朝のこと。サトシ達は入念にポケモン達のケアをしていた。


デント「あなたとポケモンとの相性はグッドマッチングなテイストです。ただ、ポケモン自身が今後の進路についての悩みの時期に差し掛かっているので、積極的にコミュニケーションをとりながらポケモンにとってベストな選択をすることが大切です」


学生A「ここまで丁寧に、ありがとう。さすがはAランクソムリエのデント君、あなたに診断をお願いして正解だったわ」


デント「いえ、ポケモンソムリエとして当然のことをしたまでです」


学生B「あ、あの、私もお願いしてよろしいでしょうか?」


学生C[わ、私も]


デント「もちろん、順番にテイスティングしていきますよ」


 デントは学生からの依頼で、ポケモンとの相性診断を行っていた。彼がAランクソムリエということもあるのだが、学生の中にデントファンが紛れ込んでいるというのも関係しているようだ。道理でサトシだけでなくデントも難なく学生寮に入れたわけである。


サトシ「あれ? エリーサさん、ハンナさん、アリアさんはどちらに?」


ドリス「エリーサ様達なら、早朝5時にここを出られたわ」


カスミ「早朝5時? そんなに朝早くから?」


ドリス「エリーサ様、ハンナ様、アリアは、生徒会役員だからね。ウチの学院の生徒会は毎日早朝会議があるから、それに遅刻しないように起きなきゃいけないのよ」


エルヴィーラ「エリーサ様達三人は、ただでさえ学力レベルの高いこの学院の中で常にトップクラスを維持するくらいの頭脳をお持ちなの。生徒会の活動、トレーナーやコーディネーターとしての活動に掛け持ちで取り組んでいるのに、学業には支障をきたさない。並大抵の人間では出来ないこと…」


ベル「いろいろと大変なのね」


アイリス「アタシ達とはまるで比べ物にならないくらい、凄いわ…」


ドリス「特にエリーサ様、ハンナ様はその類稀な才能から、お二方揃って学院じゅうの憧れの的よ。言葉だけでは言い表せないくらいの凄さだわ」


エルヴィーラ「私とドリスは生徒会に所属していない身でも、エリーサ様の右腕左腕として支えられる。そのことだけでも非常に光栄なこと…」


 ドリス、エルヴィーラから、エリーサ、ハンナ、アリアについて語られ、それを聞いたサトシ達は改めて彼女たちの凄さを感じ取る。特にエリーサ、ハンナは学生諸君の間では憧れの的として評されている。ドリスとエルヴィーラはエリーサに対してかなりの憧れを抱いており、エリーサ自身もこの二人に対して絶大な信頼を置いている。


ドリス「さてと、私達もそろそろ朝食を済ませて登校しなくちゃ」


 積もる話をしているうちに丁度いい時間になった。サトシ達は朝食を済ませた後、すぐに身支度を整えて、学生寮を後にした。尚、朝食は泊めてもらったお礼も兼ねてデントが全員分の食事をあらかじめ作っておいたのを全員で食したというのは別の話。


ドリス「デント君って、本当にすごいわね。私もポケモンソムリエは料理が上手って聞いたことがあるし、イッシュを旅したときに彼らの作る料理を頂いたことはあるけれど、あれは今まで食べたことはなかったわ」


ヒカリ「ドリスさん、デントの他にもあたし達の旅仲間には料理の上手な人がいるんですよ。タケシっていうんですけれど、今事情があってタマムシ大学の方にいるんです」


ドリス「へぇ〜、一度そのタケシって人のお料理も食してみたいわね。私、こう見えても大の美食家なのよ」


ハルカ「そうだったのですか。なんだかわたしと気が合いそうです」


ドリス「なんだか知らないけれど、私もそのような気がするわ」


 ドリスが美食家(ただ食い意地が人一倍なだけかもしれないが…)という事実が判明すると、それにいち早く反応したのがハルカ。同じようにドリスも、同じ人格的な何かを感じたのかハルカに対して親近感が湧いてきたようだ。


カトリーナ(さ、サトシ様と一緒にご、御登校出来るなんて! な、なんだか新鮮な感じがし、します///)


エルヴィーラ(敷地内の移動だけど、こうしてサトシ君と一緒に居られる時間が優越感に浸るようでなんだか良い感じ…)


 こっちはこっちで、サトシファンクラブ所属の二名はサトシと一緒に登校しているというこの現状に良い意味での新鮮味を感じていた。サトシと一緒に居る時間はヒロインズやベルに比べると遙かに短いが、こうした僅かなひと時でもこの二人の心は晴れやかになっていくのだった。それぞれの思惑が交錯し合う中、一行はポケヴェール本館へと到着する。


アリア「皆様、おはようございます。お待ちしておりました」


サトシ「アリアさん、おはようございます」


アリア「昨日と同じ場所ですが、早速生徒会室へと案内いたします。幸い本日私が受ける講義は午後からですので、しばらくは皆様と行動を共にできますわ」


 本館内へと入ったサトシ達は、アリアに生徒会室へと案内される。


アリア「一応、昨日の晩に向こうへ手紙を返信しておきましたが、相手方の出方次第でこちらも対応を考えましょう」


ドリス「まぁ、そう簡単に引き下がるような相手じゃないけど、やるしかないわね」


ヒカリ「それにしても、今日のいつ頃来るのかくらい書いておけばいいのに…」


ドリス「仕方ないわ。アイツは神出鬼没で、毎回ここに来る時もアポなしなのよ。本人はそれがカッコいいとか思っているらしいのよ」


エルヴィーラ「こっちとしては、良い迷惑…」


アイリス「なんだか、だんだんその男に対してイライラしてきたわ」


 生徒会室にて、昨日の手紙の差出人について不満を漏らす女性陣。ドリス、エルヴィーラの話から察して、その差出人は相当のナルシストのようだ。


プルルルルル! ガチャ!


アリア「はい、こちら生徒会室です。…はい、今すぐそちらに向かいます」


 突然内線電話がつながり、それに応対するアリア。どうやら何らかの動きがあったようだ。


アリア「正門前に奴が現れたそうです。今すぐ向かいましょう」


サトシ「あぁ、はい」


 アリアに促されるがまま、サトシ達は正門前へと向かう。その道中、先程までののどかな学院風景から一変して学生達がざわつき始めている。正門前で待ち構えている人物とは一体。そして、その人物がサトシ達に与える影響は果たして…


続く





後書き

ほのぼのとした学院風景をお届けしたつもりですが、終盤かなり緊迫した状況になりましたね(笑)


ちなみに、昨晩ベルとともにサトシ達と合流したリュウカは学生寮にて待機してもらっています。

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