第50話『イッシュのポケモン、ゲットだぜ!』
前書き
サトシ達のパルパーク奮闘記がここにはある…
この回で、タケシとマサトがタマムシ大学でどのように過ごしていたかについても触れています。ゲームではパルパーク内の地形によって出現するポケモンが異なりますが、今作ではかなり適当です(笑)
セキチクシティ北にある『パルパーク』にて、男性陣と女性陣に分かれて行動することになったサトシ達。サトシをはじめとする男性陣は草原エリアを回っていた。
サトシ「なぁ、タケシにマサト」
タケシ「ん? 一体なんだ、サトシ」
マサト「どうしたの?」
サトシ「俺達がポケヴェールで過ごしていた頃、タケシとマサトがタマムシ大学でどんなふうに過ごしていたのかなって気になって…」
草原エリアを歩き回る最中、サトシがタマムシ大学でのタケシとマサトの動静について尋ねる。
タケシ「あぁ。『ポケモン医学』で権威と評されている教授のもとで、半ば集中講義に近い形で研究を手伝っていたんだ」
デント「大学教授の生の研究に触れていたというわけだね」
タケシ「まぁ、そんなところだ」
マサト「でね、タケシのあまりの熱心さにその教授の人がタケシをタマムシ大学の客員研究員に推したんだよ」
サトシ「すごいじゃないか。タマムシ大学といえばカントー随一の有名大学じゃん。オーキド博士もよくそこで講演会を開いているのを聞いたことがあるぜ」
タケシ「その教授が大学側に話をつけて俺を客員研究員にしたいと言っていたな。とはいっても、まだ決定事項ではないからなんともいえないんだけどな」
デント「タケシなら大丈夫だよ。ポケモンのケアに関しては、僕の知らないことまでも熟知しているしね」
タケシがタマムシ大学側から『ポケモン医学』の客員研究員に推薦されている事実を知り、祝福と称賛の言葉をタケシに贈るサトシとデント。タケシも、『ポケモンドクター』になるに向けて、充実した数日間を過ごしたようだ。
サトシ「もし客員研究員になったら、俺達との旅はできなくなるのかぁ…」
ピカチュウ「ピカァ…」
タケシ「いや、そうでもないぞ。タマムシ大学には何人もの客員研究員がいるんだが、中にはフィールドワーク主体の研究をしている人もいるんだ。俺たちの身近な人で例えれば、オダマキ博士が近いかな」
サトシ「それじゃあ、今まで通りタケシとも一緒に旅が出来るんだな」
タケシ「そういうことだ」
デント「そういうことなら、これからもよろしく。タケシ」
タケシ「あぁ、こちらこそ」
マサト「僕のことも忘れないでよ」
サトシ「もちろん、マサトも大事な仲間だぜ」
ピカチュウ「ピィカチュウ!」
サトシ達の友情がより深まったところで、彼らの目の前に2体のポケモンが出現する。
アーケン「アァァァァァケェン!」
モンメン「メェェェェェン!」
マサト「あっ、アーケンとモンメンだ!」
出現した2体のポケモンは、1体が岩・飛行タイプのアーケン、もう1体が草タイプのモンメン。どちらも進化するポケモンである。
タケシ「アーケンの方は俺にゲットさせてくれないか?」
サトシ「そっか、タケシはイッシュのポケモン持っていなかったもんな。モンメンの方は誰がゲットするんだ?」
デント「モンメンはサトシがゲットしなよ。実はサトシとアイリスとのイッシュの旅を終えた後、モンメンをゲットしたんだ。今は手元にいないけれど、育てればなかなかのフレーバーを引き出してくれるよ。きっと、サトシのバトルにもグッド・テイストを出してくれると思うよ」
サトシ「それなら、モンメンは俺がゲットするぜ」
話し合いの結果、アーケンをタケシが、モンメンをサトシがゲットに狙うことになった。形的にタッグバトルのような状態になっていたので、サトシとタケシでタッグを組んでゲットに挑むことも同時に決まった。
サトシ「ピカチュウ、君に決めた!」
ピカチュウ「ピカァ!」
タケシ「出てこい、グレッグル!」
シュッ! ポォォォォォン!
グレッグル「ンー、ンー」
ゲートにてポケモンゲット用に指定したポケモンはサトシがピカチュウ、タケシがグレッグルである。
モンメン「メェ、メェェェェェン!」
まず、先手を取ったのはアーケンとモンメンペア。モンメンの‘はっぱカッター’がピカチュウ、グレッグルに襲い掛かる。
サトシ「ピカチュウ、アイアンテールで凌げ!」
タケシ「グレッグル、どくづき!」
ピカチュウ「ピカァ! ピィカピカピカピカ、ピカァ!」
グレッグル「……ケッ!」
ピカチュウはアイアンテールで、グレッグルは黙々とどくづきで、飛んで来る‘はっぱカッター’を次々と打ち落とす。
アーケン「アァァァァァ!」
マサト「アーケンのげんしのちからだ!」
続いて、アーケンが‘げんしのちから’を使用。アーケンの周りから太古の力により無数の岩石が浮き上がる。そして、ピカチュウとグレッグルに向かって飛んでいく。
ピカチュウ「ピカ! ピカァ!」
グレッグル「……」
自らに飛んで来る岩石群に悪戦苦闘しつつも、ステップを踏んで回避していくピカチュウとグレッグル。
サトシ「よぉし、そのままアイアンテール!」
タケシ「グレッグル、お前はどくづきだ!」
ピカチュウ「ピカ! ピィィィィィカァ!」
グレッグル「ン!」
ある程度距離を近づけたところで、ピカチュウは‘アイアンテール’、グレッグルは‘どくづき’で攻撃を仕掛ける。ところが、
モンメン「メェェェェェン!」
ピカチュウ「ピカァ!?」
グレッグル「!」
ポムッ! ピヨォォォォォン!
ピカチュウ「ピカァ!」
グレッグル「…グレェ!」
モンメンが‘コットンガード’で2体の攻撃を凌ぎ、ピカチュウとグレッグルはモンメンの作り出した綿にぶつかった反動で進行方向とは逆の方向に弾き返される。
サトシ「くっ。あのモンメン、コットンガードをおぼえていたか…」
アーケン「アァァァケェン!」
モンメン「メェン!」
タケシ「さらに、かげぶんしんまで使うとは…。これは厄介な相手と出くわしたなぁ…」
アーケンとモンメンが同時に‘かげぶんしん’を使用したため、さらにダメージを与えることが困難になる。
タケシ(この戦況なら、攻撃が広範囲にわたって当たるグレッグルのあの技が有効だな。だが、これを使えばピカチュウにもダメージを与えることになる…)
タケシのグレッグルには、この状況を打開できる攻撃技があるようだが、広範囲にダメージを与えることができる反面、味方にもダメージを与えるデメリットを兼ね備えているようである。
タケシ「なぁ、サトシ。実はこんな状況を打開するためにグレッグルにある技を覚えさせておいた」
サトシ「それ、本当か!?」
タケシ「あぁ、ただこの技を使うとピカチュウにもダメージを与えることになるんだ」
サトシ「えっ、ピカチュウにも…」
タケシから技のデメリットを聞かされ、少し考えるサトシ。だが、その思考時間はすぐに終了し、
サトシ「…俺とピカチュウなら大丈夫だぜ。今モンメンとアーケンをゲットするには、その技が必要なんだろ? ほら、ピカチュウも「大丈夫だ」って顔しているぜ」
ピカチュウ「ピカァ!」
ピカチュウの心に迷いはなかった。正に覚悟を決めたという顔をしている。同じ仲間であるタケシに対する信頼感の表れであろう。
タケシ「サトシ、ピカチュウ…。本当にスマン。グレッグル、ヘドロウェーブ!」
グレッグル「ンー! ンンンンンー!」
タケシはサトシとピカチュウに詫びを入れつつ、グレッグルにとっておきの技‘ヘドロウェーブ’を指示。グレッグルから放たれた毒の波が、広範囲にわたって広がっていく。
アーケン「アァァァァァ!」
モンメン「メェェェェェン!」
‘ヘドロウェーブ’は見事、アーケンとモンメンに命中。草タイプのモンメンには効果抜群のダメージ、さらに運の良い事にアーケンには急所にあたるダメージを与えることが出来た。
デント「今だよ! 2人とも!」
サトシ・タケシ「「あぁ」」
サトシとタケシはここぞと言わんばかりに、パルパーク専用のモンスターボールであるパークボールをそれぞれ1つずつ取り出す。
サトシ・タケシ「「いけぇ! パークボール!」」
サトシはモンメン、タケシはアーケンに向けて思いっきりパークボールを投げ込む。
パァン!
ボールが当たった2体はそのままボールの中へ吸い寄せられる。ボールはしばらく揺れた後、ピタリと動かなくなる。ゲット成功の合図だ。
サトシ・タケシ「「よし! モンメン(アーケン)、ゲットだぜ!」」
ピカチュウ「ピ、ピッピカチュウ…」
ピカチュウは先程の‘ヘドロウェーブ’で毒状態になったようである。ただ、そんな中でもサトシ達とポケモンゲットに成功した喜びを噛みしめるために、ガッツポーズをとる。
タケシ「ピカチュウにこのモモンの実を食べさせてやってくれ」
サトシ「おぉ、サンキュー。タケシ」
タケシから手渡されたモモンの実を、サトシはそのままピカチュウに食べさせる。処置が早かったおかげか、ピカチュウの毒はきれいさっぱり消えたようだ。
タケシ「ピカチュウには本当にすまないことをした」
サトシ「いいって、それでアーケンとモンメンをゲットできたんだから。ピカチュウもそこまで気にしていないみたいだぜ」
ピカチュウ「ピカピィ、ピィカ!」
タケシ「そっか、それならよかった。でも、タッグバトルでこの‘ヘドロウェーブ’は多用できないな」
デント「お互いに余程の信頼感がなければ、使いづらい技だよね」
サトシ「まぁ、タケシのおかげで幸先のいいスタートが切れたんだ。これからどんどんポケモンをゲットしていこうぜ」
タケシ「あぁ」
デント「僕も負けていられないね」
マサト「みんながんばって!」
アーケン、モンメンゲットで幸先のいいスタートが切れたサトシ達。ここからサトシ達は、何体ものポケモンをゲットするのだろうか…
続く
後書き
次回は、女性陣の動向についてです。