小説『主人公総受け物語〜アニポケ編〜』
作者:天の河()

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第53話『忍者屋敷で、大パニックかも!?』

前書き

セキチクジムリーダー・アンズに会うためにセキチクジムを訪れたサトシ達ですが、彼女に会う前に多少苦労します(汗)


セキチクジムがどんなポケモンジムだったのか、サブタイ名と無印編の記憶から自ずと分かることですが…





ヒカリ「…ここが、セキチクジムね」


デント「ん〜、正に忍者屋敷そのものだね」


タケシ「セキチクジムは代々、忍者の家系の血筋だからな」


カスミ「前に来た時よりも綺麗になっているわね」


サトシ「それに少しばかり大きくなってる…」


 パルパークからしばらく歩いて、セキチクジムに到着したサトシ達。建物そのものは、正しく日本の戦国時代の忍者屋敷を彷彿とさせるものであった。サトシがここでキョウとのジムバトルを行って以降何度か改修を施したらしく、より大きな規模になっている。


アイリス「それじゃあ、さっそく入りましょう」


ベル「うんうん、私早くジムリーダーに会ってふたご島に行きたい!」


デント「ちょっと、そんなに焦って大丈夫かい? ベルの気持ちは分かるけれど、ここは忍者屋敷。確か、所々にいろんなからくりが仕掛けてあって、進む者の行く手を阻むという場所だよ」


アイリス「デントは心配性なんだから。旅で幾多もの困難を乗り越えていったアタシ達には何の問題もないわよ」


カスミ「デントの言う通りよ。現にあたしとサトシとタケシが来たときだって、結構大変だったんだから」


タケシ「そういえば、そんな感じだったな」


ベル「大丈夫よ。最後には必ずたどり着くようになっているはずだから」


ヒカリ「はずって、ベル(汗)」


ハルカ「そんなに簡単に言っちゃって大丈夫なのかしら…」


 セキチクジムについてすぐにジムリーダーにたどり着けると楽観視しているアイリスとベルに、たまらず溜息を吐く面々。尚、サトシ、カスミ、タケシがセキチクジムでどのような体験をしていたのかは、無印編第32話あたりを参照。ただそこまで大変だったのかは、記憶に自信がないので悪しからず。


デント「一見、普通の古風な和式玄関だね」


 セキチクジムの玄関扉を開けて、建物内に入ったサトシ達。デントはポケモンソムリエらしく、入った瞬間に感じた建物の雰囲気をじっくり味わう。このままいけば、『和式民家ソムリエ』という異名がつきそうではあるが…


アイリス「さぁ、さっさと先に進むわよ!」


ベル「レッツ・ゴー!」


 全くの無警戒でジム内を回ろうとするアイリスとベル。先程も説明したが、ここは数々のからくりが仕掛けられている忍者屋敷。


バシィィィィィン!


デント「やっぱり、言わんこっちゃない…」


 とまぁ、セキチクジム名物の『見えない壁』に激突して行く手を阻まれるというのは容易に予想が出来る。


ベル「痛ぁぁぁい…」


アイリス「もう、なんなのよ…」


サトシ「大丈夫か、2人とも…」


 何事も、過信と油断は禁物ということである(笑)


アイリス「よいしょっと」


カチッ!


アイリス「えっ?」


リュウカ「!? な、何の音ですか?」


ヒカリ「ちょっと、アイリス。何をしたのよ…」


アイリス「そ、そんなのアタシに聞かれたって…」


 アイリスが立ち上がろうとしたその時、何かのスイッチを押したような音が聞こえる。そしてしばしの沈黙がサトシ達の間で流れる。


ガシャン!


サトシ「!? うわぁぁぁぁぁ!」


ヒカリ「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 すると突然床が抜けて、サトシ達は成す術なくそのまま落下してしまう。


ドォォォォォン!


カスミ「もう、なんなのよ…」


タケシ「なんだか前に来た時よりも、より忍者屋敷らしくなっている気がする…」


ゴゴゴゴゴ!


リュウカ「!? 今度は何ですか!?」


 一息つく間もなく轟音のような音が聞こえ、サトシ達は音のする方に目を向ける。すると次第に音はサトシ達に近づくように大きくなっていき、


サトシ「!? うわぁぁぁぁぁ、みんな逃げろぉぉぉぉぉ!」


 猛スピードで巨大な大玉がサトシ達に向かって転がってきた。サトシ達は転がってくる大玉から逃れようと、必死に走る。その後大玉は別の道にそれて難を逃れたものの、四方八方からから降り注ぐ手裏剣とクナイ、敵の動きを封じるための床の粘着テープ、突然吹き出てきた灼熱の炎、次々と倒れる石の壁、さらにはある部屋の戸を開けるとガマゲロゲとアーボの大群に襲われたりと、忍者屋敷ならではのからくりに四苦八苦する。


ヒカリ「ハァハァ、もう嫌…」


 サトシ達はからくりから逃げるのに必死で、ジムリーダーのもとにたどり着く前にすっかり疲弊しきっていた。


マサト「こ、この部屋が最後だよ…」


アイリス「また変な仕掛けじゃなければいいけれど…」


 からくりが仕掛けられていることを警戒しつつ、サトシ達は目の前の部屋の戸をゆっくりと開ける。するとそこには忍者服を着た少女が一人、目を瞑りかつ正座をして神経を集中させていた。


???「アタイの名は、アンズ。かつてこのセキチクジムのジムリーダーを務めたキョウの一人娘、そして現在のセキチクジムのジムリーダーよ」


サトシ「あなたが、アンズさんですか。ようやくたどり着いた…」


 ここまで幾多ものからくりに行く手を阻まれるも、ようやくジムリーダー・アンズのもとにたどり着いたようだ。


アンズ「よくここまでたどり着いたわね。さすがは我が父上が見込んだトレーナー、サトシ殿」


サトシ「お、俺の事、知っているんですか?」


アンズ「もちろん。サトシ殿のことは、父上やアヤ殿から聞いているわ」


 以前セキチクジムに挑戦したことのあるサトシの事は、キョウやその妹のアヤから聞いていたアンズ。少なからず、トレーナーとしてサトシに対して興味を抱いているようだ。


サトシ「アンズさんはキョウさんからジムリーダーを受け継いだのですよね?」


アンズ「えぇ。数か月前に父上がジョウト四天王の一人になり、セキチクジムのジムリーダーが空席になったところを、娘のアタイがそのまま引き継ぐことになったの。以前より父上はアタイを次のジムリーダーにするべく、幼少の頃からアタイに厳しい修行をつけていた。もちろん、忍の修行も欠かさなかったわ。当時は死に物狂いだったけど、今となっては良い経験だったわ」


デント「キョウさんはアンズさんにとって父親としてだけでなく、人生の師匠としてもいるわけですね」


アンズ「えぇ、アタイにとって父上は目標とすべき人物。憧れだけではとても言い表せないわ」


 アンズのキョウに対する信頼感はかなりのものである。親子である間柄当然のことではあるが、キョウという存在がアンズのより良い成長を促していると言っても過言ではない。


アンズ「もちろん、ジムリーダーとなった今となってもこの父上の意思を無駄にしないために日々の修行を欠かさず行っているわ。ただ…」


リュウカ「ただ?」


アンズ「アタイがジムリーダーとなって以来、挑戦者としてここまでたどり着いたのはたった一人。アタイのジムリーダーとして名が知れていない為なのか…」


サトシ達「「「「「「「「「「…」」」」」」」」」」


 自分のジムリーダーとしての知名度がないから挑戦者が来ないと嘆くアンズに、ただ呆然と話を聞くサトシ達。その理由は


ハルカ(それはアンズさんの知名度の問題じゃなくて…)


アイリス(この忍者屋敷のからくりのせいじゃ…)


 ここまでたどり着くまでに幾多もの災難を経験した者だから感じる当然のことであった。


アンズ「皆の者、アタイにも譲れないものはあるわ」


サトシ達((((((((((!? 心を読まれた!?))))))))))


アンズ「アタイだって、忍の端しぐれ。サイキッカーほどではないけど、人の心を気で感じ取ることは出来るわ」


サトシ「あぁ、そうですか…」


 アンズが披露した(?)読心術に、思わず苦笑いを浮かべるサトシ達。あまり敵にはしたくない人物である。


デント「でも、現実はきちんと受け止めた方が…」


アンズ「それは分かっている。ただ、先祖代々受け継いできたこの忍者屋敷の形だけはどうしても残しておきたいの。その為にも、あの仕掛けだけは絶対に譲れないわ」


デント「…」


 結構頑固な性格のアンズである。これは、頑固さゆえに忍を極める生真面目さから来るもので、決して悪意があるということではないので悪しからず。


リュウカ「ところでそのたった一人の挑戦者のことですが、どんなトレーナーだったんですか?」


アンズ「そのトレーナーはバトルに対してかなりの熱血漢で、セキチクジム伝統の猛毒戦術にも真正面から立ち向かう。そのバトルスタイルはそのトレーナーが言っていたように、正に『直球一本槍』だった。特に印象的だったのは、攻撃技を防御に使って相手の攻撃をしのいだ直後、直ぐに攻撃に転じる。隙や無駄のない動きだったわ」


アイリス「そのトレーナー、なんだかサトシに似ているわね」


ヒカリ「あぁ、バトルに対して熱血漢なところでしょ。分かる分かる」


サトシ「俺、今度会うことがあればソイツとバトルしてみたいぜ」


ハルカ「サトシならそういうと思ったかも」


アンズ「最初のジムバトルだった上に、心を惹かれるようなバトルだったから修行に励むたびに思い出すわ。いつかまた会ってバトルしてみたいと思わせるようなトレーナーよ」


 アンズは初めて自分にジムバトルを挑んできたトレーナーに対して、かなり好印象に語る。人間誰しも、初めての経験というのは大概記憶の中に残るものではあるのだが…


アンズ(そういえば、あの者もどうしておられるのかしら。彼の事だからきっとサトシ殿のように『ワールド・チャンピオン・リーグ』に向けて日々精進に励んでいるんだろうね…)


 …何かフラグ的なものが立っているような気がするが、それは後々話すという事にしよう。えっ、アンズが語る人物についてネタバレしてるって? ソンナコトハ(ry)←ナレーター崩壊寸前の為、強制終了w


ベル「アンズさん、パルパークの従業員の人から聞いたんですけれど、アンズさんに勝ったらジムバッジだけじゃなくふたごじま行の連絡船のチケットがもらえるんですよね?」


アンズ「え、えぇ。ただ、今は『ワールド・チャンピオン・リーグ』の関係でジムバッジを渡すのは禁止されているけれど…」


ベル「構いませんよ。だってあたし、用事でふたごじまに行くので、その為にチケットが必要なんです」


アンズ「成る程、ベル殿が欲しいのは連絡船のチケットということだね」


ベル「もちろん、カントーのジムリーダーとバトル出来るだけでも光栄です! アンズさんの二人目のお相手、あたしでよろしいでしょうか?」


アンズ「アタイとしては大歓迎さ。ベル殿、是非お願いする!」


 ベルはアンズにポケモンバトルをすることを持ちかけ、それに対してアンズは二つ返事で承諾する。ベルの当初の目的から考えて、この二人がバトルするのは妥当と言えるであろう。


サトシ「アンズさんとベルとのバトルか。一体どんなバトルになるんだろうな」


ピカチュウ「ピィカ!」


ヒカリ「頑張ってね、ベル」


ポッチャマ「ポッチャア!」


ベル「任せて!」


アンズ「ベル殿、いざ神妙に!」


 ここセキチクジムにて、ふたごじま行きのチケットを賭けたポケモンバトルが行われることが決定する。さて、ベルはアンズとのバトルに勝利し、見事チケットを手に入れることが出来るのか!?


続く





後書き

ゲームをベースにしたがために、アンズの口調が定着しない(汗)



それと、「チケット手に入れるだけだったらバトルに勝利しなくてもいいんじゃねw」というツッコミは受け付けませんのでw

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