小説『主人公総受け物語〜アニポケ編〜』
作者:天の河()

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第59話『洞窟の異変』

前書き

このありきたりなサブタイは今後も使い回しの予感がしますが、気にせずお読みください。







ゴゴゴゴゴ!


ヒカリ「な、何なの!?」


 突如サトシ達を襲った地響きと轟音。その次に待ち受けていたものとは、


ゴロゴロゴロゴロ!


サトシ「うわぁ、逃げろぉぉぉぉぉ!」


ミドリ「えっ!? えぇぇぇぇぇ!?」


 巨大な球体型の岩石が、サトシ目がけて転がってきた。それを見てサトシ達は一目散に巨大岩石から逃げるように、必死に走る。本作品で定番の一つとなりつつあるこの追っかけ(?)シーン。あまり悠長に説明しているような状況ではないが、サトシ達はこういった探索で何事もなく済んだ試しがない。


ヒカリ「ハァハァ…。セキチクジムより長く走った気がするわ。ポッチャマ、大丈夫?」


ポッチャマ「ポッ、ポチャア…」


ベル「もう嫌…」


 巨大岩石にあとわずかまで迫られるも、運よく途中で止まりなんとか難を逃れる。ただ、長い距離を走ったせいか、完全に疲れ切ったようである。


サトシ「あれ? タケシにデント、カスミ、ハルカ、アイリス、マサト、リュウカは?」


ミドリ「どうやらはぐれちゃったみたいだわ。今ここにいるのは、私にサトシ、ヒカリちゃん、ベルちゃん、そしてピカチュウにポッチャマね」


 逃げる途中、タケシをはじめとする七名とははぐれてしまったようだ。今この場にいるのはサトシ、ヒカリ、ベル、ミドリ、ピカチュウ、ポッチャマの四人に二体である。


サトシ「駄目だ。上手い具合に填って、ビクともしないぜ」


ミドリ「これじゃあ、元来た道を引き返すのは無理ね」


ベル「あたし達は先を進むしかないのね。よく頑張ったわ、エンブオー」


サトシ「突然外に出してゴメンな、チャオブー」


エンブオー「エェンブゥ!」


チャオブー「チャオチャア!」


 サトシとベルは、巨大岩石を退かそうとチャオブーとエンブオーを出すも、道の途中でスッポリと填った巨大岩石はビクともしない。なくなく、サトシ達は巨大岩石とは逆の方向に向かって進むこととなった。


ミドリ「随分奥まで進んだわね。あたしこのふたご島には何度も来たことあるけれど、こんなに奥まで進んだのは初めてよ」


ベル「ここからはとにかく前に進むしかないということですね」


ミドリ「あまり言いたくないけれどそうなるわ。ゴメンね、ベルちゃん。研究が思うように進まなかった上に、こんなことになってしまって…」


ベル「いえいえ、お気になさらず。研究にトラブルはつき物ですから。ミドリさんが誤ることじゃないですよ」


サトシ「そうだよ、ミドリお姉ちゃん。そこまで気落ちすることないさ」


ヒカリ「それにあたし達、旅先でこういうトラブルに何度も巻き込まれていて慣れていますしね」


ピカチュウ「ピカァ!」


ポッチャマ「ポチャア!」


ミドリ「ありがとう。みんな頼もしいわ」


 巨大岩石に追われる羽目になった上に、仲間とはぐれてしまうというトラブルに遭遇して気落ちするミドリであったが、サトシ、ヒカリ、ベルそしてピカチュウとポッチャマに励まされ、ひとまず心が落ち着いたようだ。


ヒカリ「あら? あそこにポケモン達が一か所に集まっているけれど…」


 サトシ達がそのポケモンの群れに近づこうとすると、ポケモン達は突然サトシ達から離れるようにどこかに隠れてしまった。だが、様子を伺っているのか、ちょくちょく顔を出しては引っ込めたりと何やら挙動不審である。中には攻撃態勢に入っているのもちらほら見える。もしこの状態で進んでいけば、攻撃態勢をとっているポケモンから襲撃を受けてもおかしくない。いまサトシ達の近くにいるポケモンはサトシ達のポケモンのレベルを考えればかなりの実力差があるので、出来ればバトルは避けたいところである。


ミドリ「…どうやらあたし達、警戒されているようね」


ヒカリ「そんなぁ、あたし達あのコ達に危害を加えるつもりなんてないのに…」


 群がるポケモン達がいつ襲いかかって来るのか分からず、思うように動けないサトシ達。何としてでも、この先を進んではぐれた連中と合流したいのだが…


ミドリ「ねぇ、サトシにヒカリちゃん。ちょっと、ピカチュウとポッチャマを少しばかり貸してくれないかしら」


サトシ「えっ、いいけど…」


ヒカリ「ピカチュウとポッチャマで一体何をするつもりなんですか?」


ミドリ「上手くいくかは分からないけれど、ピカチュウとポッチャマにあのコ達を宥めてもらおうかと思っているの」


 ミドリはポケモン達を宥めるために、ピカチュウとポッチャマにその役割を担ってもらおうという考えを引き出す。ポケモン同士で話し合うことでこの場を丸く納めて、トラブルを回避しようという狙いだ。


サトシ「成る程、それならいいぜ」


ヒカリ「えぇ、あたしもいいですよ」


 サトシとヒカリは、ミドリの提案を快く承諾する。サトシピカチュウとヒカリのポッチャマは、二人のポケモン達の中で強いリーダーシップを持つ二体。このことを考えれば、適任といえる。


サトシ「じゃあ、頼んだぞ。ピカチュウ」


ピカチュウ「ピカピカァ!」


ヒカリ「ポッチャマもお願いね」


ポッチャマ「ポッチャマ!」


 ピカチュウとポッチャマはサトシとヒカリに言われた通り、周りのポケモン達を宥めようと声を掛ける。二体が声を掛けてからしばらく耳を傾けていたポケモン達であったが、思いが通じたのか、サトシ達の目の前に出てくる。その後、サトシ達の為に先へ続く道を開けてくれたのだ。


サトシ「やったぜ! 俺達の思いが通じたんだな!」


ヒカリ「そうね!」


 ピカチュウとポッチャマの一仕事が成功した喜びを表現するかのごとく、お馴染みのハイタッチをするサトシとヒカリ。役目を果たした当の二体も同様にハイタッチをする。


ミドリ「助かったわ、サトシにヒカリちゃん。それに、ピカチュウとポッチャマも」


サトシ「いやぁ、ミドリお姉ちゃんがこれを思いつかなかったら今頃どうなっていたことやら…」


ミドリ「あたしはただ、解決方法を思いついただけ。成功につながったのは、サトシとヒカリちゃん、二人の指示を受けてやってくれたピカチュウとポッチャマの絆のおかげよ」


ベル「うんうん、サトシ君にヒカリちゃん、ピカチュウとポッチャマ、強い絆で結ばれていなかったらできないことだわ」


ヒカリ「何だかそこまで言われると恥ずかしいわ」


ピカチュウ「ピィカァ!」


ポッチャマ「ポッチャア!」


 ポケモンと共同で何かに取り組む状況では、指示する側のトレーナーと指示を受けて行動する側のポケモンとの絆が試される。サトシ達のこの一連の出来事はそれを再認識させられる一幕であった。洞窟のポケモン達が開けてくれた道を使って、サトシ達が先へ進もうとしたその時、


キシャアアアアアアアア!


サトシ「!?」


ヒカリ「こ、今度は何!?」


 サトシ達の目の前に、今度はゴルバットとゴローンの大群が現れる。ただこのゴルバットとゴローンの眼は赤く染まっており、少し様子がおかしい。


ミドリ「…どうやら、今度はバトルなしでは進めなさそうね」


 一難去ってまた一難、サトシ達はこの状況を切り抜けて、はぐれた仲間と無事に合流することが出来るのだろうか…


続く





後書き

状況が思わしくない方向に向かいつつあるが、果たして真相は!?

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