すると瑞樹のポケットから振動が。携帯がバイブを鳴らしていた。手を突っ込んで中から携帯を取り出す。メールが来ていた。発信者はあの店の前でいつも掃除をしている慶太からだった。
内容を見てみる。
慶太『今裕一君が道端でいきなり血を吐いて!それで救急車に同乗してるんだけど。今から言う病院に茜ちゃん連れて来てくれるかしら?頼むわよ』
瑞樹「・・・新島さん・・・緒方が運ばれてった病院に行きましょう・・・慶太さんが呼んでるの」
茜 「・・・・・・」
瑞樹「新島さん」
茜 「・・・あんたのせいよ・・・あんたのせいでまた裕一がおかしくなっちゃた・・・」
瑞樹「・・・・・・」
茜 「あんたの・・・あんたの・・・!」
瑞樹「行くわよ!!」
無理やり腕を掴んで引っ張った。携帯を取り出し、車を呼んで裕一が運ばれた病院に向かった。その間中、茜はぶつぶつと何かを言っていた。
10分ぐらいでその病院に着いた。
瑞樹「・・・・・・」
そして今検査室の前で2人は裕一の検査が終わるのを待っていた。
30分ぐらいして先生と一緒に慶太も現れた。
慶太「・・・・・・」
瑞樹「あの・・・緒方くんは・・・」
医師「とりあえず中へ・・・話はそれからです」
茜と慶太、そして瑞樹は先生に言われたように中へと入った。
医師「・・・率直に言います」
瑞樹「・・・・・・」
茜 「・・・・・・」
慶太「・・・・・・」
医師「・・・・・・癌です。・・・緒方さんのお腹に・・・癌が見つかりました」
瑞樹「・・・胃癌・・・ってこと・・・ですか?」
医師「・・・・・・はい・・・」
茜 「・・・それで・・・どうなるんですか?」
医師「・・・少し発見が遅かったみたいですね。悪性になりつつありました」
瑞樹「・・・・・・」
医師「できれば今すぐにでも摘出手術を行いたいんですが・・・発見が遅かったせいか・・・もし手術をしても他のところに転移する恐れが高いと思いますが・・・」
瑞樹「・・・・・・」
慶太「緒方さんの手術、してください。だってしないことには治らないんでしょ?・・・ね、2人ともいいわね?」
瑞樹「・・・・・・」
茜 「・・・・・・」
2人は同時に頷いた。
医師「できる限りのことはします。では早速今から行いますので外の方でお待ちいただく形でよろしいでしょうか?」
慶太「わかりました・・・2人とも出ましょう?」
そう言って3人は診察室から出た。
慶太「私が緒方さんの付き添いをしておくから2人は帰りなさい。ご両親が心配するわよ」
時刻は夕方になっていた。
瑞樹「・・・あの・・・!・・・ちゃんと連絡・・・」
慶太「安心して。ちゃんと終わったらすぐ連絡するから」
瑞樹「ありがとうございます・・・」
茜 「・・・・・・」
茜はずっと黙っていた。
そして2人は病院を後にした。
瑞樹は車を呼んで茜を送った後、そのまま家に帰ってベッドに飛び込んだ。
瑞樹「・・・・・・」
瑞樹の脳裏に湧き上がる茜の声・・・
あんたのせいよ
あんたのせいでまた裕一がおかしくなっちゃった
瑞樹「・・・私の・・・せい・・・」
ベッドの上で小さく丸まっていた。