小説『俺としつこい女』
作者:ブレイバー()

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そして約束の時間の12時・・・

慶太「・・・やっぱり来ないのかしら・・・黒澤さん・・・」
女性らしい格好を身にまとった慶太が自分の店の前で待っていた。すると商店街の奥から見知った顔が現れた。

瑞樹「・・・・・・」
瑞樹だった。

黒澤「あ、黒澤さん!」
手を振って合図をしたがどうも元気がない様子だった。しかしちゃんと手は軽く振っていた。

瑞樹「・・・その・・・」

黒澤「話は中でゆっくりしましょ。それよりもお腹空いちゃったわ。何か中で食べましょ?」

瑞樹「・・・でもここ・・・慶太さんが働いてる・・・」

慶太「別にいいの。それにマスターの作るハンバーグがとてもおいしいのよ。さ、いきましょいきましょ♪」
後ろから後押しするように瑞樹を店の中へと押しやった。



カランコロン
マスター「いらっしゃい・・・ってなんだ、慶太かよ」

慶太「そんな言い草ないでしょマスター。今日はちゃんとしたお客さんなの」

マスター「ここで働いている従業員がなんで客としてくるんだよバカタレ」

慶太「まぁいいでしょ?それにマスターの作るハンバーグ。商店街でも1位2位を争うぐらいのおいしさなんですもの」

マスター「そのことに関してはありがとうだな・・・んで、そちらさんは?」
慶太の後ろで困ったような顔をした瑞樹が立ったままマスターのほうをじっと見ていた。

マスター「可愛らしいお嬢さんじゃないか」

慶太「マスターも面識があるわよ。こちらは黒澤瑞樹さん。ほら、いつも店の前で外に飾ってあるぬいぐるみを見に来ていた女の子」

マスター「ああ君か!通りでどこかで見たことがあった顔なんだよ。初めまして」

瑞樹「ど・・・どうも・・・」
緊張しながらも挨拶はきちんとした。

マスター「まぁゆっくりしてってよ。今からおいしいハンバーグご馳走するからさ」

瑞樹「あ、ありがとうございます」
そう言ってマスターは早速調理を始めた。

慶太「さてと、私たちはあそこの窓際のテーブルにでも座って話でもしましょっか」

瑞樹「・・・はい・・・」
そう言って二人は席に座った。





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