──部屋に着き、瀾をソファーにそっと下ろすと室内電話を手に取った。
プルルル…受話器越しに呼び出し音が鳴る。
あまり待つ事もなく、受話器が外された。
「どうかされましたか?乙様」
「ああ。洗濯物をしていたメイドを俺の部屋の整理の為に借りたんだが、洗濯物がまだ途中なんだ。
代わりに誰かやってくれ。」
「かしこまりました。お部屋の整理でしたら、もう1人向かわせましょうか?」
「いや、結構だ。」
「そうですか、かしこまりました」
「あ、それと俺の部屋の前に洗面容器に氷水と新しいタオルを一本頼む」
「?、かしこまりました」
「じゃあ、よろしく頼む」
そういうと乙は受話器を置いた。
連絡を終え、緊張気味にソファーに座っている瀾を横目に乙は、部屋から繋がっている隣の小部屋の空間へ消えて行った。
鍵の掛かっている棚の救急箱から湿布と包帯を取り出す。
何やら物々しく明らかに厳重にされているが、座っている瀾からは死角になっており、その空間の扉の存在すら見えてはいなかった。
しばらくすると、包帯と湿布を持った乙が戻ってくる。
コンコン…とノックの音が響きドア越しにメイドの声がした。
「乙様、頼まれた品をお持ちいたしました」
「ああ、ありがとう。そこに置いといてくれ」
「かしこまりました」
湿布と包帯を瀾の目の前のテーブルに置くとドアの外にある氷水とタオルを持って戻ってきた。
乙は、ソファーに瀾側を向き座ると靴を脱がせ床にそっと置く。
「…失礼」
紳士に一言洩らすと瀾の足を優しく持ち、乙の膝の上にのせた。
「あ…!!一人で、できますから」
「患者は大人しくする」
「で・ですが…!!」
乙は、慌てる瀾の言葉に聴かぬフリをして、スカートの中の白く柔らかな太股に手を滑らせた。
「キャッ」
「恥ずかしいのか!?」
「そんな事は…!!」
それを聴くと乙は、ガーターベルトに手をかけ、白いストッキングとの連結を素早く淡々と外し、ゆっくり降ろした。
何の邪心もなくスルリとストッキングを脱がせる。
タオルを冷たい氷水に入れ
「冷たいけど我慢出来るな?」
少しきつめにタオルを絞り捻った足首にあてた。
瀾は冷たかったのか
「ひゃっ」
と可愛げにピクっと動いた。
「我慢」
「あ・はい」
「特に腫れているわけでもないし、しばらくすれば歩けるようになるはずだ」
「…ありがとうございます」
その言葉にチラリと瀾を見ると、また足元に目線を落とす。
「私、まだキチンとお礼も言えていないのに、またご迷惑をかけてしまって…」
「気にしなくていい。俺が好きで勝手にやっていることだ」
乙は目線を落としたまま答える。
「はい。ありがとうございます」