小説『アールグレイの昼下がり』
作者:silence(Ameba)

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【団らん】


滞在は1週間。
開拓の必要はあるものの、まずは1人。
瀾を自分の手中に収めた乙は少し満足げに窓の縁に腰を寄り掛け外をながめていた。

『野中 瀾…。あれは仕込みがいがある。楽しみだな♪』

コンコン…。
ノックの音が響き、ドア越しに声が鳴る。

「乙様、お夕食の準備が整いました」
「ああ、解った。すぐ行く」

部屋を後にし、廊下を歩いているときだった。

「姉様〜♪」
「?」

姉を見つけた聖慈(セイジ)は乙に駆け寄ってきた。
聖慈を見つけると笑顔を作る。

「勉強は終わったのか?」
「はい!あ…。うん♪」
「そうか」

手をつなぎ、食堂室へ向かった。
ドアを開けると、執事達が一礼をし、乙達を迎える。
席に着くとコック長がやってきて、今日のメニューを伝えた。
フルコースと同じ手順で料理が並んでいく。

「親や俺達がいない間、毎日何をして過ごしていたんだ?」
「えっと…。お勉強をしたり、マナーの時間があったり、沢山です」
「習い事ばかりじゃないか」
「あ、でもちゃんと休憩時間もありますし♪
今日も姉様が帰ってくる前だけど、庭で留奈と遊んだんだ」
「留奈?」
「うん。僕の遊び相手をよくしてれるんだ。
ね♪留奈♪」

聖慈が視線を向けるとその先のメイドが笑顔で一礼をする。

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