───どのくらい時間が経ったのだろうか。
瀾が、薄ら目を覚ますと見慣れない天上。
窓からは明るい日差しに、部屋全体が照らされている。
暖かいベッドの温もりに、寝ぼけ眼に口を開く。
「…ここ…何処?
…ん・・眩し…」
何気なく影を求めて左へ寝返りをうつと、すぐ目の前には綺麗な乙の寝顔がある。
「ッ!!!!」
ビクッと体を跳ねさせ、飛び起きると瀾を抱き寄せていた乙の腕がスルリと瀾の腰に落ちる。
瀾はさらに体を跳ねさせビックリした。
「きゃっ!!!わ、私、裸!!!」
視線を左へ落とすと、静かに寝息を立てて横たわっている乙も何一つ身に纏っていない。
「どうして…痛っ!!!」
花核に痛みを感じ、とたんに昨日の事が一気にフラッシュバックする。
瀾の顔が見る見るうちに真っ赤になっていった。
自分を抱いていた時の乙の声…、乙の顔…。
そして───
アルコールが入っていたとはいえ、快楽に身を委ね乙を求めて、淫らに乙を欲した自分の姿が鮮明に頭の中で映し出されていった。
「ああ…私…////」
[顔から火が出る]とは、まさにこの事だろう。
パーティー会場で身分違いにも暴言を吐いた挙げ句、乙と…。
静かに眠る乙を何となくソッと覗きこむ。
「…綺麗な…顔…///」
「それは光栄だな。…捕まえた!!」
「きゃっ!!」
乙は、いきなりパチッと目を明けると瀾の腰を抱き寄せ、形勢逆転とばかりに上にのしかかり、クールに優しく微笑む。
「おはよう…♪」
「おはよう…ござい…ます…///」
瀾は今の態勢にさらに昨日の事を思い出し、顔を真っ赤にして視線を反らし小さな声で挨拶した。
「身体の調子はどうだ?」
「あ…あの…////」
「今日は休みを取ってあるから、ゆっくり休むと良い」
「/////」
瀾はあまりの恥ずかしさに言葉を失う。
「き、乙様…あの…///」
「何だ?」
「あの…こ、この態勢…は、恥ずかしい…で・す…////」
「仕方ないな」
乙は、横に添い寝をして瀾を抱き寄せた。
「あ・あの…こ、これも…////」
「何言ってるんだ、瀾は捕まえておかないと逃げてしまうだろ?」
「////」
「休日に起きるには、まだ早い。
もう少し横になっていた方が良い。
昨日はパーティーや慣れない事をして躰にも負担が掛かったんだからな」