時刻はAM7:00…。
メイドの起床には遅い位だ。
「あの…でも、私…///」
「まだ、眠ってから4時間しか経っていない。
寝不足はお肌によくないぞ♪
それとも、俺とベッドを共にしているのは不服か?」
「そ、そんな事は…///」
乙はわざと瀾に問う。
「…昨日の事は覚えているのか?」
「…ッ/////」
瀾は、乙の問いに顔を耳まで真っ赤にして俯いた。
「クス…。その様子じゃ覚えているらしいな。
…で?どこまで覚えているんだ?」
乙がニヤリと意地悪く聞く。
「…ッ/////」
「何?聞こえないが?」
瀾は卒倒するのではないかと言うほど顔を赤くして、ポツリと小さく答えた。
「…全部…です…////」
言い終えると、あまりの恥ずかしさにベッドの中にスッポリ隠れてしまった。
「瀾?」
「…////」
…返答がない。
少しからかい過ぎたようだ。
「クス…、悪かった。
もう言わないから出てこいよ」
乙の言葉に赤面しながら、疑いの眼差しを向けながらもソウッと微かに顔を覗かせる。
乙は肘を立て、手を枕にしながら優しく微笑んでいる。
瀾は胸の高鳴りを覚え、またベッドに潜ってしまった。
「仕方ないな…」
乙は、パサッとベッドの中に潜り込むと、瀾を抱き寄せ瀾の額に自分の額を当てる。
「瀾…」
「////」
乙は瀾の頭を撫でると優しく微笑みキスを交わす。
マシュマロの白い毛布の中で瀾はピンク色に染まって、甘くジャムのように溶けていく。
「ん…///」
「可愛いな、瀾は…」
「////」
「このまま、もう少し眠ろう」
瀾は頬を染め、小さく頷いて乙の胸に顔を寄せた。
トクン…トクン…と胸の鼓動は、なかなか納まらず眠ることが出来ない。
「眠れないのか?」
「はい…///」
「ホットココアでも飲むか?」
「…今は…このままでいたい…です…///」
乙はクスリと微笑むと額にキスをして頭を撫でた。
温かく優しい温もりに不思議と安心感に包まれて眠気を誘う。
次第にウトウトと目蓋が重くなり、いつの間にか瀾を眠りの世界へ誘った。
瀾が眠りに着いたのを確認すると乙も瀾を抱いたまま、再び眠りに身を委ねた。
起きてからの二人の時間は、瀾にとっては楽園そのものだった。
お早ようのキスをして。
一緒に昼食を作り、食べさせ合いっこをして。
大きな風呂に浸かり、またキスをして…。
まったりとソファーで、抱き合いながら映画を観て。
瀾がキスをねだれば難なく乙は、それに答え…。
誰に遠慮する事もなく、まるで新婚生活を思わせるような甘々な夢の時間が楽しく過ぎる。
別宅と屋敷はさほど離れているわけではなく、同じ小高い土地にあるのだが周りや屋敷からは死角になっており、他の者に見つかることはまずない。
しかし、一緒に帰るわけにも行かずSPに頼み、先に瀾を屋敷に送らせた。
手を振る瀾を送ると静かに廊下を歩く。
ガタンッ…!!
乙達が居た部屋の右奥側…
つまり厨房と逆の方から、物音がする。
乙は、その部屋のドアを静かに開放するとドアの縁に腕を組み、寄り掛かった。
「全く…≪あいつ≫もトンでもないものを置いて行ったもんだ…」
「…輝李[キリ]様…」
目を虚ろにした少女は、蜜を溢れさせて既に乙を認識する事すら出来ていない。
『はぁ』とため息を吐くと、ボソリと「仕方ない…」 と呟き、少し高い声で少女に近づいた。
「待たせたね…ちゃんと待っていたなんて、いい子だ。
ご褒美をあげないとね♪」
静かに少女をベッドに押し倒し、少女の熱を慰めた。