深夜、午前2時、橋の下にて。
脱色しきった髪の毛が、チカチカと瞬く街灯に跳ね返る、青年は下を向いたまま、無言でその場に立ち尽くす、長めの金髪からは口元しか見えず、その口は堅く結ばれ言葉が出てくるようには思えなかった。
「おい! テメェ! 昨日はうちのダチが世話になったなぁ、落とし前の付け方はもう出来たか?」
コンクリートで固められた道路に金属の音が乾いた空気に響き渡る、街灯に照らされたそれは、建築業者がよく持つ、金属の長い棒。今は強面の男がそれを持ち、青年に向かって怒鳴りつけるように言い放つ。
「うるせぇな、ハエが」
青年の口元がにわかに動き、蔑みと侮辱とも聞こえる口調で言った。
「お前、この状況が見えてよく言えるな、今ならその言葉、土下座で許してやってもいいんだぜ?」
男が合図を送ると、周りから手に凶器を持った不良が続々と現れる、彼らはその青年を取り囲み、威嚇するように睨み付ける。
「カスが集まったって同じこったろ? お前らが土下座すれば許してやるよ」
全く危機感を感じていないこの発言に、男の怒りは頂点に達す。
「この糞野郎が! 今日こそぶっ殺してやる!」
男の怒号と共に周りの不良が次々に青年に襲い掛かる、あるものは金属棒を振り上げ、あるものは横に薙ぎ、あるものは投げつけた。
「くっだんねー!」
青年は大声で怒鳴りつけるように一言発するとその男共に一人で向かっていった。