小説『恭子』
作者:ハピにゃん()

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私の一番古い記憶・・・

それは、父と母がけんかをしている記憶。

たぶん3歳頃。

後で知った事だけれど、父の浮気が原因で夫婦喧嘩をしていたらしい。

私は泣きじゃくっていた。

喧嘩を見て怖かったのだろう。

母が大きな声で父に何かを叫んでいた。

怖くて怖くて泣きじゃくっていた私に

「ママと一緒に青森に帰ろう」

と母が言った。母は、父と結婚するまで青森にいた。だから、郷に私を連れて帰ろうと思ったのだろう。

ただ、これも後から知った事だが、母は結婚を反対され勘当同然で実家を飛び出したらしいので、実家に戻れる状態ではなかったようだ。

そんな大人の事情など3歳の私にはわからない。

「うん、ママと行く!」

と返事をした事を覚えている。

そこで記憶は途絶え、次の記憶は翌日なのか、数日後なのか・・・

幼稚園から戻ったら母が居なかった事だ。

大声で「ママー!」と叫びながら近所を走り回ったのを覚えている。

祖父に

「ママは、お前を置いて出て行ったんだよ」

と言われても

「ママは一緒に行こうって言ったもん!」

「ママは一人じゃ行かないもん!」

と、祖父の手を振り切って走り回った。

そんな記憶が、私の一番古い記憶。

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