小説『恭子』
作者:ハピにゃん()

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山本さんとドライブ(?)をしてから2〜3日たった頃、山本さんは仕事で私のバイトする店に来た。

担当の女の子と話が盛り上がっているのが気になる私・・・

なんだか最近山本さんが気になる。

休憩の時間になったので行こうとすると彼は

「休憩なの?一緒にお茶飲みに行こうか?」

と誘ってきた。正直うれしかった。

あの日、気まずい雰囲気のまま帰ってしまったので、私から話しかけにくかったから。

バイトしている店のそばにある喫茶店に入り、日曜日のお礼と、早々に帰ってしまった事のお詫びを伝えた。

「全然気にしてないよ」

と、にこやかに彼は言った。

またドキッとした。・・・私、山本さんが好きなのかも。

今の彼、透に感じた事のないときめきがあった。

喫茶店で何を話したのかも覚えていないほど舞い上がっていた。

休憩が終わり、店に戻る時に

「今度の土曜日の夜、もう一回ドライブしない?」

と誘われ、私はOKした。

そして土曜日、彼は私をバイト先の八重洲まで迎えに来た。

「ごめん、また会社の車で」

そう、彼はまたバンで迎えに来た。

彼の仕事がまだ終わっていなかったから。

会社の車には、会社と連絡を取る為の無線機が付いていた。

途中、彼の上司から無線が入り、飲みに行こうとの誘いがあった。

何度か断っていたけれど、結局断り切れず、武蔵境のスナックで待ち合わせをすることになってしまった。

「私、帰ろうか?」

そう言うと

「全然構わないよ。一緒に行こうよ。またドライブできなくなっちゃうけど」

と言われた。

スナックに着くと30代半ばの上司が先に到着していて飲んでいた。

「お〜!正清が彼女連れてきたぞ!」

とスナック中が盛り上がった。

此処は、常連の多い、気の通う仲間の集まる飲み屋さんのようだ。

「ともみ〜!お前の意中の正清ちゃんは彼女ができたってさー!」

と彼の上司が、ホステスさんに言っていた。そのホステスさんは私を見て

「あら〜可愛いじゃない。まだ未成年かしら?」

と笑っていった。・・・でも、ちょっと目が笑っていなかったのを私は見逃さなかった。

2時間ほど経っただろうか。

「今日はそろそろ帰るから」

と彼が席を立った。私も一緒に席を立つと、彼の上司が私のおしりから股間にかけて触ってきた。

「キャッ!」

「うん、なかなか良い感じ。もう準備万端だろ〜?」

「やめてくださいよ、先輩。そんな関係じゃないんですから」

と彼は言った。

そう、そんな関係じゃなかった。・・・その日までは。

私たちは、その後彼の部屋に行き、夜を共にした。

明るくなるまで、たくさん抱き合ってたくさんキスをした。

初めて、男の人の部屋に泊まった。

初めて、達するという事を知った。

初めて、抱かれると涙が出る事を知った。



そして私は、透へ別れを告げようと決心した。

-5-
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