小説『家族を愛する男』
作者:()

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第一話 −学園に現れた男−









今、俺はとてつもなく緊張している。何かもう、この後世界滅亡してもいいくらいにだmaziで

顔から大量の汗がでて、それを何回もハンカチで拭く。さっき先生に保健室に行ったらどうだ? と聞かれたが、さすがにそれはまずい

折角の晴れ舞台なのに、本人登場せずとか悲しいだろ。空しい人生の一ページだよ

目の前で何かぶつくさ言っている爺さんが、何度もこちらをチラ見している。全校生徒なんかもう、ほら! 憐れみな瞳だよ

僕も一度はあるよ。頑張って。とか、そんな視線は止めてほしいなぁ〜たくよぉ!!!



「えぇ〜、それではみんなも気づいているかも知れないが、今日は何と珍しく転校生が来よった。わしはてっきりピチピチギャルと思ったが、残念な気分じゃ」



うっせぇぞ爺!!! 何処の亀●人だよ。いちいち話すな!!!

と、そう目で訴えかけているのに気づき爺はいそいそと話を進めだした



「まぁまだ今月は春うららかな四月。珍しくもなんともないんじゃが、あまり家庭の事を聞くんじゃないぞ」



俺は普通に家を出ただけだっつーの!!! 話聞けやごらぁ!!!

……まだ話してはいないけどな

生徒たちは爺の演説に全く聞く耳を持たず、ただたんに転入生が来るのを待っている



「それでは、紹介するぞ。西からおいでなすった、葛城 五道クンじゃ」



自分の名前を呼ばれ、一気に緊張のさらにその上が体中を巡りだした

ぎこちなく、顔が固まり歩き方はまるでロボットとひそひそ言われる

ちくしょう……。俺って結構シャイなんだな、初めて知ったよ

爺がマイクを手渡ししてきて、俺はそれを両手で受け取り口元に持って行った

正面に広がる無数の生徒達。男女平等、そして綺麗に整列している

そうだ、俺は今日ここからスタートするんだ。何してんだ俺は!! これじゃあ、『家族』に笑われちまう

マイクを片手で持ち、目を見開かす



「俺の名前は葛城 五道!!! 五つの道を歩む男!! 人間として大切な『仁』、『義』、『礼』、『智』、『信』の道を俺は道を外さず真っ直ぐこの学園生活で送りたい!! 武器はこの十六年間共に過ごした体のみ!! 例え神様仏様閻魔様でも、この俺の道を防ごうとするならなぎ倒すのみ!! よろしく!!!」



威風堂々にそう言い、俺はすぐさま朝礼台から降りて校舎の中に入った




















































「あぁーーーー!!!!!!////// 恥ずかしいぃ〜〜〜!!!!!!!!! 何してんだ俺はぁ〜〜〜〜///!!!」



屋上の上で赤面面しながら、頭を抱える

やっちゃったよ……。何したんだよ俺は!!! バカか!? バカなのか俺は!? 答えはnoと答えてくれ!!!

自分でも意味が分からず、そう問いだす。自分にだ……



「お前、中々面白い奴だな」

「あ?」



突然女性の声が聞こえ、辺りを見渡す……。何だ、いねぇじゃねぇかよ



「こっちだこっち」

「んだぁ、アンタは? 何で貯水タンクの上に居るんだ?」

「なに、朝会何てかったるいからな。まぁ、ここに入ったら何か変わると思ったが……やはり爺に上手く誤魔化されたか。いつか殺す!」

「ん? 何の話だ」

「いや、こっちの話だ。タンクの上で寝ていたら、急に大きな声が聞こえてな? 何だと思ったら威勢のいい奴でな、急にこっちに来たら恥ずかしくなっていたのが面白く声をかけたんだよ」

「全部見てたのかよ!?」

「そういう事だな。葛城 五道。一年生か……クラスは何処なんだ?」



タンクから身軽に降りて、俺に近づく

おいおい、結構高い所から降りているのにまるで舞い降りるように降りたな



「まだわからん。お前は……って、誰なんだ?」

「私か? 私は川神 百代。今年ここに入った一年生だ。クラスはF組だ。よろしく」

「川神…………なるほどねぇ」

「?? どうした急に」

「ちょいとこっちの都合上っわけよ。よろしく、川神さん」

「普通に百代でいい。私も五道と呼ばせてもらうから」



お互い手を握り、握手をする

へぇ、結構力が強いんだね。9割が腕力だな



「って、俺はそろそろじじ……じゃなくて、学園長の所に行かなくちゃ」

「そっか。同じクラスだといいな」

「……同じクラスだと思うよ」



去り際に俺は一度振り返り、向き合う

百代さんは何だと? 顔で表す



「そんじゃね、川神 鉄心の孫の百代さん♪」

「!!?? お前まさか……!」

「ばいばーい」



俺の顔が見えないよう入り口に入り、手を外に出して振る

百代さんはその後も何か言いたそうだったが、別にいいか

さぁてと、早めに終わらすか



「…………面白い奴だな。弟たちにでも自慢するか」

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