小説『家族を愛する男』
作者:()

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第二話 −会話=お話−





「今日からこのFクラスに入る、葛城 五道だ。これからよろしく」

「おう、よろくな〜!」「よろしく〜! カッコいいねぇ」「ケッ!! これだから現実は……」「ちょww さっきのじゃんww」「予想的中だな……」



最後に、聞き覚えがある声が聞こえた。まぁ、一人しか居ないけどな



「よぉ! さっきぶりだな、百代さん」

「そうだなぁ。つか、さん付止めろよ〜」

「なになに、いいじゃないか。じゃあ先生、俺は彼女の前の席でいいんですよね? 空いていますから」

「あぁ。此間席替えしたばかりだから、丁度そこが空いてしまってな」



最後尾から二段目の席に座り込み、すぐさま後ろに居る武……百代さんは俺に話しかけた

横に鞄を置き、何かと振り向く



「お前に聞きたい事があるんだった。何故私が爺の孫だとわかったんだ?」



そう来たか〜。ん〜……まぁ、別にいいか

俺は誰にも聞こえないように、百代さんの耳に口を近づける



「俺も百代さんと同じ武道家でね。こんなの常識、常識♪」

「そっか。まぁ、つじつまが合うからいっか」



彼女はそのまま何もなかったような顔になり、平然としている

俺はポケットから丁寧で綺麗な封筒を取出し、名前を確認する

はぁ〜……本当、めんどくさいなぁ〜。人生楽に楽しく過ごしたいな

そして俺は休み時間になる間、普通に勉強したり百代さんと会話をしながら過ごした



「……………チッ」





































「あぁーー!! やっと休み時間だ」

「はははは!! 情けないな、百代さん」

「机に顔ごとうつ伏せになっている奴に言われたくない」



駄目だ、何か気力を失った……!! 萎えたは!!! エロい意味じゃなくて

勉強とか普通に受ければ大丈夫だろうと思ったが、数時間前の俺を無性に殴りたくなるぜ



「俺、何か今なら飛べそうな感じするわ」

「どんだけ落ち込んでいるんだよ。気持ちはわかるが」

「百代さん何か、途中で爆睡して鞭で叩かれそうだったよな〜」

「五道なんか、自分も爆睡していてて目にセロハンで開けてて、ノートに『起きています』って書いてあって、先生に思い切りクリーンヒットに鞭が当たったよな」

「僕は無我の境地にまだ入っていないから、無理ッスよ〜」

「はは、思い返しても笑えてくるな……」



そう、あれは二時間目の授業の事だった

先生の説明があまりにもクソ長すぎたので、俺は仕方なく睡眠したのだが……



『ん? おい、起きろ葛城!! 初日から居眠りなど、度胸があるのはわかるが……たるんでいる!!!』

『ビュン!!』

『!!?!!?!?!?!?!?!?!?!!?!?!?』



背中にまるで鞭が当たったような感触が……鞭だけど

そのまま席から転がり落ち、うずくまる

背中から感じるひんやり、そして一点に集中した痛み



『痛いか葛城!! どうなん『サッ』』



先生がまた鞭を振ろうとした瞬間、右手を挙げてそれを先生に訴えるよう突き出す

そして、口が開く



『ほんと……なんか、背中から…あの、何ていうか。その…アレがこうね……ですから…ね。いや、もう本当に……』

『……………………』



あの時はガチで泣きそうだったわ。ナイル川が出来そうな勢いだわ



「あれは笑えたな〜。ははははは!!!」

「たくよぉ、笑いごとじゃないぜ。はぁ〜」

「そう落ち込むなよ。色々あるんだって、お前だけに」

「俺集中かよ!? 畜生!!」

「ははははは!!! お前とは気が合いそうだわ!」



こうして、俺の初日は幕を閉じた

















「………………チッ」

-2-
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