小説『Tales Of The Abyss 〜Another story〜 』
作者:じーく()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

#1 鉱山の町アクゼリュス


























そこは見慣れぬ一室のベッドの上。

まだ 意識がハッキリしないが……

どうやらオレはベッドで寝かされているようだ。

「……ここは?」

上半身を起こし辺りを見渡した。

やはりまったく身にに覚えの無い場所……

ここはいったい…

「あ……お兄ちゃんおきたみたいだね!」

!!

突然の声に驚いた……。

声がした方を見ると、

「お兄ちゃんだいじょうぶ?ちょっとまっててね。ママたちよんでくる!」

歳は5〜7歳だろうか?

ベッドの傍で…幼い女の子がいた。

「えっと…君は?」

「ママー!!パパー!お兄ちゃんおきたよーー!!」

質問をしたと同時に、女の子は両親を呼びに言った。

「……えっと…」

女の子の顔を見てもやっぱり身に覚えが無い…

それどころか、自分自身が何者かも分からない。

「…オレは…いったい・・・・・」

自問自答していると、女の子の両親だと思える人たちが来た。

「大丈夫かな??」

おそらく父親だろう。

オレの方を見て話しかけた。

「あ……あの… こ…ここは?オレはいったい…」

「ここは 鉱山の町アクゼリュスだよ。君は町のはずれで倒れていたんだ。」

場所を説明してもらい、自分がどうしてここにいるのかも

一通り教えてもらった。

「そうだったんですか… どうもありがとうございます。」

なぜ倒れていたのかは分からないが、

命の恩人にはかわりないは為、

お礼を言い立ち上がろうとした。

「くっ……」

「あ!ムリをしちゃダメよ?あなたは5日間も眠っていたんだから。まずは安静になさい。はい、食事を持ってきたわよ。」

倒れそうになるオレを支え、その上食事まで用意してくれていた。

「本当に何から何まですみません…」

見知らぬ他人であるオレに……

最後の方は口に出来なかった。

「ふふふ、困った時はお互い様。さあまずは体を元に戻しなさいな。 サラ!お兄ちゃんの看病をよろしくね。」

「はあーーい!」

女の子はすぐ側までやってきて、

ベッドの側のイスに座った。

「お兄ちゃん!わたしがかんびょうしてあげるから!はやくげんきになってね!」

満面の笑みでオレを見つめた。

「ありがとう…」

声を搾り出すように、

自分の今の気持ちを搾り出すように、

今の思いを伝えた。

オレがこの世界に目覚めて最初の1日はこのように始まったのだった。

-2-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




ビバ☆テイルズ オブ エクシリア2 マガジン 2012年 12月号 [雑誌]
新品 \0
中古 \648
(参考価格:\1500)