#92 偽者の王女
【カイツール軍港】
カイツールに着いたルークたちは、作戦本部へと向かう。
そこでは、戦況を分析し 次なる指令を出す寸前だった。
「アルマンダイン伯爵!どう言う事ですの!」
そこにナタリアが入る。
当然……。
そこにいたみなが驚いていた。
「な……ナタリア殿下…。生きて……おられたのか?」
ジェイドのときと同じような反応……。
でも…。
「ピオニー陛下から一報があったはずなのに……?」
アルは疑問をあげていた。
議会を召集し、今回の事を話し合っていた陛下だ。
この重大な事実をキムラスカに話していないわけがないと思っていたのだ。
「そうです…!どうして戦争が始まっているのです?私が命を落とした事は誤報であったと伝えられているはずです。彼の言うとおり、マルクト帝国 ピオニー・九世陛下から伝わっているはずですわ。」
そう言うが……。
「し…しかし、ナタリア様とはお会いできず……。陛下はマルクト帝国の謀略だと…。」
そういった。
本人に会えない以上… 信憑性にかけるのは確かだろう。
ましてや敵国の進言だ。
「……早くに城に戻らなかったのは…私の不徳のいたすところ……。しかし、こうして見えた今!もはや戦う理由がないはず!」
「アクゼリュスの崩落はオレが!……私が招いたことです。」
ルークは……自国でも自分が犯した罪を告白する。
「……ルーク。」
そんなルークを見る……。
覚悟は出来ている。そう言う決意も背中から感じていた。
「非難されるのは私……ルーク・フォン・ファブレただ1人であって……マルクトではありません。」
その言葉……
そして、ナタリアの無事を知って皆困惑していたが……。
事実がそうならば、戦争は停戦すべきと言う言葉も多く出ていた。
「戦いの原因が誤解であれば…一刻も早く正すべきではありませんか!」
「それに戦場はアクゼリュスと同じ崩落……いや!消滅する危険性があるんだ!」
「さぁ!今すぐ戦いを止めなさい!」
ナタリアがそう宣言する。
もはや、停戦は時間の問題……と思われていたが。
ここで予期せぬ人物が訪れることになる。
そして……
予期せぬ言葉も……。
「その者らを捕らえよ!」
「「「「「!!!」」」」」
皆が騒然としていた。
扉の前に立っていたのは……。
大詠師モースだった。
モースの登場には皆驚いてはいたが…。
「ぶ……無礼者!!」
ナタリアはそう答えていた。
だが……。
「ご一同……この女に遠慮をする必要はありませんぞ……?この者は偽の姫ですからな……」
この言葉には戸惑いを隠せない。
「……今度は……何を言ってるんだ?予言予言ってばかり言ってた次はこれ……?」
アルはあまりの事に驚愕を通りこしてそう発言していた。
「……ふん!私への無礼な発言はこの際は良い…。」
モースは、少しはムカついていたのか。
そういいながらこちらへ来る。
「モース!ローレライ教団の大詠師といえども、私への侮辱はキムラスカ・ランバルディア王国への侮辱となりますよ!」
そう言うが……取り乱す様子は無い。
ただ……にやけた顔だけだった。
神経に障る……。
「私はかねてより……敬謙な信者から悲痛な懺悔を受けていた。曰く……その者は 自分の孫を……恐れ多くも王女殿下と摩り替えたと言うのだ!」
そう発言する。
その言葉に皆が動揺していた。
勿論……キムラスカ軍も……。
「出鱈目をいうな!」
ルークは真っ向から否定!
だが…。
「出鱈目ではない。では、その者の髪と目の色を何とする?古よりランバルディア王家に連なるものは赤い髪と緑の瞳であった。しかしそなたは金の髪に青き瞳……亡き王妃様は…夜の様な黒き髪でしたな…。」
その…言葉は……信じるにたる言葉となっていた。
周りの見る目が……変わっていったのだ。
ナタリアも……愕然としていた。
そして……。
「この話は……証拠を添えて陛下にお伝えした。陛下はそなたを国を謀る大罪人としてお裁きになられる!」
「そ……そんな!そんなはずありませんわ!!」
その言葉だけは……ナタリアは否定する!
だが……。
「さあ!この者たちを捕らえよ!!」
もはや……どちらを信じるかはこの場いたキムラスカ軍は…。
モースとなっていた。
「……ただで捕まるって本当に思っているのか?」
アルは構えた!
取り囲まれたが……。
数は大した事は無い。
これまでの戦いに比べたら!
「ダメです!アル!!」
ナタリアが……それを止めた!
「えっ……?」
アルは……体勢を解く……。
「今…ここでそのようなことをすれば、もう止められません。ここは……大人しく捕まって…バチカルへ言ったときにお父様に直接確認を行います。」
ナタリアは……冷静を装っていはいるが……。
その表情は 戸惑い……混乱……そして、衝撃。
様々な感情が入り乱れてはいるが……凛とそう答えていた。
「ッ……。」
ナタリアの……言葉には従うほか無い。
戦局をを見誤り……
ただ、戦うだけでは失ってしまう……。
「ふっふっふ……懸命ですな。偽者とは言え……一応は王族として育てられたことはあるようだ。……さあ!バチカルへ連行しろ!」
そして、皆は連行されていった。