小説『Tales Of The Abyss 〜Another story〜 』
作者:じーく()

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#94 王の宣言




























「よかった!間に合った!!」

「危ないところだったわね……。」


貫いた閃光・そして、深遠へと誘う旋律。

その正体はアルとティアだった。

そして、辺りを警戒しながら遅れて入ってきたのがガイだ。


「アル!ティア!ガイ! 3人がどうしてここに?」

ルークは驚きながらそう聞くと……。

「思いがけない助っ人が現れてな?」

ガイは笑みを浮かべながらそう言う。

「詳しい話は後で!早く逃げよう!」

アルはそういいながら辺りを警戒していた。

「早くっ!」

ティアも同様だった。

だが……。

「お待ちになって!」

ナタリアがそれを止めた。

「お願いします……。お父様に……陛下に合わせてください!……真意を……聞きたいのです。」

ナタリアは……俯かせながらそう言う…

「オレからも……頼む!ここで、逃げたら……戦争は止められない!止めるためには叔父上に会うべきだ!」

ルークも逃げずに会おうといった。

「……そうだね。戦争は……止めないと!うん!わかった。付き合うよ。どこまでもだって!」

アルは頷き…。

「…わかったわ。私も付き合う。」

「そうと決まればさっさといこうぜ?……モースの戯言から目を覚ましてもらおうじゃないか。」

そして皆もそれに従った。









玉座の間にて……。



“バァン!!”



扉を開き中へと入る!

「ナタリア……。」

「お父様!!」

ナタリアが……前に出る。

「逆賊め!まだ生きておったのか!」

モースも……。

本当にこの男……好きにはなれない。

ティアの信頼する人……って言ってても……。

無理だ。

「……お前は黙ってろ!!誰もお前に会いに来てなんかいない!それにナタリアが話をしてるんだ!」

前にでようとしたモースを威嚇するようにアルはそう叫ぶ!

「またしても無礼な!貴様ぁ!この私を誰だと思っておるか!」

モースは、アルを睨みながらそう言うが。




「……お前が誰だかなんか知るかっ!いいから黙ってろ……!」




有無を言わせぬ気迫をもって……

モースを睨みつける。

「ぐっ………。」

その殺気じみた表情に威圧されたのか……。

モースは黙り込んでいた。





「お父様!私はお父様の本当の娘ではないとおっしゃいますの!?」

ナタリアが……悲痛な叫びを……。

「お前の乳母が証言したのだ!」

またモースが割って入る形となる。

それを許せるはずも無い。


「……三度目は無い。だからお前は……。」


アルは言霊に力を込める………。


アル自身はこの男には……本当に心底怒っていた。

【あの時】の言葉を思い出していたのだ。

【予言通り戦争を起こせる!】といったときの事を……だ。

ならば、今回の事……。

それも誘発さそうとしているのは?

だれが考えてもわかる事だ。

心理的に……血は繋がっていないとは言え、何年も一緒に暮らしていた親子を引き裂く形で……。

だから……!



『引っ込んでろッ!!!』



“ゴウッ!!!!!!!”






言葉とともに力も開放した!


「ッッッッッひあっ!!!」


モースは風圧の様なものを喰らい…

尻餅をついていた。

「………止めよ。……話は聞いたのだ。私自身も……な。乳母が証言したと言うのは事実だ。」

インゴベルト陛下が、口を開く。

アルの怒りには目に見張るものがあるが……。

ナタリア…?と話したい事は事実だった。

「本当……ですの?ばあや……。」

「は……はい。本物のナタリア様は……死産でした。王妃様はお心が弱っておいででした。ですから、私は……数日先に生まれていた娘のシルビアの子を…………ううぅ……。」

そう言うと……泣き崩れてしまった。

「……私とて信じたくは無かった。だが……これの証言した場所から嬰児の遺骨が発掘された……。真実だと言う事だ。」

「だけど!それが本当でも!実の娘として貴方はナタリアを育てたんだ!そのナタリアを信じられないというのですか?叔父上!!」

ルークは……そう叫ぶ!

そして、


「第一!ありもしない罰で罰せられるなんておかしい!!叔父上!モースの言う事なんか聞かないでください!!」

「貴方は切り捨てるも同然の事をしようとしているんですよ!?ナタリアの言葉……それを!!世の中には……一緒にいたくて……会いたくて……それでも会えなくて。死別してしまった人だって……いるんだ!」

2人の叫びは……


「くっ………。」


インゴベルト陛下は……モースの目を見……。

そして、ナタリアを…ルークを見る。


そして……、決めたようだ。



「賽は投げられたのだ!………お前たちの死をもって、マルクトとの交戦を正式のものとする!」


陛下には2人の叫びは届かなかった……。


一国の王が……そう宣言したのだ!


「あ…………ッ。」


ショックを……隠せない。

信じたくない。

今……目の前で言われた事が現実だと思いたくない……。



「ふっ……!」


モースは正式となった以上……形勢は逆転した。そう考えた。


「さあ!ディスト!ラルゴ!!こいつらを殺せ!!」


奥から出てきたのは……




「く……ディスト。強引につれてきたかと思えば……こう言う事か?」

「おや?ジェイドはどうしました?ジェイドがいると思ったからこそ来たのに……。」




【黒獅子ラルゴ】 【死神ディスト】の両名だった。   ←「薔薇です!!!!」


ツッコミは気にしないでね♪ 苦笑


「また……お前らか!」

アルも構える!

「処刑なんて……許せない!もう……誰かを失うなんてごめんだ!」

アルも臨戦態勢に入る!

「ふん…… 貴様と戦えるのは望むところ……といいたいところなのだがな。」

ラルゴは……、取り乱しているナタリアを……一瞬だが見つめた。

その表情は……険しい……。

「…………?」

その表情の意味はわからないが……。

気は抜けない。

相手は六神将。

力は……よく知っている。

2人も構えたその時。




「何してやがる!」




扉を開け!入ってきたのはアッシュだ!


「折角牢からだしてやってっていうのに!ここで何をしてやがるんだ!ここはオレが食い止めてやるから逃げろ!!」

アッシュは……六神将の2人の前に立ちそう言う。

「お前が助けてくれたのか??じゃあ一緒に!!」

ルークがそう言うが……。

「うるせえ!さっさと行きやがれ!!」

アッシュは耳を貸さない!

「お前だけを置いて逃るなんて……!」

アルは……頑なだ。

「チッ!!」



“ガシッ!”



胸倉を掴みあげると……

アルに……呟きかけていた。

皆には聞こえない程の大きさで……。


「ッ………!」



アルはその言葉を聞いて……。

「くそっ……!皆ッ!ここは任せて逃げよう!」

指差しながら走る。

表情は……複雑だった。

そして、皆アルに続き、この場から離れていく……。

「【ルーク】……どうか ご無事で………。」

ナタリアは……アッシュを見ながらそう呟いた。







「きーーー!!この裏切り者!!」

ディストはまさかのアッシュの行動にあからさまに怒りを表した!

「うるせえ!お前こそ!ヴァンを裏切って、モースに情報を流していただろうが!」

アッシュはそう返す!

「何!貴様!六神将でありながら、総長を裏切っていたのか!」

ラルゴはまさかの事にアッシュではなく、ディストに怒りをあらわにしていた。

忠誠を尽くしている以上……それは許せられないことなのだろう。

「ふん……私は目的が果たせればそれでいいのです……。ヴァンへの忠誠よりも優先する事がありますからね……。」

同じ六神将でも……色々とあるようだ。

「ぐっ……貴様……。」

ラルゴはディストのあり方を……認められないようだった。










Side out



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