小説『Tales Of The Abyss 〜Another story〜 』
作者:じーく()

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#95 真の王女




























無事城から脱出する事ができたたのだが……。

「まてっ!!逆賊どもぉ!!」

包囲網は……バチカル中に張り巡らせていたようだ。

次々と……兵士が現れていた。

「くそ……仕方ない!」

手に力を……。

「アル!止めてください!追われているとは言え……彼らは……ッ!」

ナタリアが……止めた。

……昨今まで、王家に尽くしてくれていた兵たちなのだ。

むやみに……戦いたくない。

ナタリアの思いが……

その目を通して伝わる。

「……ッでも!このままじゃ」

アルは……歯軋りをしていたが…その時!





「うおおおおおお!!!」

「わあああああああ!!!!」




次々と……町の住民が兵士達に飛び掛っていっていた。

兵士とナタリアの間に入り……止めたのだ!


「なっ!どけえ!!貴様ら!!」

相手は武器を持った兵士だったが…。

数で勝る住民達は団結し、ナタリアを逃がそうとする!

「ナタリア様!!お逃げください!」

1人の男が叫んだ!

「なっ! どうして私を??」

ナタリアは……困惑していたが。

「姫様が無実の罪で処刑されそうになるとあの人たちから聞いたんです!」


指差したその先には……。


「さっ!姫様をお守りするんだよ!」

「そらそら!!みんなでやっちまええ!!」

「行け行け〜〜!!」


見覚えのある三人組……。

「あの人たち……確か漆黒の翼の……。」

「アッシュが手配してくれたのか?」

恐らくはそうであろう。

タイミングがよすぎるのも裏づけされていた。

「その者は王女の名を語った偽者だ!そこをどけ!!」

兵士は、住民を押しのけようとするが……。

数が多い。

まさにナタリアの壁になるように……構えていた。

「皆さん!私は……王女ではありません!ですから…そのような危険はおかしてはなりません!!」

兵士が傷つく事……それを止めたナタリアだ。

……住民が……傷つくのには耐えられるものでは無いのだ……。

だから、ナタリアはそう叫んでいた。

だが……。


「ナタリア様が王家の血を引こうが引いてなかろうが、どうでもいいです!!」

1人……。



「職をおわれていた私達を雇ってくださったのがナタリア様だ!」

「私は…ナタリア様の優しさに救われました!今度はナタリア様の力になりたいんです!」



皆から声……。

次々とそういった声が届く……。

それは、ナタリア本人を……見ていた人たちの声だった。

王女としてではなく……1人の人間として…。

「ナタリア!行こう!!」

その手をルークが掴んだ。

「あ……。」

一瞬と惑ったが……。

ここで 行かなかったら……思いを踏みにじることになる……。

「みなさん……ありがとう………。」

だから……。

ナタリアはそう感謝を……言っていた。



















そして、バチカルの外へと脱出でき……。

バチカルへとアルビオールで来ていたジェイドたちとも合流することができた。


「……そうですか。インゴベルト陛下からそのような事が……。」

ジェイドも…予想外だったのだろうか……。

表情を落とし……そう言っていた。

ナタリアは……。

「……………。」

言葉無く……俯いていた。

「元気出せよ……。ナタリアがそんな顔をしてちゃ、助けてくれたみんなが悲しむだろ?」


ガイが…そう言うと。

「あっ………。」

ナタリアも…そのことを想っていたのか…。

反応があった。

「本当に凄いよね……。街の皆が一致団結して守ろうとするなんて……さ。それに、武器を持った相手にあんな事ができるのって……。よほど皆に愛されてるんだ……。ナタリアは。」

「私も驚いたわ。国の人たち…皆にに愛されているのね。かけがえの無い人なんだわ…。」

アルもティアもそう言っていた。

「そうさ。バチカルの皆は、キムラスカの王女じゃなくて、君が……ナタリアが好きなんだ。」

そう言うが……

「でも……お父様は……。」

そう……ナタリアの心に深く傷をつけたのは父親のあの言葉………。

「叔父上だって。あんまりいきなりだったから混乱しているだけだって。」

ルークはそう言いきかせ……。

「オレもそう思う。だって……ほらっ、考えてみて?……ナタリアは死んだって思われて…凄く悲しんだと思う。憔悴してもおかしくない程に……。……そこで生きてるってわかって……でも、それが偽者だって……これだけの事が一度に起こったんだ、混乱しない方がおかしい。」

アルもルークに同意した。

だが、アルは恐らくはそこをモースがついたのだろうと考える。

……心理的に追い詰め……戦争を起こさせるように……。

誘発させ……予言どおりにするために……。

だが、その事は言わないようにした。

今言うべきではないし。

何より……

ティアの前ではなるべく言いたくない。

「……?どうしたの?」

ティアはアルに見られているのが不思議に思ってそう聞く。

「いや……ティアもそう思うでしょ?考えがまとまらなくて……ああいう風に言ってしまったって事。」

「……ええ、私もそう思うわ。皇帝陛下とはいっても、人間だもの。間違いも犯すと思うし、……失敗もする。……混乱してしまうことだって、あるはずだわ。ナタリア。」

「オレもだ。陛下は…苦しんでいるはずだ。アルの言ったように、様々な事が重なり合いながら起きたんだ。落ち着いてもう一度話せばきっと!」


皆が…それぞれそう言うと……


「う……っ……ううっ……」

ナタリアの目に……涙が溜まり…。

「うっううっ……」

そして流れ落ちた……。

だが……それは一筋だけで……。

「ごめんなさい……もう…大丈夫ですわ。ありがとう……皆さん」

拭い去ると…とまっていた。

その顔は……先ほどまでのが嘘のようだ。

吹っ切れた……とまでは行かないと思うけど。

大丈夫……みたいだった。

「ガイもありがとう……。」

ナタリアは一番傍にいたガイにそう言う…。

「ははっ、ナタリアの笑顔を取り戻すことができて嬉しいよ。」

真顔で女性に…………。

そう言う事を言う女性恐怖症者…… 苦笑



「はぁ……真顔でよくもまあ…。」

「天然たらしだ〜……。」


ルークとアニスは呆れてて……。

「あはははっ………。」

アルはただ…笑っていた。

「おほん……。」

ティアはそんなアルの後ろで軽くわざとらしく咳払いをする。

「ん?どうしたの??」

アルはティアの方を見ると…。

「アル?貴方も似たようなものなのよ……? 絶対!ガイのこと笑えないと思うけどね…?」

そう突っ込む…。

「ええ!!そ…そうなの……?」

アルは慌てて……。

「ははは…………まあ、確かに?」

「そ〜だよね〜…… 似たり寄ったりって感じ……?」

……同意してるし!

「う……他の人から見たら……ガイみたいなんだ……。ちょっと気をつけよう…。」

アルは、心に刻む……って!

「おいおい……そりゃいくらなんでも失礼じゃねえか?オレによ?」

ガイは苦笑いしながらそういい……。

「あはははは……。」

ナタリアは、屈託の無い笑顔を見せる。

「なんだか、照れてしまいますわね?そう言う人にめぐり合えたのは私にとってとても良い事だと思いますわ。…ガイもアルも……本当に……」

近づこうとしたら……。

「だーーーーーっ ひゃひゃっ!!!!」



“ズザザザザザザザザッ!!!”



あっという間にバック・エスケープ♪


「ご……ごめんなさい。忘れてましたわ……。」


ナタリアは…顔を赤くしながらそう言う。


「……アレは流石にないよ?俺は……。」

そんなガイを見てそう言う。

「ま〜ガイはしょうがないし?」

「だよな……、あれでいて、素でああ言う事を言うんだから……自業自得って感じだけどな。」

ルークもアニスも……苦言ばっかし……

「あはっ……ああ、そうだ。」

アルはナタリアのほうを見る。

「アッシュだって、同じ思いだよ。」

そう言う。

「え………っ。」

ナタリアは……驚きの表情を作る。

「あの時ね?残るって言ったオレを……彼は止めた。言ったら怒られるかもだから、言わないでね?」

アルは苦笑いすると……。

ナタリアのほうを見て。

「彼は……アッシュはナタリアを護ってくれって。そう言ってた。あはは……あとルークじゃ頼りないってさ?」

そう言って笑っていた。

「なにっ!!」

ルークは少しむっとしてたけど……。

直ぐに笑みになる。

「そう……ですか。ほんとに………。」

ナタリアは再び、目に涙が溢れそうになる。

アッシュは……自分のことを大切に思ってくれている。

だからこそ………。

「重ね重ね……ありがとう。アル。」

ナタリアは……伝えてくれた事を含めて……礼を言っていた。











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